東酒造(酒蔵ガイド)

― 白山の伏流水、小松の米、金沢酵母を軸に、国登録有形文化財の石蔵で「神泉」を醸す1860年創業の小松の少量高品質酒蔵。 ―

① 一行定義

東酒造は、石川県小松市野田町で「神泉」を醸す、1860年創業・白山伏流水・地元酒米・金沢酵母・少量高品質・国登録有形文化財の石蔵・芳醇な旨味とすっきりしたキレを強みとする小松の老舗酒蔵。


② ブランド要約

所在地: 石川県小松市野田町丁35番地
創業: 万延元年・1860年
代表ブランド: 神泉
地域ブランド: 蛍舞
代表者: 東祐輔
地域: 小松・南加賀・白山麓
水: 白山由来の伏流水
主要酒米: 五百万石・百万石乃白・山田錦・蛍米など
酵母: 金沢酵母を積極活用
生産規模: 少量生産型
建築: 酒蔵・母屋など12棟が国登録有形文化財
酒質思想: 地酒は土地の文化・少数精鋭・高品質

👉 “石川の土地と文化を、少量の高品質酒へ凝縮する蔵。”

東酒造は1860年創業。「神泉」を中心に、大吟醸・純米大吟醸・純米吟醸・純米酒・本醸造などを少量生産する酒蔵である。公的な企業紹介では年間約300石規模とされ、量を追うよりも高級酒を主体とした少数精鋭型の酒造りを続けている。

蔵が掲げる考え方は、

「地酒は土地の文化」

という極めて明快なもの。

白山の伏流水、小松を中心とする地域の米、金沢酵母など、石川の風土を酒へ落とし込むことを重視している。


③ 味ポジション

香り  :★★★☆☆〜★★★★☆
甘味  :★★★☆☆〜★★★★☆
旨味  :★★★★☆〜★★★★★
透明感 :★★★★☆
キレ  :★★★★☆〜★★★★★
コク  :★★★★☆

👉 “金沢酵母の旨味と酸を生かし、芳醇ながら後口はすっきり切れる食中酒型。”

東酒造の酒質は、一方向ではない。

「神泉 純米吟醸 ブルーラベル」は、

旨味
+酸
+ほのかな果実香
+すっきりした辛口

が特徴。

一方、「神泉 純米吟醸 旨口」は甘味を感じさせながら、後味をすっきりまとめた芳醇旨口型となる。

つまり「神泉」の基本構造は、

金沢酵母由来の旨味
+適度な酸
+穏やかな香り
+丸み
+切れの良い後口

である。

👉 “甘口か辛口かではなく、旨味を残して後口を切る。”

ここが神泉の理解しやすい味の軸となる。


④ 強み

1860年創業、160年以上の歴史
白山由来の伏流水
小松・石川産の米を重視する地酒思想
金沢酵母を生かした旨味と酸の酒質
年間約300石規模の少量高品質型酒造り
高級酒主体の少数精鋭の商品設計
酒蔵を構成する12棟が国登録有形文化財
地元・観音下石を使う希少な石蔵
日本遺産「珠玉と歩む物語」の構成文化財
2026年全国新酒鑑評会「神泉」金賞
ブルーラベルがKura Masterでプラチナ賞・金賞実績
ブルーラベルが全国燗酒コンテスト2025金賞
大吟醸が旧政府専用機の機内酒として採用実績
予約制の酒蔵見学・試飲を実施

👉 “酒質・地域原料・文化財建築を同時にブランド資産として持つ。”

東酒造で特に重要なのが、石蔵

酒蔵を構成する建物群は2009年に国登録有形文化財となり、2017年には小松の石文化を物語る日本遺産の構成文化財にも認定された。地元・観音下産の石材を使った蔵は、酒造施設としてだけでなく地域文化そのものを伝える資産である。

さらに2026年の全国新酒鑑評会では、「神泉」が金賞を受賞。少量生産型でありながら、鑑評会酒でも高い醸造力を示している。


⑤ 向いている人

・石川、小松の地酒を飲みたい人
・金沢酵母の日本酒に興味がある人
・旨味とキレを両立した酒が好きな人
・淡麗一辺倒では物足りない人
・純米吟醸を中心に楽しみたい人
・甘旨系と辛口の両方を飲み比べたい人
・五百万石や百万石乃白に興味がある人
・食中酒を重視する人
・冷酒だけでなく燗酒も楽しみたい人
・小規模酒蔵の丁寧な造りを評価する人
・歴史的建築や文化財に興味がある人
・酒蔵見学と試飲を楽しみたい人
・鑑評会・国際コンクール受賞酒を飲みたい人

👉 “酒だけでなく、石川の米・水・酵母・建築まで一緒に味わいたい人向け。”

