小坂酒造場(酒蔵企業分析)

目次(Table of Contents)

― 安永元年創業。国重要文化財「小坂家住宅」のうだつ造り町家で、長良川伏流水と岐阜の酒米、多彩な酵母・麹を使い、「百春」を伝統酒からフレッシュな無ろ過生原酒まで自在に展開する、美濃町文化財型・長良川伏流水型・酵母多様化型・新旧融合型酒蔵 ―

※本稿は2026年8月時点で確認できる小坂酒造場公式、日本酒造組合中央会、岐阜県、美濃市、岐阜県酒造組合、酒類総合研究所等の現行情報を優先して整理しています。
※株式会社小坂酒造場は岐阜県美濃市相生町2267番地。代表取締役は小坂善紀氏、杜氏は2025年公開資料で波多野博氏と確認できます。創業は安永元年・1772年です。


① 導入・一行定義

岐阜県美濃市相生町2267番地。

安永元年・1772年創業。

江戸情緒を残す「うだつの上がる町並み」の中で、代表銘柄**「百春」と「さんやほう」**を醸す酒蔵が株式会社小坂酒造場です。創業以来使用する主屋は、現在も現役の住宅・店舗・酒造空間として使われながら、**国の重要文化財「小坂家住宅」**に指定されています。

酒質の基礎となるのは、

長良川伏流水
+
岐阜県産酒米
+
山田錦・五百万石
+
多様な酵母
+
白麹・山廃・生酛などの伝統技法
+
無ろ過生原酒

です。

2026年の「百春お披露目会」では、伝統的酒造りを基礎としながら、酵母や麹の違いによって、フレッシュ・フルーティー・酸味型・白ワイン型・山廃型など極めて幅広い酒質を展開しています。

一行定義

「美濃のうだつ町並みに残る国重要文化財の酒蔵で、長良川のミネラル豊富な伏流水と岐阜・全国の酒米を、多様な酵母・麹・山廃・生酛・無ろ過生原酒という新旧の技術で造り分け、伝統的な淡麗辛口から果実感豊かな現代型日本酒まで『百春』として展開する、“美濃文化財型・長良川伏流水型・酵母多様化型・伝統革新融合型酒蔵”」


② 結論・企業ポジション

小坂酒造場最大の企業価値は、

「250年以上の文化財酒蔵でありながら、酒質は極めて実験的で現代的であること」

です。

外観だけを見ると、

1772年創業
重要文化財
うだつ
江戸時代の町家

という典型的な伝統酒蔵です。

ところが現在の「百春」は、

  • 無ろ過生原酒
  • 多酸酵母
  • 6号酵母
  • 白麹
  • 山廃
  • 低アルコール
  • にごり
  • フルーティー型
  • トラディショナル型
  • 斗瓶取り
  • 純米大吟醸

まで非常に幅広く、商品開発思想はむしろクラフト型・実験型です。

さらに2026年・令和7酒造年度全国新酒鑑評会では、

「百春」=金賞

を受賞しました。岐阜県で金賞となったのは百春と奥飛騨の2製造場です。

また令和7年度名古屋国税局酒類鑑評会でも、

吟醸酒の部 優等賞

となっています。

評価軸内容
会社名株式会社小坂酒造場
所在地岐阜県美濃市相生町2267
創業安永元年・1772年
代表者小坂善紀
杜氏波多野博 ※2025年公開資料
主力ブランド百春
第二ブランドさんやほう
水長良川伏流水
水の特徴有機ミネラル豊富
主原料米山田錦・五百万石・ひだほまれ・美濃錦等
地域米美濃錦
最大文化資産国重要文化財「小坂家住宅」
最大技術資産多様な酵母・麹による酒質設計
現代商品軸無ろ過生原酒
伝統商品軸純米・吟醸・本醸造・燗酒
高級商品純米大吟醸・斗瓶取り大吟醸
最新全国評価令和7BY全国新酒鑑評会 金賞
最新地域評価令和7年度名古屋国税局 吟醸酒の部優等賞
生産規模国内販売実績400石
資本金3,000万円
従業員規模社保被保険者8名の公的DB情報あり
海外販売中国・台湾・スイス・フランス・英国
蔵開き定期開催
直売・ECあり
本質江戸の酒蔵で現代クラフト酒を造る企業

