佐々木酒造(酒蔵ガイド)
― 京都御所と二条城の間、かつて豊臣秀吉の聚楽第があった京都・洛中で1893年から酒を醸す酒蔵。「聚楽第」を軸に、千利休も茶の湯に使ったと伝わる地下水「銀明水」と手造りの技を受け継ぐ。純米大吟醸から「古都」「西陣」「平安四神」、季節酒まで、京都の歴史・水・食文化を現代の一杯へつなぐ“洛中伝承型”の酒蔵。京都市の資料でも、かつて多数あった洛中の酒蔵の中で現在まで残る酒蔵として紹介されている。

① 一行定義
銀明水と洛中の歴史を「聚楽第」へ醸す、1893年創業の酒蔵。
② ブランド要約
所在地: 京都府京都市上京区北伊勢屋町727
会社名: 佐々木酒造株式会社
創立: 明治26年・1893年
代表者: 佐々木 晃
代表銘柄: 聚楽第
主要銘柄: 聚楽第・古都・西陣・聚楽菊・平安四神・まるたけえびす
地域: 京都市上京区・洛中・西陣
歴史背景: 豊臣秀吉の聚楽第跡周辺
仕込水: 地下水「銀明水」
酒造体制: 洛中伝承の手造り+現代醸造技術
杜氏: 田中 豊人
主力酒質: 大吟醸・純米大吟醸・純米吟醸・特別純米・純米・本醸造・普通酒・原酒・季節酒
直売: 小売部あり
小売営業時間: 10:00〜17:00
定休日: 日曜・祝日・お盆・年末年始
試飲: 予約不要の有料試飲あり
酒蔵見学: 事前予約制
事業: 清酒・リキュール・清涼飲料水の製造販売、酒蔵ツーリズム
佐々木酒造の酒造りを理解するうえで欠かせないのが、
「場所そのものがブランドになっている」
という点である。
蔵は、豊臣秀吉が築いた聚楽第の南側に位置する。
この地域は古くから良質な地下水に恵まれ、蔵では現在も井戸から湧く**「銀明水」**を仕込みに使う。千利休が茶の湯にも用いたと伝えられる水で、現在の敷地周辺には徳川家康邸跡を示す石碑も建つ。
代表酒は、
「聚楽第」。
さらに、
川端康成が好んだと紹介される**「古都」**。
京都・西陣の名を冠する**「西陣」**。
京の四方を守る四神を題材にした**「平安四神」**。
京都の通り名のわらべ歌から名付けた**「まるたけえびす」**。
と、酒そのものだけでなく京都の場所・歴史・文化を銘柄へ翻訳している。
👉 “京都を背景に酒を売るのではなく、京都そのものを酒名・水・物語へ落とし込む蔵。”
③ 味ポジション
香り :★★★☆☆〜★★★★★
甘味 :★★★☆☆〜★★★★☆
旨味 :★★★★☆
透明感 :★★★★☆〜★★★★★
酸 :★★★☆☆〜★★★★☆
キレ :★★★★☆〜★★★★★
コク :★★★☆☆〜★★★★★
👉 “淡麗で上品な入口から、米の旨味と穏やかなコクへつなぐ『京料理調和型』。”
「聚楽第 純米大吟醸」は、
香りが良く
+淡麗
+気品ある味わい。
純米吟醸は、
ほのかな吟醸香
+幅のある旨味。
「古都 純米吟醸」は、
まろやかな口当たり
+キレのよい喉越し。
「西陣 特別純米」は、
精米歩合50%
+純米らしい旨味
+大吟醸仕込みの端正さ。
一方、「聚楽 蔵出原酒」や秋の蔵出原酒では、
濃醇
+コク
+原酒らしい力強さ
まで広がる。
👉 “京料理に寄り添う淡麗さを基礎に、純米の旨味から原酒の厚みまで持つ総合型。”
④ 強み
① 1893年創業、130年以上の酒造史
② 京都・洛中に現存する希少な酒蔵
③ 豊臣秀吉の聚楽第跡という圧倒的な歴史性
④ 千利休も用いたと伝わる「銀明水」
⑤ 洛中で現在も井戸水を使って酒を醸す地域性