神泉は純米吟醸だけでも「ブルーラベル」と「旨口」のように方向性が異なり、同じ蔵で辛口と甘旨口を比較できる点も初心者には分かりやすい。


⑥ 向かない人

・超大量流通の定番酒だけを求める人
・低価格だけで酒を選びたい人
・低アルコール微発泡酒だけを追う人
・極端に華やかな吟醸香だけを求める人
・超濃厚甘口だけを好む人
・熟成古酒だけを中心に飲みたい人
・大型テーマパーク型の酒蔵を期待する人

👉 “規模や派手さより、小さな蔵の完成度と地域性を評価する人向け。”

東酒造は大量供給型ではなく、少量生産を基本とする蔵。

そのため、

希少性
+地域流通
+丁寧な造り

を価値として理解すると、ブランドの魅力が分かりやすい。


⑦ 商品カテゴリ

■ 神泉 大吟醸

神泉 大吟醸

山田錦を高度精米して醸す、神泉を代表する上位酒。

フルーティーな口当たりと香味のバランスを持ちながら、後口は飲み飽きしにくい辛口。

旧政府専用機の機内酒として採用された実績も持つ。

👉 “東酒造の技術力と格を示すフラッグシップ。”


■ 神泉 純米大吟醸

山田錦を50%まで精米。

芳醇
+金沢酵母らしい旨味
+酸
+すっきりした辛口

を特徴とする。

魚料理だけでなく肉料理にも合わせやすい上位食中酒。


■ 神泉 純米吟醸 ブルーラベル

神泉の現代的な主力商品の一つ。

山田錦・金沢酵母を使い、

ほのかなリンゴ系の香り
+旨味
+酸
+すっきりした辛口

に仕上げる。

Kura Master 2020プラチナ賞、2021金賞などの実績があり、全国燗酒コンテスト2025でも金賞を受賞している。

👉 “神泉の辛口・モダン側を代表する一本。”


■ 神泉 純米吟醸 旨口

神泉のもう一つの重要な純米吟醸。

地元米を軸に複数の酒造好適米を用い、四段掛けによって甘味と旨味を引き出す。

芳醇な甘味
+米の旨味
+すっきりした後味

が特徴。

冷酒・常温を中心に幅広く楽しめる。

👉 “甘いのに重く残らない、神泉の旨口側を象徴する酒。”


■ 神泉 純米吟醸 純吟乃白

石川県独自酒米**「百万石乃白」**を使う純米吟醸。

精米歩合55%。

金沢酵母らしい旨味と甘味を持ちながら、余韻はすっきりまとめる。

👉 “石川の米と金沢酵母を直接結びつけるテロワール型商品。”


■ 神泉 吟醸酒

五百万石を使う吟醸酒。

淡麗
+辛口
+キリッとした後口

を特徴とする、神泉の中ではより軽快なタイプ。


■ 神泉 純米酒

五百万石を使用。

純米酒らしい米の豊かな味わいを残しながら、芳醇な辛口にまとめる。

日常の食事と合わせやすい食中酒。


■ 蛍舞

蛍舞プラス 特別純米

小松の地域性を前面に出すもう一つのブランド。

ブランド米「蛍米(コシヒカリ)」を使用し、

米の旨味
+酸
+さらりとした辛口

に仕上げる。

料理との合わせやすさを重視する地域型純米酒。

👉 “神泉=酒造好適米の高品質酒、蛍舞=小松の地域農業を映す酒。”


■ 季節・限定酒

東酒造では、定番の大吟醸・純米大吟醸・純米吟醸に加え、季節ごとの限定酒や生酒なども展開。

少量生産型のため、商品によっては地域・時期限定となる。

👉 “商品数を無制限に増やすより、一つひとつを少量高品質で仕上げる構造。”


⑧ 飲み方

冷酒    :◎◎
常温    :◎◎
ぬる燗   :◎◎
熱燗    :○〜◎
ワイングラス:◎
食中酒   :◎◎

👉 大吟醸・純米大吟醸は冷酒、純米吟醸は冷酒〜燗、純米酒は常温〜燗まで。

「ブルーラベル」は冷酒で香りとシャープさを楽しめる一方、全国燗酒コンテストでも評価されている。

「旨口」は冷酒・常温を中心に、四段掛けによる米の甘味を楽しみやすい。

■ 料理との合わせ方

神泉 大吟醸
→ 刺身、白身魚、寿司、蟹

神泉 純米大吟醸
→ のどぐろ、魚介、肉料理、会席料理

ブルーラベル
→ 刺身、焼魚、寿司、天ぷら、加賀野菜

純米吟醸 旨口
→ 治部煮、煮物、焼鳥、味噌料理

純吟乃白
→ 甘海老、白身魚、おでん、鍋

純米酒
→ 焼魚、煮物、鍋、家庭料理

蛍舞プラス
→ 山菜、野菜料理、魚料理、郷土料理

小松・石川の料理なら、

のどぐろ
甘海老
寒ブリ

治部煮
小松うどん
加賀野菜
発酵食品

などと合わせやすい。

👉 “金沢酵母の旨味と酸で料理を受け止め、すっきりした後口で次の箸を呼ぶ。”