③ 基本情報

項目内容
会社名株式会社小坂酒造場
法人格株式会社
法人番号4200001019123
所在地〒501-3723 岐阜県美濃市相生町2267
TEL0575-33-0682
FAX0575-35-1365
E-mailinfo@kuramoto-kosaka.com
創業1772年
代表者小坂善紀
杜氏波多野博 ※2025年公開資料
資本金3,000万円
社保被保険者数8人 ※公的DB
国内販売実績約400石
主事業日本酒製造・販売
代表銘柄百春
第二銘柄さんやほう
直売あり
EC公式ネットショップあり
平日営業日本酒造組合中央会掲載12:00~17:00
土日祝同10:00~17:00
蔵見学主屋途中まで自由見学可との現行公的酒蔵情報
蔵開き冬~春を中心に開催
海外中国・台湾・スイス・フランス・英国
建物国重要文化財「小坂家住宅」

④ 歴史・企業沿革

1. 安永元年・1772年創業

小坂酒造場は、

1772年創業

です。

美濃市中心部で、江戸時代から酒造業を続けてきました。美濃市の歴史的風致維持向上計画では、当時の屋号を**「杉本屋」**としています。


2. 小坂家住宅

現在の主屋は18世紀後半の建築。

文化庁の国指定文化財データベースでは安永2年・1773年とされ、美濃市の調査では酒倉2階柱に1772年の墨書も確認されています。


3. うだつ

小坂家住宅最大の建築的特徴は、

「うだつ」と「起り屋根」

です。

美濃市の中でも代表的な商家建築で、かつて3本のうだつを持っていたとされます。屋根前面が緩やかに膨らむ「起り」は非常に美しく、美濃の町並みを象徴する建物です。


4. 1979年 国重要文化財指定

昭和54年・1979年、

小坂家住宅が国の重要文化財

に指定されました。

これは酒蔵として極めて大きな企業資産です。


5. 「百春」の意味

「百春」には、

「飲む人が健康で、百たび春を迎えられるように」

という願いが込められています。

酒銘自体が、

長寿
祝い
幸福

という日本文化に結び付きます。


6. 伝統から現代酒へ

現在は従来の吟醸・純米・本醸造に加え、

  • フルーティー無ろ過生原酒
  • 山廃
  • 白麹
  • 多酸酵母
  • 6号酵母
  • 低アルコール
  • にごり

などへ商品領域を拡張しています。

つまり企業史は、

「江戸の建築を残しながら、酒質は変化させ続ける歴史」

です。


⑤ 自然環境・水・テロワール

小坂酒造場最大の自然資産は、

長良川の伏流水

です。

日本酒造組合中央会、岐阜県、美濃市はいずれも、長良川伏流水を井戸から汲み上げ、仕込み水として使用するとしています。


水の特徴

小坂酒造場は、

有機ミネラルが豊富

な水と説明しています。

この水によって、

麹菌
酵母

が旺盛に働き、

香り
味
酒の力強さ

が出やすいとされています。


美濃の地形

美濃市は、

  • 長良川
  • 板取川
  • 山間部
  • 盆地・谷地形
  • 水田
  • 冬季低温

が近接します。

歴史的には長良川の水運によって美濃和紙や物資が運ばれ、上有知湊を中心に商業都市として発達しました。


テロワール構造

岐阜山地
↓
長良川
↓
伏流水
↓
美濃の井戸
↓
酒米
↓
酵母の旺盛な発酵
↓
百春

です。

さらに小坂酒造場では、

自然環境+町並み文化

までテロワールへ含めることができます。


⑥ 原料米・農業戦略

小坂酒造場は、

全国酒米+岐阜酒米+地域農業

を使い分ける構造です。

酒米主な商品・役割
山田錦大吟醸・純米大吟醸・高級酒
五百万石純米吟醸・純米・定番
ひだほまれ純米上撰等
美濃錦さんやほう・地域限定
岐阜県産一般米美濃之地酒等
雄山錦等商品・年度別限定酒

