藤本酒造(酒蔵企業分析)

― 明和元年・1764年創業。滋賀県甲賀市水口町伴中山で、「和醸良酒」を理念に掲げ、山村神社の神託によって掘った井戸の良水と近江米から生まれた「神開」を醸す老舗酒蔵。滋賀県産の山田錦・吟吹雪・玉栄・日本晴を軸に、契約農家との米づくり、純米大吟醸から定番酒、山廃・水酛・低アルコール・発泡酒・高酸酒・高麹歩合酒まで自由度の高い商品開発を展開。2026年には全国新酒鑑評会で「神開」が入賞し、SAKE COMPETITION 2026では「神開 純米原酒 水酛」がモダンナチュラル部門4位・GOLDを獲得した、“甲賀水口井戸水型・近江米重視型・和醸良酒型・小規模実験醸造型・伝統革新両立型酒蔵” ―

※本稿は2026年9月時点で確認できる藤本酒造公式オンラインショップ、滋賀県酒造組合、日本酒造組合中央会、SAKE COMPETITION、全国新酒鑑評会等の公開情報を基に整理しています。創業年は藤本酒造・滋賀県酒造組合では1764年(明和元年)、日本酒造組合中央会では1763年と表記差があります。本稿では蔵元側と滋賀県酒造組合の表記に合わせて1764年とします。


目次(Table of Contents)

① 導入・一行定義

滋賀県甲賀市水口町伴中山696番地。

甲賀忍者の里として知られる甲賀市で、

藤本酒造株式会社

は酒を醸しています。

創業は、

明和元年・1764年。

現在の代表者は、

藤本信行氏。

代表銘柄は、

「神開(しんかい)」

です。

その名の由来は、

酒質に悩んだ先祖が、

山村神社の神託

に従って井戸を掘ったところ、

非常に良質な水が湧き出し、

近江米と合わせた酒の品質が大きく向上したことにあります。

それまでの銘柄「宝一」から、

「神様のお告げによって開かれた酒」=神開

へ名称を改めたと伝えられています。

一行定義

「1764年創業。滋賀県甲賀市水口町で、山村神社の神託によって掘られた井戸の良水と滋賀県産米を基盤に、『和醸良酒』を掲げながら、伝統的な純米酒から水酛・高酸・高麹歩合・低アル発泡酒まで自由な醸造を続ける、“甲賀水口井戸水型・近江米重視型・小規模実験醸造型酒蔵”」


② 結論・企業ポジション

藤本酒造最大の企業価値は、

「260年を超える老舗でありながら、商品開発が非常に自由であること」

です。

企業理念は、

「和醸良酒」

です。

これは、

働く人の和があれば、自然と良い酒ができる

という創業者の考え方で、

現在もチームワークと円滑な人間関係を酒造りの基本に置いています。

一方で商品を見ると、

非常に保守的な老舗とは言えません。

現在の公式販売商品には、

純米大吟醸
吟吹雪・玉栄の純米原酒
山廃
水酛
高麹歩合
低アルコール発泡酒
甘酸っぱい低アル酒
日本酒度+20の激辛口

まで並びます。

つまり、

歴史は古いが、酒造りの発想は若い。

これが藤本酒造の最も分かりやすいポジションです。

評価軸内容
正式社名藤本酒造株式会社
所在地滋賀県甲賀市水口町伴中山696
創業1764年・明和元年
代表者藤本信行
主銘柄神開
旧銘柄宝一
理念和醸良酒
酒名由来山村神社の神託・井戸水
主原料米山田錦・吟吹雪・玉栄・日本晴
原料思想滋賀県産米重視
農業連携契約農家との対話
主力定番神開 大自然しんかい
高級酒紫水・みやの四季
地域代表酒純米吟醸 吟吹雪
GI滋賀純米吟醸 吟吹雪
山廃商品展開あり
水酛現代商品で展開
発泡酒低アル純米発泡酒
高酸酒あまずっぱい
辛口日本酒度+20
高麹歩合麹マシマシ
直売あり
EC公式オンラインショップ
2026全国新酒鑑評会入賞
SAKE COMPETITION 2026水酛・モダンナチュラル部門4位GOLD
本質老舗の中に実験精神を持つ酒蔵