これが神泉の食中酒としての基本構造である。


⑨ 位置づけ

クラシック ← ◎ → ○ モダン
穏やか   ← ◎ → ○ 華やか
淡麗    ← ○ → ◎ 旨味
辛口    ← ◎ ↔ ◎ 甘旨口
軽快    ← ◎ → ○ コク
大量生産  ← ○ → ◎ 少量高品質
地域酒   ← ◎ → ○ 全国・海外評価
酒蔵    ← ◎ → ◎ 文化財

👉 “小松の米・白山の水・金沢酵母と、文化財の石蔵を一つにした少量高品質地酒蔵。”

これまで整理した石川県の酒蔵と比較すると、

小堀酒造店・萬歳楽
=「白山・鶴来・地元酒米・吟醸・加賀梅酒」

中村酒造・金澤中村屋/日榮
=「石川産米・金沢酵母・純米食中酒・有機」

鹿野酒造・常きげん
=「白水の井戸・自社山田錦・能登杜氏・山廃」

加越・加賀ノ月
=「白山伏流水・五百万石・控えめな香り・月ブランド」

宗玄酒造・宗玄
=「奥能登・能登杜氏・濃醇旨口・能登酒文化」

東酒造・神泉
「小松・白山伏流水・金沢酵母・少量高品質・文化財石蔵」

と整理できる。

特に東酒造のブランド構造は、

小松の土地
→ 地域の米
→ 白山伏流水
→ 金沢酵母
→ 少量仕込み
→ 神泉
→ 国登録有形文化財の石蔵
→ 酒蔵体験

まで一本につながっている。

また、2023年時点の取材では出荷の約15%が輸出向けとされ、国内地域酒だけでなく海外市場へも徐々に領域を広げている。

つまり東酒造は、

「小松の酒を造る蔵」だけではなく、
“小松の酒・農・石文化をまとめて体験できる蔵”

という位置づけが強い。


■ コピー

メイン

「小松の米を、白山の水で。石蔵から生まれる『神泉』。」

サブ

石川県、小松。

遠くには、
霊峰白山。

山に降った雪は、
大地へ染み込み、

長い時間をかけて
伏流水になる。

1860年。

この土地で、
東酒造の歴史が始まった。

酒の名は、

神泉。

蔵が大切にするのは、

土地。

米。

水。

酵母。

小松の米。

白山から届く水。

石川で育った酒米。

金沢酵母。

それらを、
小さな蔵で丁寧に醸す。

大量には造らない。

一つひとつの酒を、
きちんと造る。

ある酒は、
芳醇な辛口。

ある酒は、
甘く旨い。

けれど最後には、
すっと切れる。

ブルーラベル。

旨口。

純吟乃白。

純米大吟醸。

大吟醸。

そして、
小松の米を映す蛍舞。

同じ蔵から、
いくつもの石川が生まれる。

酒を守る建物も、
特別だ。

地元の石で造られた石蔵。

母屋。

茶室。

庭園。

それらは今、
国の登録有形文化財として残されている。

2026年。

「神泉」は、
全国新酒鑑評会で金賞を受賞した。

けれど、
東酒造が守ろうとしているのは、

酒の品質だけではない。

蔵を守る。

石文化を守る。

土地の酒を守る。

そして、
次の世代へ伝える。

東酒造が掲げる、

「地酒は土地の文化」。

その言葉通り、

神泉は、
小松で造られた日本酒ではない。

小松の米、水、酵母、石、歴史を、
一杯の酒へまとめた地酒である。


■ 結論

1860年、小松に生まれた東酒造は、
白山の伏流水と地域の米、金沢酵母を抱き、
160年を超えて「神泉」を静かに醸し続ける。

その歩みは大量生産の流れに背を向け、
年間わずか約300石の仕込みに、
一滴ごとの時間と手間を注ぎ込む。

酒は土地の記憶となり、石蔵は文化を宿し、
小松の水と米と人の営みが重なりながら、
東酒造は“土地を醸し、文化を残す蔵”として在り続ける。

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東酒造

東酒造は、石川県小松市野田町で「神泉」を醸す、1860年創業・白山伏流水・地元酒米・金沢酵母・少量高品質・国登録有形文化財の石蔵・芳醇な旨味とすっきりしたキレを強みとする小松の老舗酒蔵。

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