山田錦

「百春 大吟」は、

  • 山田錦100%
  • 精米40%
  • 日本酒度+4
  • 酸度1.2

という高級吟醸設計です。


五百万石

「百春 純米吟醸」は、

  • 山田錦・五百万石
  • 精米50%
  • 日本酒度+4.5
  • 酸度1.5

となっています。


ひだほまれ

「百春 純米上撰」では、

五百万石+ひだほまれ

を60%精米し、やや辛口・酸度1.6へ仕上げています。


美濃錦

小坂酒造場の地域戦略で最も重要なのが、

美濃錦

です。

「さんやほう」では関市黒屋の田んぼで、サポーターとともに**化学肥料・農薬を使わず栽培した美濃錦100%**を使用しています。

2025年以降の商品では、農薬・化学肥料を使わず栽培した関市産美濃錦を用いる「シン・さんやほう」も確認できます。

原料戦略の本質

山田錦=最高品質

五百万石・ひだほまれ=岐阜の基準酒

美濃錦=地域・農業・物語

です。


⑦ 酒造技術・製造思想

小坂酒造場最大の技術的特徴は、

「一つの技法に固定せず、酵母と麹を使い分けて酒質を設計すること」

です。


1. 製麹

「さんやほう」の工程では、麹造りに約44時間をかけ、30℃前後の麹室で人が管理します。

公式は、

酒造りで最も手を抜けない工程

として麹を強調しています。


2. 無ろ過生原酒

現在の「百春」を象徴する技術・商品構造です。

搾った直後の酒をろ過せず、加熱処理せずに瓶詰めすることで、

  • 米旨
  • 香り
  • コク
  • 酵母由来の天然ガス
  • フレッシュ感

をそのまま残します。


3. 多様な酵母

2025~2026年の商品では、

  • 6号酵母
  • 多酸酵母
  • 多酸G酵母
  • 各種現代酵母

などを使い分けています。

これによって、

苺
バナナ
パッションフルーツ
穏やかな酸
フルーティー

など、従来の百春とは異なる香味を作っています。


4. 白麹

白麹仕込みでは、クエン酸を活かし、

白ワイン的な甘酸っぱさ

を持つ純米吟醸へ展開しています。


5. 山廃

山廃仕込み純米吟醸も展開。

現代的な無ろ過生原酒と、伝統酒母を同一ブランドの中で扱っています。


6. 生酛・トラディショナル系

現行オンラインショップや商品タグでは生酛系も確認でき、酒質開発が速醸一本ではありません。


7. 斗瓶取り

高級酒では、

袋吊り・斗瓶取り

を採用。

醪へ強い圧力を加えず、自重で落ちる雫を集めることで、最上級酒を造ります。


技術 → 酒質

長良川伏流水
+
酒米
+
麹
+
酵母選択
+
山廃・白麹等
+
無ろ過生
↓
強い香り
↓
旨味
↓
酸
↓
フレッシュ感
↓
酵母ごとの個性

となります。


⑧ ブランド構造

小坂酒造場は、

「百春」を企業母艦とし、「さんやほう」を地域農業ブランドとして持つ構造

です。

ブランド・シリーズ役割ターゲット位置づけ
百春企業母艦全層主ブランド
百春 無ろ過生原酒現代型若年・愛好家成長軸
百春 純米吟醸定番上位食中・吟醸層基準
百春 純米上撰純米日常晩酌
百春 大吟高級贈答・愛好家高級
百春 純米大吟醸最高級贈答鑑評会系
梲純米大吟醸観光・文化うだつ
美濃之地酒地域地元岐阜
さんやほう地域農業地酒・自然派第二ブランド
シン・さんやほう自然派サステナブル層成長商品