③ 基本情報

項目内容
会社名藤本酒造株式会社
所在地〒528-0064 滋賀県甲賀市水口町伴中山696
TEL0748-62-0410
FAX0748-62-0650
創業1764年・明和元年
代表者藤本信行
主銘柄神開
製造清酒・リキュール
営業時間8:30~17:30/観光案内では9:00~17:00
休業日土・日・祝日
駐車場あり
EC公式BASEショップ
所在地域甲賀市水口町

営業時間については滋賀県酒造組合が8:30~17:30、滋賀県公式観光周遊情報が9:00~17:00としているため、訪問時は事前確認が安全です。


④ 歴史・企業沿革

1. 1764年 ― 創業

明和元年。

現在の甲賀市水口町で、

「宝一」

の名で酒造りを行っていました。


2. 酒質への苦悩

当初は、

思うような酒質にならなかったと伝えられています。

そこで、

地域の、

山村神社

へ祈願しました。


3. 神託と井戸

神託に従って井戸を掘ると、

この地域でも特に良質な水

が湧出。

その水と、

米どころ滋賀の近江米を使って醸した酒の品質が大きく向上しました。


4. 「神開」誕生

この出来事を機に、

「宝一」から、

「神開」

へ改名。

現在まで代表銘柄として継承されています。


5. 「和醸良酒」

企業理念は、

和醸良酒。

人の和、

チームワーク、

職場の関係性を、

酒質の基盤として捉えます。


6. 地元米への深化

山田錦だけでなく、

吟吹雪

玉栄

日本晴

など滋賀県産米を積極的に使用。

さらに契約農家と対話し、

より力強い米を育てる方向へ進んでいます。


7. 商品開発の多様化

近年は、

伝統的な純米・吟醸酒に加え、

水酛、

高酸酒、

低アル発泡酒、

高麹歩合、

極辛口など、

実験的な酒造り

を明確に進めています。


8. 2026年 ― 全国新酒鑑評会

令和7酒造年度全国新酒鑑評会で、

「神開」=入賞。

滋賀県では6点が入賞、2点が金賞となりました。


9. 2026年 ― SAKE COMPETITION

「神開 純米原酒 水酛」

が、

SAKE COMPETITION 2026、

モダンナチュラル部門4位・GOLD

を獲得しました。

歴史の本質

「神託で得た水から始まった老舗が、現在は水酛や低アル酒まで自由に挑戦する酒蔵へ進化した歴史」

です。


⑤ 自然環境・水・テロワール

藤本酒造を語るうえで、

最も重要な自然資産は、

井戸水

です。

神開という酒名自体が、

水の発見に由来しています。

山村神社の神託によって井戸を掘り、

良質な水が湧いたことが、

現在まで続くブランドストーリーの出発点です。


甲賀・水口

甲賀市水口地域は、

滋賀県南東部。

三重県境にも近く、

甲賀忍者の里として知られています。

酒蔵周辺には、

田園風景

が広がり、

米と水が近い土地です。

酒蔵訪問記でも、

水に恵まれた土地柄と周囲の田園環境が紹介されています。


近江米

滋賀は、

古くから近江米の産地。

藤本酒造は、

その土地の米を積極的に酒へ使います。

テロワール構造

甲賀の自然
↓
山村神社
↓
井戸水
↓
水口の田園
↓
近江米
↓
神開

です。

本質

