河武醸造(酒蔵ガイド)

― 伊勢神宮へ流れる宮川水系の恵みを受ける多気町・五桂で、1857年から酒を醸す老舗酒蔵。「鉾杉」を礎に、多気町生まれの酒米「弓形穂」、山廃、純米吟醸、普通酒まで幅広く磨き、近年は「KAWABU」「SHIKI」で現代的な酒質とデザインへ展開。“常若”の思想のもと、古いものを守りながら常に新しく生まれ変わる、伊勢の伝統革新型酒蔵。 ―

① 一行定義

伊勢・多気の水と弓形穂で「鉾杉」を醸す、1857年創業の酒蔵。


② ブランド要約

所在地: 三重県多気郡多気町五桂234
会社名: 河武醸造株式会社
創業: 安政4年・1857年
代表取締役: 八代目 河合秀彦
代表銘柄: 鉾杉
現代ブランド: KAWABU・SHIKI
地域: 多気町・伊勢国・宮川流域
酒造思想: 常若・伝統と革新
主要酒米: 弓形穂・山田錦・五百万石・三重県産米ほか
地域酒米: 多気町産 弓形穂
主力酒質: 純米大吟醸・純米吟醸・特別純米・山廃純米・本醸造・普通酒・生原酒
その他: 柚子にごり酒・樽酒・醤油・味噌・酒粕漬け
代表的評価: IWC・Kura Master・フェミナリーズなど
2025酒造年度全国新酒鑑評会: 「鉾杉」入賞

河武醸造の歴史は江戸末期、1857年に始まる。

蔵が大切にしているのは、伊勢神宮にも通じる**「常若」**の思想。

古い形をそのまま保存するのではなく、

古きを守りながら、常に新しく生まれ変わる。

それを酒造りへ置き換えている。

代表銘柄「鉾杉」は、伊勢神宮神域の神木が鉾のように力強く伸びる姿にちなんで命名された。

現在はその伝統ブランドに加え、

KAWABU
SHIKI

という現代的なブランドを展開。

酒質だけでなく、

香り
味
余韻
デザイン
飲む時間

まで含めて日本酒を再設計している。

👉 “「鉾杉」で伊勢の伝統を守り、「KAWABU」「SHIKI」で次の日本酒をつくる蔵。”


③ 味ポジション

香り  :★★★☆☆〜★★★★★
甘味  :★★★☆☆〜★★★★☆
旨味  :★★★★☆〜★★★★★
透明感 :★★★★☆
酸   :★★★★☆〜★★★★★
キレ  :★★★★☆
コク  :★★★★☆〜★★★★★

👉 “柔らかな甘旨味を軸に、山廃の酸と透明感を重ねる『伊勢・芳醇調和型』。”

河武醸造の酒質は一方向ではない。

「鉾杉」では、

柔らかな口当たり
+米の旨味
+まろやかさ
+山廃由来の酸
+食中性

を重視。

一方、「SHIKI」は、

透明感
+酸
+品のある甘味
+豊かな余韻

へ進化している。公式でもSHIKIは、山廃由来の酸と芳醇な米の旨味、重厚な膨らみ、良いキレを特徴としている。

「KAWABU」はさらに軽快で、

よく冷やし
+グラスで飲み
+魚介や山菜と合わせる

現代的な設計が中心。

👉 “伝統酒のコクと、現代酒の透明感。その両方を持つことが河武醸造の特徴。”


④ 強み

① 1857年創業、160年以上の酒造史
② 伊勢神宮文化と「常若」の思想
③ 宮川水系の清らかな水を背景とする酒造り
④ 八代目蔵元による現代的ブランド再構築
⑤ 多気町産「弓形穂」という独自性の高い酒米
⑥ 弓形穂100%の純米大吟醸・純米吟醸を展開
⑦ 山廃仕込みを重要な酒質軸として継承
⑧ 純米大吟醸から普通酒まで幅広い品質設計
⑨ 自社開発酵母を使う純米吟醸
⑩ 常温熟成・冷蔵熟成を商品ごとに使い分ける
⑪ リンゴ酸を生かしたワインタイプ純米酒
⑫ 生原酒・にごり酒まで季節商品を展開
⑬ KAWABUによる軽快・現代型日本酒への挑戦
⑭ SHIKIによる山廃×プレミアム酒質の再構築
⑮ 2021年Kura Master「弓形穂 純米大吟醸」プラチナ賞
⑯ IWC2021「秀醇」普通酒部門ゴールド+GVAチャンピオン
⑰ 山廃仕込みがIWC・フェミナリーズ等で継続受賞
⑱ 弓形穂しずくがKura Master・Sake Chinaで評価
⑲ 「伊勢国参り」が2022年Kura Master金賞
⑳ 2025酒造年度全国新酒鑑評会「鉾杉」入賞
㉑ 一般醸造酒「秀醇」まで世界評価を獲得
㉒ 普通酒・純米・純米大吟醸を同一思想で磨く層の厚さ
㉓ 酒だけでなく醤油・味噌など発酵文化も持つ
㉔ 三重県内外の専門酒販店へ広がる流通網