⑥ 「聚楽第」という場所と一体化した代表ブランド
⑦ 川端康成ゆかりの「古都」
⑧ 京都の地域名を冠した「西陣」
⑨ 京の四神を題材とした「平安四神」
⑩ 京都の通り名文化を酒にした「まるたけえびす」
⑪ 純米大吟醸から普通酒まで広い商品構成
⑫ 精米歩合40%の純米大吟醸・大吟醸を安定生産
⑬ 少量仕込み・低温長期発酵による限定酒
⑭ 遠心分離機を使う「レボリューションネオ」
⑮ 年間300本限定「ピュアクラフト」
⑯ 季節ごとの新酒・原酒・熟成酒・ひやおろしを展開
⑰ 2023年 全国新酒鑑評会「聚楽第 大吟醸」金賞
⑱ 2025年 全国新酒鑑評会「聚楽第」金賞
⑲ 2026年 全国新酒鑑評会「聚楽第 大吟醸」金賞
⑳ 2023年 Kura Master「聚楽第 純米大吟醸」プラチナ賞
㉑ 2024年IWC「聚楽第 純米大吟醸リミテッドエディション」GOLD
㉒ 2024年IWC「聚楽第 大吟醸エクストラプレミアム」SILVER
㉓ 2026年ワイングラスでおいしい日本酒アワード「聚楽第」金賞
㉔ 直売・試飲・酒蔵見学までつなぐ酒蔵ツーリズム
㉕ 鶏料理と日本酒の国際的ペアリング研究にも展開
👉 “最大の強みは、『京都らしさ』が単なるラベルではなく、水・場所・酒名・観光・料理まで一貫していること。”
特に現在の技術力を示すのが、
「聚楽第」
の評価である。
2023年、2025年に全国新酒鑑評会金賞を受賞し、公式商品情報では2026年の金賞受賞酒も販売されている。
さらに2024年IWCでは純米大吟醸リミテッドエディションがGOLD。
伝統的な洛中の酒蔵でありながら、
少量仕込み
+低温長期発酵
+遠心分離
など、現代技術も積極的に取り込んでいる。
⑤ 向いている人
・京都の地酒を飲みたい人
・洛中の酒文化に興味がある人
・聚楽第や豊臣秀吉の歴史が好きな人
・千利休と京都の水文化に興味がある人
・淡麗で上品な純米大吟醸が好きな人
・京料理と酒を合わせたい人
・純米酒の旨味も楽しみたい人
・季節酒を追いたい人
・原酒や熟成酒も飲みたい人
・大吟醸の受賞酒を試したい人
・酒蔵で試飲したい人
・京都旅行の中に酒蔵体験を組み込みたい人
・歴史と酒を一緒に味わいたい人
👉 “酒そのものだけでなく、京都の水・歴史・町まで一緒に味わいたい人向け。”
選び方は、
聚楽第 純米大吟醸
→ 王道・淡麗・上品
聚楽第 大吟醸
→ 鑑評会・華やか・最高級
西陣 特別純米
→ 米旨・食中・京都
古都 純米吟醸
→ まろやか・キレ・和食
平安四神
→ 京都土産・吟醸
まるたけえびす
→ 燗・米旨・日常
季節酒
→ 新酒・原酒・熟成
と整理すると分かりやすい。
⑥ 向かない人
・極端な超濃醇甘口だけを求める人
・強烈な高酸モダン酒だけを追う人
・生酛・山廃だけを重視する人
・単一ブランドだけの酒蔵を好む人
・地域文化や歴史性を酒に求めない人
・小売・観光体験に関心がない人
👉 “一つの極端な味より、淡麗・旨味・季節・料理との調和を楽しむ人向け。”
佐々木酒造は、
聚楽第
+古都
+西陣
+平安四神
+まるたけえびす
+季節酒
とブランドが多い。
そのため、
一本の銘柄だけで蔵全体を見るより、京都文化との関係ごと飲み分けることで本質が見えてくる酒蔵
である。
⑦ 商品カテゴリ
■ 聚楽第 純米大吟醸
佐々木酒造を代表する一本。
精米歩合:40%
アルコール:16%
日本酒度:+2.5
特徴は、
豊かな香り
+淡麗
+気品