「神開は、銘柄名そのものが水のテロワールを語っている酒」

です。


⑥ 原料米・農業戦略

藤本酒造の原料戦略は、

「滋賀県産米を中心に、酒質に応じて使い分ける」

ことです。

公式は、

山田錦

吟吹雪

玉栄

日本晴

を中心に使うと明記しています。


1. 山田錦

純米大吟醸や、

高麹歩合酒、

leggeroなど、

高級酒から新しい酒質まで幅広く使われます。


2. 吟吹雪

滋賀県の酒造好適米。

神開 純米吟醸 吟吹雪

は、

GI滋賀にも認定されています。

さらに、

「吟吹雪9號」は、

公式ショップが、

「当蔵を代表するお酒」

と位置付けています。


3. 玉栄

滋賀酒らしい、

米旨・酸・骨格を表現しやすい酒米。

藤本酒造では、

酵母違いの商品まで展開しています。


4. 日本晴

酒造好適米だけに限定せず、

滋賀県産の一般米も活用。

清酒=農産物

という考え方の表れです。


5. 契約農家

近年は、

契約農家と話し合いながら、

「より力強い米」

を育てる方向へ進んでいます。

原料戦略の本質

山田錦=高級酒・設計自由度

吟吹雪=滋賀の主軸

玉栄=米旨・酸

日本晴=土地の日常性

です。


⑦ 酒造技術・製造思想

藤本酒造の技術面で重要なのは、

一つの製法へ固定しないこと

です。


1. 吟醸造り

純米大吟醸「紫水」「みやの四季」では、

兵庫県産山田錦40%精米。

豊かな吟醸香と、

細かな旨味を表現します。


2. 雫取り

「紫水」は、

醪を袋に入れて吊るし、

自然に滴る雫を採取します。

さらに、

-2℃

で低温熟成しています。


3. 山廃

山廃仕込みの商品を複数展開。

滋賀県産酒米との組み合わせで、

旨味と酸を引き出します。


4. 水酛

2026年、

「神開 純米原酒 水酛」

がSAKE COMPETITIONでGOLD。

古典的な酒母製法を、

現代商品へ落とし込んでいます。


5. 高麹歩合

「麹マシマシ」

では、

通常20%前後の米麹使用比率に対し、

米40%・米麹60%

という逆転構成へ挑戦。

清酒本来の濃い風味を狙っています。


6. 高酸・低アル

「あまずっぱい」は、

14度

日本酒度-29

で、

リンゴ酸と甘味を組み合わせた設計です。


7. 発泡酒

低アルコール発泡純米酒は、

8度

日本酒度-50

で、

ブドウ様の果実感と強い酸を持たせています。


8. 激辛口

「激辛口」は、

日本酒度+20

19度

という、

非常に強い辛口純米原酒です。

技術 → 酒質

井戸水
+
近江米
+
吟醸
+
山廃
+
水酛
+
高麹
+
高酸
+
低アル
↓

一つの味に固定されない「神開」

です。


⑧ ブランド構造

藤本酒造は、

「神開」という単一母艦ブランドの内部で、非常に多くの酒質を展開する構造

です。

商品群役割
神開企業母艦
紫水最高級・雫取り
みやの四季高級純米大吟醸
開運七福神純米大吟醸・親しみ
吟吹雪滋賀地域軸
玉栄滋賀酒米表現
大自然しんかい定番食中酒
山廃伝統製法
水酛古典×現代
麹マシマシ実験醸造
KT-901食中酸設計
あまずっぱい甘酸・低アル
leggero軽快低アル
激辛口極辛
発泡純米新規飲用層
上撰地域日常酒