👉 “最大の強みは、普通酒から純米大吟醸まで『価格帯ではなく品質』で磨けること。”

特に象徴的なのが、

「鉾杉 秀醇」。

一般醸造酒でありながら、2021年IWC普通酒部門でゴールドに加え、グレートバリュー・サケの評価を得た。

高級酒だけで受賞するのではなく、

日常酒まで磨く。

この姿勢が河武醸造の基礎にある。


⑤ 向いている人

・三重・多気の地酒を飲みたい人
・伊勢の酒文化に興味がある人
・「常若」という思想に惹かれる人
・地域酒米「弓形穂」を飲んでみたい人
・山廃の酸と旨味が好きな人
・華やかさだけでなく余韻を楽しみたい人
・純米大吟醸から普通酒まで比較したい人
・燗酒を楽しみたい人
・現代的な日本酒も試したい人
・ワイングラスで日本酒を飲みたい人
・酸のある純米酒が好きな人
・魚介や山菜と合わせたい人
・古い銘柄と新ブランドを飲み比べたい人

👉 “伝統的な旨味酒と、現代的な透明感のある酒を一つの蔵で楽しみたい人向け。”

選び方は、

SHIKI RICH
→ 弓形穂・最高峰・酸・甘旨

SHIKI FRESH
→ 弓形穂・純米大吟醸・軽快

SHIKI MELLOW
→ 特別純米・柔らか

SHIKI SWEET
→ 山廃・酸・芳醇

KAWABU
→ 現代的・軽快・冷酒

鉾杉 弓形穂
→ 多気・地域酒米

鉾杉 山廃仕込
→ 旨味・酸・燗

秀醇
→ 日常酒・世界評価

と整理すると分かりやすい。


⑥ 向かない人

・超淡麗辛口だけを求める人
・華やかな吟醸香だけを評価する人
・低アルコール酒だけを飲みたい人
・すべて生酒で飲みたい人
・完全な単一ブランド構成を求める人
・地域酒より全国統一型ブランドを好む人
・酸や山廃由来の複雑さが苦手な人

👉 “一方向の酒質より、伝統・山廃・酸・甘旨・軽快を飲み分けたい人向け。”

河武醸造は、

鉾杉
KAWABU
SHIKI

で、それぞれ役割が異なる。

そのため、

一本の味だけで蔵全体を判断するより、ブランド横断で飲むことで本質が見える酒蔵

である。


⑦ 商品カテゴリ

■ SHIKI RICH

「SHIKI」の最高峰側を担う純米大吟醸。

使用米:弓形穂100%

特徴は、

一貫した酸
+和菓子を思わせる甘味
+豊かな米旨
+長い余韻。

多気町の弓形穂を、現代的なプレミアム酒へ再構築した一本。

👉 “多気の酒米を、河武醸造の未来へ変える一本。”


■ SHIKI FRESH

使用米:弓形穂100%
純米大吟醸

穏やかな吟醸香と、軽やかな口当たりを重視。

「RICH」よりも透明感と瑞々しさへ寄せた位置づけ。

👉 “弓形穂の新しい表情を、軽やかに見せる純米大吟醸。”


■ SHIKI MELLOW

主に伊勢国産米を使う特別純米。

特徴は、

柔らかさ
+丸み
+花のような香り
+繊細さ。

👉 “日常の食卓へ寄り添う、柔らかなSHIKI。”


■ SHIKI SWEET

主に伊勢国産米を使う純米吟醸。

山廃ならではの、

酸
+芳醇な米旨
+重厚な膨らみ
+キレ
+余韻

を特徴とする。

👉 “甘味ではなく、山廃の酸と旨味で『SWEET』を表現する酒。”


