吉田酒造(酒蔵企業分析)
吉田酒造|酒蔵企業分析・固定フォーマット26項目
超軟水と地元米で、香り・旨味・キレを磨く「月山」の蔵元
所在地:島根県安来市広瀬町広瀬1216
情報確認日:2026年10月2日
公式サイト、公式通販、自治体の企業情報、受賞結果など、確認できた公開情報に基づく。経営・ブランド評価は公開情報を踏まえた分析であり、非公開の財務情報を推定したものではない。
① 一行定義
吉田酒造は、広瀬の超軟水と地元契約農家の米を用い、香り・旨味・キレが調和する「月山」を醸す酒蔵である。
② 企業結論・ブランド要約
地域の原料を、現代的な飲みやすさへつなぐ酒蔵である。
月山の魅力は、華やかな香り、透明感のある口当たり、米の旨味、すっきりした後口にある。日本酒に慣れていない人の入口を目指しながら、食中酒、贈答酒、発泡酒、蒸留酒へ商品を広げている。初心者への親しみやすさと、技術へのこだわりが共存するブランドと評価できる。
③ 基本情報
| 項目 | 公開情報 |
|---|---|
| 会社名・代表者 | 吉田酒造株式会社/代表取締役 吉田 智則 |
| 所在地・電話 | 〒692-0404 島根県安来市広瀬町広瀬1216/0854-32-2258 |
| 創業・法人設立 | 創業1743年/法人設立1964年10月 |
| 資本金・従業員 | 自治体掲載:2,030万円・15名。掲載値の基準日は不明 |
| 事業・代表銘柄 | 酒類製造販売/月山 |
| 公式サイト・通販 | https://e-gassan.co.jp/ / https://e-gassan.com/ |
| 売上高・利益・年間製造量 | 今回確認した公開資料では未確認 |
創業と法人設立は区別して記載した。代表者は公式通販の表記、資本金・従業員数・法人設立は安来市の企業情報に基づく。
④ 歴史・企業形成
公式資料では、1743年に広瀬藩の藩公特許による酒造館として始まったと説明している。旧家の酒造りは1730年までさかのぼり、現在も煙突の「安」の文字にその歴史が残る。
「月山」の名は、地域で最良の酒を一番樽として藩主へ献上した歴史に由来する。献上酒の物語を、現在の品質目標へ受け継いでいる点が特徴である。
⑤ ブランド構造
| ブランド・商品群 | 主な役割 |
|---|---|
| 月山 | 定番純米酒から高級吟醸酒までを担う中心ブランド |
| 生酛おろち | 生酛の旨味と酸を楽しむ食中酒 |
| 美月・春陽 | 軽やかな口当たりや新しい香味を提供 |
| スパークリングCLOUD | 発泡感を楽しむ日本酒 |
| RISOPPA・樽熟RISOPPA | 酒粕の蒸留と樽熟成による商品展開 |
| 月梅・月柚 | 梅・柚子を用いたリキュール |
「月山」の名前を軸に、飲む場面と好みの違いへ対応する構造である。
⑥ 水・風土・地域テロワール
仕込水は、広瀬の「お茶の水井戸」を復元した井戸の超軟水である。蔵元は硬度を「0.3」と公表しているが、掲載箇所では単位・測定条件を確認できないため、その数値を蔵元公表値として扱う。
米は広瀬町西比田の契約農家で育てたものを主に使用する。水と米の産地を具体的に説明できることが、地域性の根拠となる。 土壌成分や水質と香味の因果関係を示す研究データは未確認である。
⑦ 独自技術・酒造技術
| 技術・工程 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 自社精米・低温環境 | 玄米で仕入れて精米。四季醸造に対応する冷却設備を整備 |
| 発酵・鮮度管理 | 泡の出る酵母を活用し、移送時の空気接触を抑え、瓶貯蔵を重視 |
| 高級酒の搾り | 「月の雫」で袋吊り・斗瓶取りを採用 |
| 生酛・瓶内二次発酵 | 「おろち」「CLOUD」で異なる酒質を形成 |
| 蒸留・樽熟成 | 酒粕の減圧蒸留とオーク樽熟成を商品化 |
原料から瓶詰めまでの管理と、製法の使い分けが技術面の強みである。 各工程が全商品に一律で適用されるとは限らない。
⑧ 原料・酒米戦略
| 原料・調達 | 確認できる特徴 |
|---|---|
| 地元契約農家の米 | 広瀬町西比田産を主に使用し、玄米から自社管理 |