公式商品ページには純米酒7種、吟醸酒5種、本醸造・その他7種が掲載されています。


⑨ 商品ポートフォリオ

1. 百春 純米吟醸

  • 山田錦・五百万石
  • 精米50%
  • 日本酒度+4.5
  • 酸度1.5
  • やや辛口

深い香りとコクを持つ中核商品です。


2. 百春 純米上撰

  • 五百万石・ひだほまれ
  • 精米60%
  • 日本酒度+4.5
  • 酸度1.6

すっきりしながら米の味を残す純米酒です。


3. 百春 大吟

  • 山田錦
  • 精米40%
  • 17度
  • 日本酒度+4
  • 酸度1.2

杜氏入魂の高級大吟醸です。


4. 百春 大吟生

  • 山田錦・五百万石
  • 精米50%
  • 低温生貯蔵
  • 日本酒度+4.5

吟醸香を残した軽快な大吟醸です。


5. 百春 純米大吟醸

2026年全国新酒鑑評会金賞酒として、

「百春 金賞槽搾り 純米大吟醸」

を発売。

720ml 5,500円、1.8L 11,000円で展開されています。


6. 斗瓶取り純米大吟醸

山田錦40%精米。

袋吊り・自然落下による出品酒級商品です。


7. さんやほう

  • 関市産美濃錦
  • 精米60%
  • 日本酒度+2
  • 酸度1.3
  • 濃醇旨口

無農薬・無化学肥料栽培米を使用する地域農業型商品です。


8. 美濃之地酒

  • 岐阜県産米
  • 精米60%
  • 日本酒度+6
  • 酸度1.5

冷やではきめ細かく、燗ではキリッと締まる特別本醸造です。


9. カラフルシリーズ・無ろ過生原酒

現在の百春の新しい顔です。

  • フルーティー
  • トラディショナル
  • DOLCE
  • KIREI
  • FRAISE
  • Sonnna Banana
  • 6号酵母
  • 山廃
  • 白麹

など、味・香り・酵母ごとの商品展開を行っています。


商品分類主な特徴酒質役割
百春 純米上撰特純五百万石・ひだほまれ旨味・辛口日常
百春 純吟純吟山田錦・五百万石50%香り・コク中核
百春 大吟大吟醸山田錦40%芳香・辛口高級
金賞槽搾り純大鑑評会金賞繊細・高級最高峰
梲純大うだつ文化高級観光
さんやほう純吟自然栽培美濃錦濃醇旨口地域
美濃之地酒特本岐阜県産米燗・辛口地元
無ろ過生原酒純吟等酵母別果実・ガス感現代
白麹純吟クエン酸甘酸新需要
山廃純吟等山廃酒母酸・骨格伝統

⑩ 味わい・酒質ポジション

百春を一つの言葉だけで表現することは難しくなっています。

伝統商品の中心は、

「香味の厚みを持つ、やや辛口」

です。

長良川伏流水のミネラルによって、酵母が活発に働き、香りと味がしっかり出ると蔵自身が説明しています。

一方、現在の無ろ過生原酒では、

  • 果実香
  • 甘酸
  • ガス感
  • 低アルコール
  • 白ワイン的酸味

まで幅が広がっています。

味覚軸評価
香り★★★★★
甘味★★★★☆
酸★★★★☆
旨味★★★★★
透明感★★★★☆
コク★★★★☆
キレ★★★★☆
軽快感★★★★☆
重厚感★★★☆☆
フレッシュ感★★★★★
燗適性★★★★☆
食中適性★★★★★
酒質多様性★★★★★