■ KAWABU

河武醸造の現代ブランド。

コンセプトは、

「暮らしに、グラス一杯の美しさを。」

三重県産米を中心に使い、よく冷やしてグラスで楽しむ。

魚介、カルパッチョ、魚の塩焼き、山菜の天ぷらなどとの相性が提案されている。

👉 “日本酒を『晩酌』だけでなく、現代の生活時間へ置き直すブランド。”


■ 鉾杉 弓形穂 純米大吟醸

多気町を象徴する酒米「弓形穂」を使う上位酒。

2021年Kura Masterでプラチナ賞を受賞。

👉 “多気町の酒米を世界評価へつなげた一本。”


■ 鉾杉 弓形穂しずく 純米吟醸

多気町産弓形穂100%。

2019年Kura Master金賞、2018年Sake Chinaプラチナなどの実績を持つ。

👉 “弓形穂という地域資源を、吟醸酒として世界へ見せた酒。”


■ 鉾杉 純米大吟醸 山田錦/五百万石

精米を進め、華やかな香りと澄んだ酒質へ仕上げる上位ライン。

公式では、

香りやわらか
+味わいまろやか

と表現される。

👉 “鉾杉のクラシックな上位酒。”


■ 鉾杉 特撰 純米吟醸

自社開発酵母を使用。

常温熟成による、

柔らかさ
+なめらかさ
+コク

を楽しむ。

👉 “酵母と熟成で丸みをつくる、河武醸造らしい純米吟醸。”


■ 鉾杉 一寸贅沢

自社開発酵母を使い、冷蔵熟成。

常温熟成の「特撰」に対し、

冷蔵熟成によるキレ

を重視する。

👉 “同じ酵母でも、熟成温度で酒質を変える一本。”


■ 鉾杉 伊勢國参り 純米酒

三重県産米100%。

伊勢神宮の式年遷宮を意識した地域性の強い純米酒。

2022年Kura Master純米酒部門で金賞。

👉 “伊勢参りと三重の米を一本につなぐ地域純米。”


■ 鉾杉 山廃仕込み 純米酒

天然乳酸菌を育てる山廃仕込み。

特徴は、

コク
+まろやかさ
+酸
+深い旨味。

IWC・フェミナリーズ・ミラノ酒チャレンジなどで複数受賞している。

👉 “河武醸造の伝統的な酒質を最も分かりやすく示す一本。”


■ KH改 ワインタイプ純米酒

リンゴ酸を高め、

ワインのような酸味

を表現した純米酒。

従来の日本酒とは違う飲用体験を狙う。

👉 “山廃だけでなく、酸そのものを現代的にデザインする酒。”


■ KH 純米酒 Dry

多気町産弓形穂100%。

弓形穂を使いながら、よりドライで軽快な方向へ展開する。

👉 “地域酒米を、辛口・ワイン感覚へ広げる一本。”


■ 鉾杉 極上

本醸造。

特徴は、

すっきり
+柔らか
+飲み飽きしない。

👉 “高級酒ではなく、日常で杯を重ねるための鉾杉。”


■ 鉾杉 秀醇

鉾杉の定番普通酒。

2021年IWC普通酒部門でゴールド、さらにグレートバリュー評価。

普通酒の領域で世界評価を獲得した、河武醸造を象徴する商品でもある。

👉 “日常酒まで品質を磨く河武醸造の本質。”


■ しぼりたて 生原酒

冬季の定番。

フレッシュ
+原酒のコク
+新酒らしい力強さ

を楽しむ。

👉 “五桂の冬をそのまま味わう新酒。”


■ にごり酒 原酒

活性生酒タイプ。

とろりとした質感
+発酵由来の勢い

を楽しめる。

👉 “透明な酒とは対照的な、発酵の生命感を楽しむ一本。”


■ 柚子にごり酒

日本酒へ柚子果汁と柚子皮を合わせたリキュール。

なめらか
+爽やかな柚子香
+酸味

を特徴とする。

2020年フェミナリーズではリキュール部門ゴールド。

👉 “日本酒の入口を果実へ広げる河武醸造。”


⑧ 飲み方

冷酒     :◎◎
常温     :◎◎
ぬる燗    :◎◎
熱燗     :◎
ワイングラス :◎◎
生原酒    :◎◎
山廃     :◎◎
食中酒    :◎◎