ブランド構造の本質

神開=歴史

吟吹雪=滋賀

紫水=技術

水酛=革新

実験酒=現代性

です。


⑨ 商品ポートフォリオ

1. 神開 純米大吟醸 紫水

  • 兵庫県産山田錦100%
  • 精米40%
  • 16度
  • 雫取り
  • -2℃熟成

藤本酒造の最高級酒。

豊かな吟醸香、

細かな旨味、

深いコクを持ちます。


2. 神開 純米大吟醸 みやの四季

  • 兵庫県産山田錦100%
  • 精米40%
  • 16度
  • 無濾過原酒

芳醇な吟醸香

と

淡麗ながら深い味わい

が特徴です。


3. 神開 純米大吟醸 開運七福神

  • 山田錦100%
  • 精米50%
  • 16度
  • 日本酒度-3

原酒の香りと柔らかさを残しながら、

度数調整によって、

透明感とスムースさ

を引き出します。


4. 神開 純米原酒 吟吹雪9號 本生酒

  • 滋賀県産米100%
  • 精米60%
  • 17度
  • 日本酒度+2

公式が、

「当蔵を代表するお酒」

と位置付ける一本。

穏やかな香り、

柔らかな甘旨味、

軽快な酸、

きれいなキレが特徴です。


5. 神開 特別純米 大自然しんかい

  • 滋賀県産米100%
  • 精米60%
  • 15度
  • 日本酒度+3

定番特別純米。

穏やかな香りと、

幅のある濃醇辛口。

料理を引き立てる食中酒です。


6. 神開 純米原酒 水酛

伝統的な水酛を現代的に再構築した商品。

2026年、

SAKE COMPETITION モダンナチュラル部門4位・GOLD。


7. 神開 純米原酒 麹マシマシ

  • 山田錦100%
  • 精米60%
  • 米40%・米麹60%
  • 日本酒度-7

ブームに逆行する高麹歩合酒。

米麹の風味を強く出します。


8. 神開 純米原酒 KT-901

  • 滋賀県産米100%
  • 精米60%
  • 17度
  • 日本酒度+3.5

リンゴ酸だけでなく、

コハク酸も意識し、

食中酒の酸

を狙った設計です。


9. 神開 特別純米 あまずっぱい

  • 14度
  • 日本酒度-29
  • 滋賀県産米100%
  • 精米60%

甘味+リンゴ酸

を前面に出す低アルコール設計です。


10. 神開 特別純米 leggero

  • 14.5度
  • 日本酒度-16
  • 山田錦・滋賀県産米
  • 精米60%

コンセプトは、

「そっと寄り添う酒」

です。

軽い甘味とジューシーな酸、

瑞々しい後口を持ちます。


11. 神開 純米低アルコール発泡酒

  • 8度
  • 日本酒度-50
  • 滋賀県産米100%
  • 精米70%

デラウェア系の果実感

と、

グレープフルーツ様の苦味を持つ発泡酒です。


12. 神開 激辛口

  • 滋賀県産米100%
  • 精米60%
  • 19度
  • 日本酒度+20

神開史上最も辛口

とされる商品。

ただ辛いだけでなく、

米の甘味・旨味を残します。


13. 神開 上撰

  • 滋賀県産米100%
  • 精米70%
  • 15度
  • 日本酒度+2

数十年愛される、

地域の定番酒。

冷酒、

常温、

燗、

すべてに対応します。


⑩ 味わい・酒質ポジション

藤本酒造の酒質を一つに固定するのは適切ではありません。

その特徴はむしろ、

「振幅の広さ」

です。

一方に、

紫水
みやの四季

という、

芳香・透明・繊細

な吟醸系。

もう一方に、

水酛
山廃
麹マシマシ
激辛口

という、

旨味・酸・発酵感・骨格

の強い酒があります。

さらに、

あまずっぱい
leggero
低アル発泡酒

によって、

軽快・甘酸・低アル

までカバーします。

味覚軸評価
吟醸香★★★★★
米旨★★★★★
甘味表現★★★★★
酸表現★★★★★
辛口表現★★★★★
濃醇さ★★★★★
軽快さ★★★★★
発酵感★★★★★
酒米差表現★★★★★
酵母差表現★★★★★
生酒力★★★★★
食中適性★★★★★
冷酒適性★★★★★
燗適性★★★★☆
初心者入口★★★★★
上級者探究性★★★★★