| 山田錦 | 「月の雫」、純米大吟醸、美月などで使用 |
| 佐香錦・改良雄町等 | 酒造組合の純米吟醸紹介に掲載 |
| 春陽 | 島根県産の低グルテリン米を使用 |
| 酒粕 | RISOPPAの原料として活用 |
地域調達と、原料の違いを生かす商品開発が両立している。 全商品の原料が地元産という意味ではなく、契約農家数・面積、自社育種、酒米復活事業は未確認である。
⑨ 商品・商品戦略
主要商品の公式掲載価格を整理した。税込・送料別、確認時点の価格であり、在庫や販売時期は変動する。
| 商品 | 主な仕様・特徴 | 容量・価格 |
|---|---|---|
| 月山 芳醇辛口純米 | 精米歩合70%・15度、日常の食中酒 | 720ml・1,540円 |
| 月山 特別純米 出雲/特別純米 | 定番純米酒の選択肢 | 各720ml・1,760円 |
| 月山 純米吟醸 | 精米歩合55%・15度 | 720ml・2,200円 |
| 月山 純米大吟醸 | 山田錦45%・16度 | 720ml・3,850円 |
| 月山 大吟醸/月の雫 | 月の雫は山田錦35%・袋吊り | 720ml・4,400円/8,250円 |
| 生酛おろち 純米/純米大吟醸 | 生酛による味わいの展開 | 720ml・1,760円/2,200円 |
| 美月 純米吟醸/純米大吟醸 | 13度の軽やかなシリーズ | 720ml・1,870円/1,980円 |
| 春陽60/春陽70 | 春陽を使う純米吟醸・純米 | 720ml・1,870円/1,760円 |
| スパークリングCLOUD | 瓶内二次発酵・12度 | 720ml・2,750円 |
| RISOPPA/樽熟WHITE OAK | 粕取焼酎/5年以上樽熟成のリキュール | 500ml・1,980円/3,850円 |
| 月梅/月柚 | 梅酒・柚子酒 | 各500ml・1,490円 |
| 純米吟醸ひやおろし | 秋の季節商品 | 720ml・2,090円 |
このほか、純米酒、春陽70、樽熟SHERRY CASK、季節の生酒・涼夏、飲み比べセット、酒器・グッズも展開する。日常酒を入口に、季節・製法・贈答用途へ選択を広げる商品構成である。
⑩ 味わい・酒質設計
| 商品群 | 味わいの方向 |
|---|---|
| 定番純米・純米吟醸 | 米の旨味と、すっきりした後口 |
| 純米大吟醸 | 甘味・旨味・酸の調和 |
| 生酛おろち | 酸と旨味を生かした食中酒 |
| 美月・春陽 | 軽やかな口当たり、果実を思わせる香味 |
| CLOUD | きめ細かな泡と爽やかさ |
ブランド全体を結ぶのは、旨味を残しながら飲み口と後口を整える設計である。 味わいは公式説明に基づき、全商品を同じ甘辛・香りの強さと捉えるものではない。
⑪ 受賞・品質評価
| 年 | 対象 | 確認できる受賞 |
|---|---|---|
| 2026年 | 月山・出品酒 | 令和7酒造年度全国新酒鑑評会 金賞 |
| 2025年 | 月山 大吟醸 | 令和6酒造年度全国新酒鑑評会 金賞 |
| 2022年 | 月山 スパークリング クラウド | IWC スパークリング酒部門 GOLD |
| 2016年 | 月山 | ワイングラスでおいしい日本酒アワード 最高金賞 |
2026年の金賞は酒類総合研究所の目録で確認できる。その他は蔵元の公式報告に基づく。吟醸酒と発泡酒の双方に品質評価の実績がある。 受賞は対象出品酒の評価であり、全商品の順位や企業収益を示すものではない。
⑫ 地域ブランド
月山富田城のある広瀬の歴史と、地域の水・米がブランドの背景を構成する。
地名や歴史を銘柄に使うだけでなく、契約農家の米、仕込水、製造拠点が地域と結び付いている。酒を通じて安来・広瀬を知る入口になり得る点が強みである。
地域ブランドとしての価値は、歴史の説明と日常の飲みやすさがつながっていることにある。
⑬ 人・組織・継承
公式通販では代表取締役を吉田智則氏と掲載し、安来市の企業情報では製造、営業、事務・管理の職種を紹介している。