+滑らかな旨味。
京都府観光連盟も、京料理に合う淡麗系の代表酒として紹介している。
👉 “京都・洛中の佐々木酒造を一本で知るなら、まず聚楽第。”
■ 聚楽第 大吟醸 GOLD PRIZE
鑑評会向けの最高峰クラス。
精米歩合:40%
アルコール:17%
日本酒度:+4.0
2026年全国新酒鑑評会金賞酒として公式に販売されている。
👉 “銀明水と吟醸技術を、全国評価へ磨いた一本。”
■ 聚楽第 純米大吟醸 ピュアクラフト
年間300本限定。
精米歩合:40%
アルコール:16%
特徴は、
澄んだ味わい
+洗練された香り
+雑味の少ない上質感。
👉 “量ではなく、一仕込みの精度を追う限定純米大吟醸。”
■ 聚楽第 純米大吟醸 レボリューションネオ
遠心分離機で、
もろみに強い圧力をかけず酒を分離する
現代型商品。
特徴は、
芳醇な香り
+雑味の少なさ
+優美な口当たり。
👉 “洛中の伝統蔵が、搾り方まで更新する一本。”
■ 聚楽第 純米大吟醸 リミテッドエディション
通常より半分以下の量で小さく仕込み、
低温長期発酵
で仕上げる限定酒。
精米歩合:40%
アルコール:16%
2024年IWC SAKE部門でGOLD。
👉 “小さく仕込み、時間をかけて磨く現代の聚楽第。”
■ 聚楽第 純米吟醸
精米歩合:60%
アルコール:15%
日本酒度:+3.0
特徴は、
ほのかな吟醸香
+幅のある味わい。
👉 “純米大吟醸より食卓へ近い、聚楽第の基本食中酒。”
■ 西陣 特別純米
精米歩合:50%
アルコール:15%
日本酒度:+3.0
大吟醸仕込みの技術を生かした純米酒。
京都・西陣という土地の名をそのまま冠する。
👉 “京都の町名と高精白純米を結んだ、本格食中酒。”
■ 古都 大吟醸
精米歩合:50%
アルコール:15%
日本酒度:+3.5
特徴は、
フルーティー
+淡麗
+和食との調和。
「古都」は、川端康成が好んだ酒として公式に紹介されている。
👉 “京都という名そのものを、淡麗な大吟醸へ。”
■ 古都 純米吟醸
精米歩合:60%
アルコール:15%
日本酒度:+3.0
特徴は、
まろやか
+キレの良い喉越し。
👉 “京料理の隣で静かに杯を進める『古都』。”
■ 福実鳥 古都 特別純米
使用米:山田錦100%
精米歩合:65%
アルコール:15%
鶏料理とのペアリングを意識した商品群の一つ。
佐々木酒造は現在、海外の多様な鶏料理と日本酒の相性研究にも取り組んでいる。
👉 “京の酒を、世界の日常料理へ広げる一本。”
■ 平安四神 ブラック 大吟醸
精米歩合:50%
アルコール:15%
日本酒度:+3.5
特徴は、
すっきり
+華やかな香り。
👉 “京都を守る四神をデザインへ落とした、贈答にも向く京酒。”
■ 平安四神 ブルー 吟醸
精米歩合:60%
アルコール:15%
日本酒度:+4.0
特徴は、
ほどよい吟醸香
+キレの良い後口。
👉 “京都らしい軽快な吟醸酒。”
■ まるたけえびす 本醸造
精米歩合:65%
アルコール:15%
日本酒度:+4.0
京都の通り名のわらべ歌から名付けた酒。
米の旨味があり、公式は燗酒に適するとしている。
👉 “京都の町の言葉を、日常の燗酒へ。”
■ 聚楽 普通酒
精米歩合:75%
アルコール:15%
長く飲み続けられてきたロングセラー。
👉 “最高級の聚楽第とは別に、洛中の日常を支える酒。”
■ 季節酒
四季の変化に合わせて、
春
古都 大吟醸おりがらみ