酒質定義

「甲賀型・多方向発酵表現酒」

です。


⑪ 品質評価・受賞実績

全国新酒鑑評会 2026

令和7酒造年度全国新酒鑑評会で、

「神開」=入賞。

滋賀県では、

6点入賞、

うち2点が金賞でした。


SAKE COMPETITION 2026

神開 純米原酒 水酛

が、

モダンナチュラル部門 第4位・GOLD。

同部門は95点出品でした。


GI滋賀

神開 純米吟醸 吟吹雪

が、

GI滋賀認定商品です。


過去の滋賀県内評価

「神開 純米大吟醸 みやの四季」は、

滋賀の地酒評価企画でも受賞実績があります。

品質評価の本質

藤本酒造の現在地を最もよく示すのは、

全国鑑評会の吟醸品質

と、

SAKE COMPETITIONの水酛評価

が同じ年に成立していることです。

つまり、

王道と実験の両方で品質を出せる。

これが強みです。


⑫ 地域ブランド・食文化

藤本酒造の地域ブランドは、

甲賀

水口

近江米

大津絵

忍者文化

の五層です。


1. 甲賀

全国的にも、

甲賀忍者

で認知される地域です。

藤本酒造自身も、

公式ショップで「甲賀忍者の里」と紹介しています。


2. 水口

蔵所在地。

水と田園に恵まれた土地です。


3. 近江米

吟吹雪、

玉栄、

日本晴等を使い、

酒そのものへ滋賀性を入れています。


4. 大津絵

神開は、

大津絵

をラベル文化にも取り入れています。

大津絵は江戸時代に滋賀で発達した郷土絵画で、

藤本酒造のブランド表現にも使われています。


5. 東海道酒蔵文化

2026年には、

湖南・甲賀の6酒蔵による、

「春の東海道酒蔵めぐり」

に参加。

北島酒造、美冨久酒造、笑四季酒造などと地域回遊を形成しています。

地域構造

甲賀=文化

水口=土地

井戸=水

近江米=農業

大津絵=美術

神開=酒

です。


⑬ 食中酒・ペアリング戦略

神開は商品幅が広いため、

料理への対応力も高い酒蔵です。

酒合わせたい料理理由
紫水白身魚・会席繊細・吟醸香
みやの四季刺身芳香・深み
吟吹雪9號焼魚甘旨・酸
大自然しんかい煮物濃醇辛口
水酛発酵料理複雑酸
KT-901貝料理コハク酸
麹マシマシ味噌料理麹旨
激辛口天ぷら高いキレ
あまずっぱいチーズ甘酸
leggero前菜軽快
低アル発泡洋食・魚介発泡・果実感
上撰家庭料理温度対応

特にKT-901は、

コハク酸生成を意識し、

食中酒に特化した酸設計

を明確に掲げています。

食中酒の本質

「料理に酒を合わせるだけでなく、酵母・酸・甘辛そのものを料理用途から設計する」

酒蔵です。


⑭ 観光・直売・顧客接点

藤本酒造は、

大規模観光蔵ではなく、地域直売+イベント参加型酒蔵

です。

滋賀県の酒蔵周遊情報では、

店舗販売

駐車場あり

と案内されています。


蔵開き

2026年3月には、

春の東海道酒蔵めぐり

へ参加。

甲賀・湖南の6蔵が同時に蔵開きを行いました。


オンライン

公式BASEショップがあり、

定番酒から限定生酒まで、

直接購入できます。


見学

現在の公的案内には通常時の固定的な蔵見学メニューが明確に記載されていないため、

見学希望時は事前問い合わせ

が適切です。

観光類型

「蔵元販売+蔵開きイベント+甲賀酒蔵回遊型」

です。


⑮ 流通・販売戦略

藤本酒造の流通は、

地域酒販+蔵元EC+限定酒

の組み合わせです。

甲賀市商工会は、

神開を、

水口町の酒小売店

およびホームページで販売すると案内しています。


1. 地元酒販店

地域の日常酒として、

神開を流通。


2. 公式EC

限定生酒、

実験酒、

高級酒まで全国へ直接販売できます。


3. 季節・限定商品

少量仕込みの商品を頻繁に展開することで、

「次に何が出るか」

を購入動機にできます。


4. 定番酒

上撰や大自然しんかいによって、

地元の継続需要を支えます。

流通の本質

「定番で地域を支え、限定酒で全国のファンを引きつける」

構造です。


⑯ ターゲット

ターゲット適合度理由
甲賀市民★★★★★地酒
滋賀県民★★★★★近江米
日本酒初心者★★★★★leggero・発泡
日本酒上級者★★★★★水酛・山廃
純米酒派★★★★★商品多数
吟醸酒派★★★★★紫水等
滋賀酒米ファン★★★★★吟吹雪・玉栄
生酒ファン★★★★★非常に多い
辛口派★★★★★+20
甘口派★★★★★-29・-50
酸重視★★★★★KT-901等
発酵系★★★★★水酛
低アル層★★★★★8~14度台
食中酒層★★★★★酸設計
実験酒好き★★★★★最大強み
地域文化層★★★★★甲賀・大津絵