蔵元は試験醸造によるスタッフの技術向上を掲げている。伝統を守るために、設備と技術を更新する姿勢が組織上の特徴である。 現在の杜氏体制、後継者、具体的な技能継承制度は今回の確認範囲では未確認である。
⑭ 観光・酒蔵ツーリズム
| 項目 | 公開情報 |
|---|---|
| 通常の蔵見学 | 酒造組合では「不可」と掲載 |
| 2026年の蔵開き | 10月24日(土)開催予定 |
| 内容 | 酒蔵deマルシェ、きき酒クイズ、有料試飲、蔵人による蔵内案内 |
| 交通 | JR安来駅から無料シャトルバスを運行予定 |
| 小売 | 公式サイトで小売販売を案内 |
観光体験は、蔵開きなどの催事が主な接点となる。 通常の見学とイベント時の蔵内案内は別の運用であり、催事の時間・料金・交通条件は最新案内で確認する必要がある。
⑮ 流通・販売
| 販路 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 地酒販売店 | 公式サイトに各地の「買える店」を掲載 |
| 飲食店 | 「飲める店」の情報を掲載 |
| 直販 | 公式通販と蔵での小売販売 |
| 海外 | 米国、香港、台湾、シンガポール、欧州などへの輸出を紹介 |
地域販売、全国の専門店、直販、海外を組み合わせる構造である。 輸出先の掲載内容は公式ページ間で差があるため、固定した国・地域数として扱わない。販路別売上や輸出比率は未確認である。
⑯ 事業構造
| 事業領域 | 分析上の役割 |
|---|---|
| 日本酒の製造販売 | 月山ブランドの中心 |
| 粕取焼酎・樽熟商品 | 酒粕を活用し、醸造から商品価値を広げる |
| リキュール | 梅・柚子などを通じて好みの異なる顧客へ対応 |
| 通販・ギフト・グッズ | 購入機会と継続的なブランド接点 |
酒造りを中心に、副産物と販売接点を活用する事業構造である。 部門別の売上・利益、設備投資額、在庫額は不明なため、事業ごとの収益貢献は判断できない。
⑰ 競合比較
公開情報から整理した競争上の位置づけであり、市場シェアの比較ではない。
| 比較対象 | 吉田酒造の差別化要素 |
|---|---|
| 高級吟醸酒中心の酒蔵 | 日常価格の純米酒と、多様な入口を併せ持つ |
| 地域の日常酒中心の酒蔵 | 袋吊りの高級酒、発泡酒、海外販路を展開 |
| 生酛中心の酒蔵 | 生酛を幅広い月山商品の一つとして位置づける |
| 観光体験中心の酒蔵 | 通常見学は限定的で、催事と商品購入が接点 |
水・米・鮮度管理を軸に、初心者から愛好家まで対応する幅が競争上の特徴である。
⑱ 経営課題・成長余地
⑲ SWOT分析
以下は公開情報に基づく分析である。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| Strengths:強み | 超軟水、地元契約米、自社精米、鮮度管理、受賞実績、全国・海外販路 |
| Weaknesses:弱み・制約 | 通常見学が不可。商品が多く、違いを伝える負担がある |
| Opportunities:機会 | 初心者需要、発泡酒・13度商品の入口、料理との提案、通販・海外 |
| Threats:脅威 | 米質変動、原料・物流費、人材確保、飲酒機会の変化 |
財務情報の未確認は、企業の弱さではなく、外部評価における情報上の制約である。
⑳ PEST分析
外部環境が事業へ及ぼし得る影響を整理する。
| 要因 | 分析上の着眼点 |
|---|---|
| Political:政策・制度 | 地域農業、観光、輸出支援と事業の接点 |
| Economic:経済 | 原料・包装・配送費、海外取引の為替と採算 |
| Social:社会 | 少量で楽しむ需要、地域文化への関心、飲酒機会の変化 |
| Technological:技術 | 冷却設備、発酵・鮮度管理、通販による品質と販売の改善 |
具体的な支援制度の利用、影響額、将来の市場規模を確認したものではない。
㉑ 4P分析
| 要素 | 現状と特徴 |
|---|---|
| Product:商品 | 定番酒、生酛、発泡酒、13度商品、生酒、粕取焼酎、リキュール |