古都 純米吟醸原酒
夏
夏方 純米吟醸原酒
呑切り 蔵出原酒
秋
西陣 特別純米 熟成酒
古都 純米吟醸ひやおろし
聚楽 秋晴れ 蔵出原酒
冬
聚楽第 吟醸あらばしり
古都 しぼりたて
西陣 特別純米しぼりたて
を展開する。
👉 “京都の四季を、酒の熟成と鮮度で飲み分ける。”
⑧ 飲み方
冷酒 :◎◎
常温 :◎◎
ぬる燗 :◎◎
熱燗 :◎
ワイングラス :◎◎
季節酒 :◎◎
食中酒 :◎◎
👉 聚楽第・古都の吟醸系は冷酒〜ワイングラス。西陣は冷酒〜常温。まるたけえびす・普通酒は常温〜燗で米の旨味を楽しみやすい。
■ 料理との合わせ方
聚楽第 純米大吟醸
→ 京懐石、寿司、白身魚、湯葉
聚楽第 純米吟醸
→ 刺身、天ぷら、出汁料理
西陣 特別純米
→ 焼魚、鶏料理、煮物
古都 大吟醸
→ 京料理、白身魚、前菜
古都 純米吟醸
→ 湯豆腐、湯葉、天ぷら
福実鳥 古都
→ 焼鳥、鶏鍋、照焼
まるたけえびす
→ おばんざい、煮物、焼魚、燗向き料理
京都なら、
湯豆腐
湯葉
京野菜
鱧
西京焼き
鶏料理
おばんざい
漬物
京懐石
との組み合わせが分かりやすい。
👉 “銀明水で醸した洛中の酒を、京都の出汁と季節の料理で飲む。”
⑨ 位置づけ
クラシック ← ◎ → ◎ モダン
穏やか ← ◎ → ○ 華やか
淡麗 ← ◎ → ○ 濃醇
辛口 ← ◎ → ○ 甘旨口
日常酒 ← ◎ → ◎ 最高級酒
伝統技法 ← ◎ → ◎ 先端醸造
地元文化 ← ◎ → ◎ 国際評価
酒単体 ← ◎ → ◎ 観光体験
👉 “銀明水・聚楽第跡・京都文化を核に、手造りと先端技術を重ねる『洛中歴史文化型』酒蔵。”
京都の酒蔵を大きく捉えると、
伏見が、
豊富な地下水
+酒蔵集積
+大量流通
を特徴とするのに対し、
佐々木酒造は、
洛中
+聚楽第
+銀明水
+京都の町文化
+小規模醸造
という異なる位置にある。
ブランド構造は、
京都盆地
→ 銀明水
→ 聚楽第
→ 1893年創業
→ 聚楽第
→ 古都
→ 西陣
→ 平安四神
→ 季節酒
→ 酒蔵ツーリズム
という流れを持つ。
さらに現在は、
小仕込み。
低温長期発酵。
遠心分離。
世界料理とのペアリング。
酒蔵ツーリズム。
まで領域を広げている。
重要なのは、
「京都らしい名前を付けた酒」を造っているのではないこと。
京都の地下水を使う。
京都の歴史の上で造る。
京都の町名を酒名にする。
京都の料理と合わせる。
そして、
その場所へ実際に人を招く。
つまり佐々木酒造は、
“京都土産の日本酒を造る蔵”
ではない。
“洛中という場所の記憶を、酒・食・観光へつなぐ蔵”
と捉えるのが最も適切である。
■ コピー
メイン
「洛中の水と歴史を、一杯の京都へ。『聚楽第』。」
サブ
京都・洛中。
豊臣秀吉の聚楽第跡に湧く銀明水。
1893年から、その水で「聚楽第」を醸してきた。
古都、西陣、平安四神。
酒の名にも、京都の記憶が残る。
洛中の歴史を、今日飲める一杯へ。
■ 結論
京都・洛中で1893年から続く佐々木酒造。
千利休も愛したと伝わる銀明水を仕込み水に、「聚楽第」「古都」「西陣」など京都の歴史と町文化を酒へ映してきた。
古都の記憶を守るだけでなく、今の酒・食・旅へつなぐ――それが佐々木酒造である。
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銀明水と洛中の歴史を「聚楽第」へ醸す、1893年創業の酒蔵。 |