⑰ 競合比較

滋賀・甲賀エリアでは、

美冨久酒造
笑四季酒造
北島酒造
松瀬酒造

などと比較すると特徴が明確です。

項目藤本酒造美冨久酒造笑四季酒造北島酒造
地域水口水口水口湖南
主銘柄神開美冨久・三連星笑四季御代栄・北島
創業176419171892系1805
中核実験×近江米山廃×吟醸モダン発酵生酛×燗
地元米極めて強い極めて強い強い極めて強い
水物語極めて強い強い強い強い
水酛強い一部一部一部
高酸酒極めて強い一部極めて強い限定
低アル強い一部強い一部
定番地酒強い強い弱め強い
2026全国入賞――金賞
2026 SAKE COMP水酛GOLD―――
最大差老舗×自由な実験醸造山廃×観光モダン酒質生酛×熟成燗

差別化

美冨久酒造が山廃と観光体験を強く持つのに対し、藤本酒造は小規模だからこその商品開発自由度が強い。

また、

笑四季酒造がモダンな酒質へブランド全体を振るのに対し、藤本酒造は「上撰」という昔ながらの日常酒と、水酛・低アル発泡酒を同じ“神開”の中で共存させています。

⑱ SWOT分析

区分要素評価戦略的意味
Strength1764年創業極めて強い歴史
Strength神開の名称物語最大ブランド
Strength神託井戸水最大水
Strength和醸良酒強い組織思想
Strength滋賀県産米極めて強い地域
Strength吟吹雪極めて強いGI滋賀
Strength玉栄強い米表現
Strength契約農家強い原料
Strength水酛極めて強い差別化
Strength高酸酒極めて強い若年市場
Strength高麹歩合極めて強い実験性
Strength極辛強い幅
Strength低アル強い新規客
StrengthEC強いD2C
Weakness商品数が多い高初心者迷いやすい
Weakness神開の中心商品が見えにくい中~高ブランド整理
Weakness観光設備情報が限定的中来訪
Weakness生産規模の制約中限定性
Weakness水源スペック情報が少ない中テロワール説明
Opportunity発酵酒人気最大水酛
Opportunity低アル市場最大leggero等
Opportunity酒米比較大吟吹雪・玉栄
Opportunity甲賀観光大忍者
Opportunity東海道酒蔵巡り大観光
Opportunityモダンナチュラル最大2026受賞
Threat米価高騰高地元米
Threat多SKU管理高在庫
Threat日本酒人口減少高国内
Threat小規模人材継承高技術
Threat実験酒が定番ブランドをぼかす中認知

⑲ PEST分析

区分外部環境影響対応
PoliticalGI滋賀追い風吟吹雪
Political地方創生追い風甲賀
Political酒蔵観光機会東海道
Economic米価上昇リスク契約農家
EconomicEC市場機会限定酒
Economicプレミアム酒機会紫水
Social低アル志向最大leggero
Social発酵文化人気最大水酛
Social個性的地酒需要最大実験酒
Social地産地消大近江米
Technological酵母選択強み多様な酸
Technological低温熟成強み紫水
Technological小ロット商品開発最大神開
Environmental井戸水最重要ブランド
Environmental気候変動高米

⑳ 4P分析

区分現状評価
Product上撰~純大・水酛・低アル・発泡・極辛★★★★★
Price日常~高級★★★★★
Place地元酒販・蔵元EC・イベント★★★★☆
Promotion神開物語・近江米・実験酒★★★★★