酒質定義

「香味豊潤・酵母多彩型」

です。


⑪ 品質評価・受賞実績

全国新酒鑑評会

2026年・令和7酒造年度全国新酒鑑評会で、

「百春」=金賞

です。

岐阜県では7点が入賞し、そのうち百春と奥飛騨が金賞となりました。


2025年・令和6酒造年度

前年は、

百春=入賞

でした。


2024年

小坂酒造場公式イベントでは、令和6年全国新酒鑑評会金賞受賞酒として、山田錦40%精米の斗瓶取り純米大吟醸を提供しています。

したがって近年は、

2024金賞
→
2025入賞
→
2026金賞

という高い評価水準を維持しています。


名古屋国税局酒類鑑評会

令和7年度、

百春=吟醸酒の部 優等賞

です。

品質評価構造

小坂酒造場は、

「全国金賞型+市販吟醸評価型+実験酒開発型」

です。

鑑評会用酒だけでなく、普段の商品では全く異なる酵母・麹・酒母を試し続ける点が特徴です。


⑫ 地域ブランド・食文化

1. 自然

  • 長良川
  • 山地
  • 伏流水
  • 水田
  • 寒冷な冬

が酒造りを支えます。


2. 歴史

1772年創業。

小坂家住宅は国重要文化財で、江戸時代の酒屋の姿を現在まで残しています。


3. 風土

美濃市は、

「うだつ」と「美濃和紙」の町

です。

長良川の水運によって栄えた商業都市であり、美濃和紙・商家・酒造文化が近接しています。


4. 産業

地域を象徴するものは、

  • 本美濃紙
  • 美濃和紙
  • 観光
  • 農業
  • 酒
  • 長良川漁業

です。

小坂酒造場は酒造企業であると同時に、

町並みを形成する文化財そのもの

です。


5. 食文化

百春のしっかりした香りと旨味は、

  • 鮎
  • 飛騨牛
  • 鶏ちゃん
  • 朴葉味噌
  • 川魚
  • 山菜
  • 発酵食品
  • チーズ
  • 肉料理

などに対応します。

岐阜酒蔵ガイドでも、香りと味が強い「カラフルフルーティ」には肉の焼き物・炒め物・チーズ系イタリアンが推奨されています。


6. 地域構造

長良川=水

美濃=町

うだつ=歴史

美濃和紙=文化

美濃錦=農業

百春=酒

という構造です。


⑬ 食中酒・ペアリング戦略

酒料理理由
百春 純米上撰鮎塩焼き・煮物米旨・辛口
百春 純吟刺身・焼魚香り・コク
百春 大吟会席・白身魚上品な吟醸香
さんやほう朴葉味噌・肉濃醇旨口
美濃之地酒鶏ちゃん・鍋燗上がり
フルーティ生チーズ・肉料理果実香・旨味
白麹カルパッチョ・洋食クエン酸
山廃味噌料理・焼肉酸・骨格
FRAISE軽い洋食・前菜甘酸
低アル系デザート・軽食飲みやすさ

小坂酒造場は、

「和食専用酒蔵」ではありません。

現在の商品構成では、和食から洋食まで酒質別に選べることが大きな特徴です。


⑭ 観光・直売・顧客接点

小坂酒造場は、

「重要文化財酒蔵+蔵開き体験型」

です。

日本酒造組合中央会では、主屋途中まで自由に入れると案内されています。


国重要文化財

訪問そのものが、

酒蔵観光
+
建築観光
+
町並み観光

になります。

「うだつの上がる町並み」の中心で、1770年代の酒造商家を現在も見ることができます。


百春 蔵開き

2026年は、

  • 1月
  • 2月
  • 3月

に蔵開きを開催。

さらに4月・5月には「百春お披露目会」を開催しています。


「夢の蛇口」

最大の体験資産です。

蔵の奥で、

朝搾ったばかりの酒を蛇口から瓶へ直接詰める

体験ができます。

これは非常に分かりやすい観光価値です。

観光類型

「文化財建築型+朝搾り直詰め型+町並み回遊型酒蔵」

です。


⑮ 流通・販売戦略

小坂酒造場の流通は、

地元
+
酒販
+
EC
+
蔵元直売
+
イベント
+
海外

です。

岐阜県公式の県産品情報では、国内販売実績を400石、海外販売先を、

  • 中国
  • 台湾
  • スイス
  • フランス
  • イギリス

としています。

商品群主市場戦略
美濃之地酒地元日常
純米上撰地元・一般晩酌
純米吟醸全国中核
無ろ過生原酒EC・愛好家現代酒
さんやほう自然派・地域農業
大吟醸贈答高級
金賞酒限定プレミアム
蔵開き酒直売来訪価値
海外欧州・アジア地域文化+クラフト