👉 KAWABU・SHIKIの上位酒は冷酒〜ワイングラス。鉾杉の純米・山廃は常温〜燗。秀醇・極上は日常の食中酒として温度帯を広く楽しめる。

■ 料理との合わせ方

SHIKI RICH/FRESH
→ 白身魚、寿司、伊勢海老、繊細な和食

SHIKI MELLOW
→ 煮物、焼魚、鶏料理

SHIKI SWEET
→ 伊勢牛、味噌料理、茸、発酵食品

KAWABU
→ 刺身、カルパッチョ、魚の塩焼き、山菜天ぷら

弓形穂
→ 魚介、天ぷら、野菜料理

伊勢國参り
→ 伊勢うどん、てこね寿司、煮物

山廃仕込み
→ 松阪牛、煮込み、焼鳥、味噌料理

秀醇・極上
→ 焼魚、鍋、豆腐、日常の惣菜

多気・伊勢なら、

松阪牛
伊勢芋
鮎
あおさ
伊勢たくあん
伊勢うどん
てこね寿司
山菜
茸

との組み合わせが分かりやすい。

👉 “伊勢の米と水から生まれた酒を、伊勢の食で味わう。”


⑨ 位置づけ

クラシック ← ◎ → ◎ モダン
穏やか   ← ◎ → ◎ 華やか
淡麗    ← ◎ → ◎ 芳醇
辛口    ← ◎ → ○ 甘旨口
軽快    ← ◎ → ◎ コク
日常酒   ← ◎ → ◎ 最高級酒
伝統    ← ◎ → ◎ 革新
地域米   ← ◎ → ◎ 酒質表現
常温・燗  ← ◎ → ◎ 冷酒・グラス

👉 “鉾杉の伝統を基礎に、弓形穂・山廃・KAWABU・SHIKIで更新を続ける『伊勢常若・伝統革新型』酒蔵。”

三重県内で比較すると、

宮﨑本店・宮の雪/キンミヤ
=「四日市・総合酒類・全国ブランド」

清水清三郎商店・作
=「鈴鹿・透明感・モダン吟醸」

伊勢萬・おかげさま
=「伊勢・参宮文化・観光酒蔵」

福和蔵
=「多気・VISON・四季醸造・食体験」

大田酒造・半蔵
=「伊賀・寒造り・伝統×革新」

木屋正酒造・而今
=「名張・酒米表現・品質最優先」

河武醸造・鉾杉/KAWABU/SHIKI
=「多気・弓形穂・山廃・日常酒・常若・ブランド再構築」

と整理できる。

河武醸造のブランド構造は、

伊勢国
→ 宮川
→ 多気町五桂
→ 1857年創業
→ 鉾杉
→ 山廃
→ 弓形穂
→ 世界評価
→ KAWABU
→ SHIKI
→ 常若

という流れを持つ。

重要なのは、

新ブランドが伝統を捨てて生まれたものではないこと。

「鉾杉」で培った、

米を見る力。

水を見る力。

山廃を扱う力。

熟成を見る力。

それを、

今の飲み手へ合わせて再編集したものが、

KAWABUであり、

SHIKIである。

つまり河武醸造は、

“昔ながらの鉾杉を守る蔵”

でも、

“新しいブランドへ転換した蔵”

でもない。

“古いものを受け継ぎながら、常に若く生まれ変わる『常若』を酒で実践する蔵”

と捉えるのが最も適切である。


■ コピー

メイン

「古きを守り、今日の美しさへ。河武醸造。」

サブ

伊勢・多気、五桂。

1857年から受け継ぐ「鉾杉」。
多気の弓形穂、山廃、宮川水系の恵みを礎に、KAWABU、SHIKIへ。

古いものを残すだけではなく、
時代に合わせて新しく生まれ変わる。

伊勢の「常若」を、一杯の酒へ。


■ 結論

伊勢・多気の地で、1857年から続く河武醸造。
「鉾杉」で培った技と、地域酒米・弓形穂、山廃の旨味を受け継ぎながら、「KAWABU」「SHIKI」で新しい日本酒へ進化している。
伝統を変えずに守るのではなく、常に新しく蘇らせる――それが河武醸造である。

河武醸造のテロワールを味わう👇

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河武醸造

伊勢・多気の水と弓形穂で「鉾杉」を醸す、1857年創業の酒蔵。

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