Product

商品幅は、

普通酒
↓
特別純米
↓
純米吟醸
↓
純米大吟醸
↓
山廃
↓
水酛
↓
生原酒
↓
高麹
↓
高酸
↓
低アル
↓
発泡酒
↓
熟成酒

まで広がります。


Price

上撰の地域日常価格帯から、

「紫水」720ml・5,500円まで。

幅広い顧客層

をカバーできます。


Place

地域酒販

蔵元販売

公式EC

蔵開き

を組み合わせます。


Promotion

最大の訴求資産は、

1764年

神託の井戸

神開

近江米

水酛GOLD

です。



㉒ ブランドコピー・見せ方

メインコピー

神が開いた水で、酒をひらく。

歴史型

二百六十年、神開。

水型

一つの井戸から、すべては始まった。

和醸良酒型

人の和が、酒を醸す。

滋賀型

近江の米を、甲賀の酒へ。

水酛型

古い造りで、新しい味へ。

実験型

老舗だから、遊べる。

酸型

甘くても、辛くても、酸が酒を動かす。

甲賀型

忍びの里で、発酵は自由になる。

海外型

SHINKAI — Tradition opened by water, reinvented through fermentation.


㉓ この酒蔵をどう見せるべきか

① 最大のブランド資産

「神開」という名前

です。

神託、

井戸、

水、

酒質向上まで、

ブランドストーリーが一語で完結します。


② 最大の思想資産

和醸良酒

です。

組織文化を酒質へ結びつけられます。


③ 最大の地域原料資産

吟吹雪

です。

GI滋賀認定まで含めて、

滋賀酒として説明できます。


④ 最大の技術資産

多様な醸造アプローチ

です。

吟醸、

山廃、

水酛、

高麹、

酸、

発泡、

低アル、

熟成。

一つの酒蔵でここまで振れること自体が個性です。


⑤ 最大の最新品質資産

2026 SAKE COMPETITION モダンナチュラル部門4位・GOLD

です。


⑥ 最大の高級酒資産

純米大吟醸 紫水

です。

雫取り+-2℃熟成という、

手間を明確に説明できます。


⑦ 最大の観光資産

甲賀忍者の里+東海道酒蔵めぐり

です。


㉔ 最終評価

評価軸評価コメント
歴史性5.0/51764年
酒名物語5.0/5神託・井戸
水資産5.0/5神開の起点
企業理念5.0/5和醸良酒
地域性5.0/5甲賀・水口
滋賀米活用5.0/5多品種
吟吹雪5.0/5GI滋賀
玉栄4.9/5地域酒米
契約農業4.8/5農家対話
高級酒力4.9/5紫水
吟醸技術5.0/5雫取り
水酛5.0/52026 GOLD
山廃4.8/5商品展開
高酸酒5.0/5独自性
高麹歩合5.0/5麹マシマシ
低アル5.0/5多商品
発泡酒5.0/5若年入口
辛口5.0/5+20
生酒力5.0/5非常に強い
商品開発力5.0/5最大特徴
食中酒力5.0/5酸設計
国内評価5.0/52026全国入賞
市販酒評価5.0/5SAKE COMP
D2C5.0/5公式EC
独自性5.0/5老舗×実験
成長可能性5.0/5現代酒質市場