| Price:価格 | 主要720ml日本酒の掲載例では1,540~8,250円 |
| Place:販路 | 全国の販売店、飲食店、公式通販、蔵の小売、海外 |
| Promotion:情報発信 | 原料・工程の説明、受賞報告、料理提案、蔵開き |
日常の価格から高級酒へ進める選択肢と、製法・味の違いを伝える情報がそろっている。
㉒ ターゲット
| 顧客層 | 主な接点 |
|---|---|
| 日本酒を飲み始める成人 | 美月、春陽、CLOUD |
| 日常の食事と楽しむ人 | 芳醇辛口純米、特別純米、おろち |
| 香味・製法を比較する愛好家 | 吟醸酒、生酛、生原酒、季節酒 |
| 贈答・記念日を重視する人 | 月の雫、純米大吟醸、ギフト |
| 蒸留酒や樽香を好む人 | RISOPPA、樽熟RISOPPA |
| 地域文化に関心を持つ人 | 広瀬の歴史、蔵開き |
商品特性からの分析であり、実際の顧客構成比を示すものではない。
㉓ ブランドコピー・見せ方
広瀬の水と米から、香り、旨味、澄んだ余韻。
月山は、地域の原料を丁寧に扱い、食事にも語らいにも寄り添う一杯へ仕上げる。華やかさと旨味を感じながら、後口はすっきり。日本酒を知る入口にも、日々の食卓にも選びやすいブランドである。
㉔ この酒蔵をどう見せるべきか・最終評価
㉕ 最終評価
公開情報に基づく定性評価である。「未確認」は、取り組みが存在しないという意味ではない。
| 評価軸 | 評価 | 根拠・留意点 |
|---|---|---|
| 歴史性 | 強い | 1743年創業、広瀬藩と献上酒の背景 |
| 地域性 | 非常に強い | 広瀬の水、契約農家の米、銘柄の由来 |
| 山田錦力 | 強い | 高精白の月の雫、純米大吟醸、美月 |
| 原料品質 | 強みあり | 契約米と玄米からの自社管理 |
| 契約農家力 | 基盤あり | 地元契約農家を明示。数・面積は未確認 |
| 土壌研究力 | 判断保留 | 自社研究の具体的実績は未確認 |
| テロワール力 | 強みあり | 水・原料産地が具体的。香味との科学的検証は未確認 |
| 酒米復活力 | 判断保留 | 自社主導の復活事業は未確認 |
| 酒米開発力 | 判断保留 | 春陽の商品化は確認。自社育種は未確認 |
| 吟醸技術力 | 強い | 高精白、袋吊り、全国新酒鑑評会金賞 |
| 国際評価力 | 強みあり | CLOUDのIWC GOLDなど |
| プレミアム力 | 強い | 月の雫と贈答向けの商品構成 |
| 生酒力 | 基盤あり | 中取無濾過生原酒、しぼりたて |
| 熟成酒力 | 基盤あり | 5年以上の樽熟原酒を使う商品。清酒古酒の中核性は未確認 |
| 商品開発力 | 強い | 生酛、春陽、発泡酒、蒸留・樽熟商品 |
| 食中酒力 | 強い | 冷酒・燗と料理に対応する商品 |
| 直販力 | 基盤あり | 公式通販、小売、ギフト。売上比率は未確認 |
| 観光体験力 | 限定的 | 通常見学不可、蔵開きで体験を提供 |
| 海外適性 | 実績あり | 輸出を確認。輸出額・利益は未確認 |
| ブランド独自性 | 強い | 超軟水、契約米、鮮度管理と広瀬の歴史 |
| 成長可能性 | 余地あり | 初心者・食中酒・海外・通販の接点 |
主な評価根拠は、公式の原料・工程説明、商品情報、販路情報、受賞結果である。
㉖ 最終結論
吉田酒造は、広瀬の歴史と原料を、現代の食卓で楽しめる「月山」へつなぐ酒蔵である。
超軟水と契約米を基礎に、鮮度管理、吟醸、生酛、瓶内二次発酵、蒸留へ技術を広げている。日常酒から高級酒まで、異なる顧客がブランドに触れる入口を持つ点が強みとなる。
今後の経営評価では、商品別・販路別の採算、原料の安定調達、人材継承が重要になる。地域性と商品力には具体的な根拠があり、経営成果の判断には財務・販売実績の確認が必要な酒蔵と結論づけられる。
吉田酒造のテロワールを味わう👇
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吉田酒造 |
広瀬の超軟水と地元米で、華やかな香り・透明感・米の旨味を備えた月山を醸す蔵。 |