㉖ 最終結論

藤本酒造株式会社は、滋賀県甲賀市水口町伴中山696番地に蔵を構える、明和元年・1764年創業の酒蔵です。

代表者は、

藤本信行氏。

代表銘柄は、

「神開」。

この酒蔵の原点は、

水

です。

創業当初、

「宝一」という銘柄で酒を醸していましたが、

酒質が思うように上がらなかった。

そこで、

当地の、

山村神社

へ祈願します。

神託に従って井戸を掘ると、

良質な水が湧きました。

その水と、

近江米を使って酒を造ったところ、

酒質が大きく改善。

そこで酒名を、

「神開」

へ変更しました。

つまり、

神開は単なる商品名ではありません。

藤本酒造の酒造史そのもの

です。

現在の企業理念は、

「和醸良酒」。

働く人の和があれば、

自然に良い酒が生まれる。

その考え方から、

チームワークを大切にし、

社員全体で新技術の習得と商品開発へ取り組んでいます。

原料米では、

山田錦

吟吹雪

玉栄

日本晴

を中心に使用。

特に近年は、

契約農家と話し合いながら、

「力強い米を育てる」

ことへ取り組んでいます。

滋賀県産吟吹雪を使う、

「神開 純米吟醸 吟吹雪」

は、

GI滋賀認定酒。

地域性を明確に持つ一本です。

一方、

最高級酒、

「純米大吟醸 紫水」

では、

兵庫県産山田錦を40%まで精米。

醪を袋へ入れて吊るし、

自然に滴る雫だけを採り、

-2℃

でじっくり熟成します。

つまり、

藤本酒造には、

王道の高級吟醸技術があります。

しかし、

この蔵を現在もっとも特徴付けているのは、

その先です。

水酛。

山廃。

高麹歩合。

高酸。

低アル。

発泡。

激辛口。

現在の公式商品を見ると、

酒質の振れ幅は非常に大きい。

「麹マシマシ」では、

通常20%ほどの米麹比率を、

60%

まで増やします。

「KT-901」では、

リンゴ酸だけでなく、

コハク酸

まで含めて食中性を設計。

「あまずっぱい」は、

日本酒度-29。

低アル発泡酒は、

8度・日本酒度-50。

一方、

「激辛口」は、

19度・日本酒度+20。

同じ神開という銘柄の中で、

-50から+20まで振れる。

これは、

藤本酒造の企業姿勢を非常によく表しています。

「神開という伝統は守る。しかし、味は固定しない。」

ということです。

その商品開発力は、

2026年に大きく評価されました。

令和7酒造年度全国新酒鑑評会では、

「神開」=入賞。

さらに、

SAKE COMPETITION 2026では、

「神開 純米原酒 水酛」

が、

95点が出品されたモダンナチュラル部門で、

第4位・GOLD。

ここが重要です。

全国新酒鑑評会は、

王道の吟醸技術を問う世界。

一方、

モダンナチュラル部門は、

生酛、

山廃、

水酛など、

伝統的な微生物利用を現代酒質へ変換する領域です。

藤本酒造は2026年、

王道吟醸と古典発酵の両方で結果を出した

ことになります。

同時に、

発売から数十年続く、

「神開 上撰」

も残っています。

滋賀県産米100%。

精米70%。

冷酒、

常温、

燗まで対応する、

地域の日常酒です。

つまり、

藤本酒造には、

昔から地域で飲まれる上撰

と、

世界的市販酒コンペで評価される水酛

が同時に存在します。

これが、

この酒蔵の最大の面白さです。

したがって藤本酒造を最も正確に定義するなら、

「明和元年・1764年創業。滋賀県甲賀市水口町伴中山で、山村神社の神託によって掘り当てた良質な井戸水と近江米から『神開』を生み、『和醸良酒』を企業理念として継承。山田錦・吟吹雪・玉栄・日本晴を中心に契約農家との米づくりを進め、純米大吟醸『紫水』では山田錦40%・雫取り・-2℃熟成、GI滋賀『純米吟醸 吟吹雪』では地域性を表現する一方、水酛、山廃、高麹歩合、リンゴ酸・コハク酸設計、低アル発泡、日本酒度-50の甘酸系から+20の極辛口まで大胆に展開。2026年全国新酒鑑評会入賞、SAKE COMPETITION 2026では『純米原酒 水酛』がモダンナチュラル部門4位・GOLDを獲得した、“甲賀水口井戸水型・近江米重視型・和醸良酒型・小規模実験醸造型・伝統革新両立型酒蔵”」

です。

滋賀県の主要蔵と比較すると、

松瀬酒造=竜王の田んぼ・土壌・契約栽培を深掘りする精密テロワール型酒蔵

北島酒造=生酛・完全発酵・熟成・燗へ酒質を収束する食中酒型酒蔵

浪乃音酒造=琵琶湖・家族小仕込み・酒米・料理を一体化する堅田型酒蔵

美冨久酒造=水口の山廃技術と観光・飲食体験を融合する酒蔵

に対して、

藤本酒造=「神託で得た水と近江米という260年超の伝統を守りながら、水酛・山廃・高麹・高酸・低アル・発泡・極辛という幅広い発酵設計へ挑み、“老舗だからこそ自由に造る”ことを体現する甲賀・水口の実験型酒蔵」

という、滋賀県内でも明確な独自ポジションを持っています。

藤本酒造のテロワールを味わう👇

イメージ 酒蔵 説明 リンク
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藤本酒造

神託の井戸水と近江米で「神開」を醸す、1764年創業の甲賀の酒蔵。

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