流通の本質

「通年定番+蔵でしか得にくい限定酒」

の二層構造です。


⑯ ターゲット

ターゲット適合度適合商品・理由
日本酒初心者★★★★★KIREI・低アル・フルーティ
地元晩酌層★★★★★美濃之地酒・純米上撰
純米酒ファン★★★★★純米上撰・さんやほう
吟醸酒ファン★★★★★純吟・大吟
生酒ファン★★★★★無ろ過生原酒
燗酒ファン★★★★☆美濃之地酒
酸味系ファン★★★★★白麹・FRAISE
クラシック酒ファン★★★★★6号・山廃・生酛
プレミアム層★★★★★金賞酒・斗瓶取り
地酒マニア★★★★★多酵母・限定酒
観光客★★★★★重要文化財+蔵開き
若年層★★★★★カラフル・低アル
女性層★★★★★フルーティ・甘酸系
海外客★★★★★うだつ+文化財+現代酒

⑰ 競合比較

A. 岐阜高級酒競合:渡辺酒造店「蓬莱」

B. 岐阜地域酒競合:小町酒造「長良川」

C. 岐阜クラフト競合:中島醸造「小左衛門」

D. 歴史町並み競合:舩坂酒造店

項目小坂酒造場渡辺酒造店中島醸造舩坂酒造店
創業1772187017021703
地域美濃飛騨瑞浪高山
水長良川伏流水飛騨地下水中濃水系飛騨水系
最大資産重要文化財+多酵母商品開発・輸出食中純米古い町並み
主ブランド百春蓬莱小左衛門深山菊・四ツ星
酒質多彩・香味豊潤多彩米旨吟醸・観光
現代酒非常に強い非常に強い強い中
建築文化最高水準中中非常に強い
2026全国金賞入賞入賞入賞
観光蔵開き+文化財蔵祭り限定観光酒蔵
最大差江戸建築×実験酒マーケティング食中純米高山観光

差別化

渡辺酒造店が「商品開発と販売力で新しい日本酒市場を広げる蔵」なら、小坂酒造場は「江戸時代の文化財空間そのものを残しながら、中で造る酒だけを大胆に進化させる蔵」です。


⑱ SWOT分析

区分要素評価
Strength1772年創業非常に強い
Strength国重要文化財極めて強い
Strengthうだつの町並み極めて強い
Strength長良川伏流水強い
Strength百春ブランド強い
Strength多様な酵母極めて強い
Strength無ろ過生原酒強い
Strength美濃錦強い
Strength2026全国金賞非常に強い
Strength蔵開き強い
Weakness小規模8人前後高
Weakness商品数が多い高
Weakness百春の酒質イメージが一定しない中
Weakness文化財維持負担高
Weakness地域ブランドと現代ラベルの乖離中
Opportunity文化財ツーリズム最大
Opportunity若年日本酒大
Opportunity酸系日本酒大
Opportunity自然派市場大
Opportunityインバウンド最大
Threat米価格高
Threat人材不足高
Threat文化財災害リスク高
Threat商品複雑化高
Threat国内酒需要減高

⑲ PEST分析

区分外部環境影響
Political文化財保護追い風・制約
Political観光立国追い風
Political地方創生追い風
Economic米価上昇コスト増
Economic観光消費大きな機会
Economic海外市場成長
Social文化体験志向最大機会
Socialフルーティ酒人気追い風
Social低アル需要追い風
Socialナチュラル志向追い風
Technological酵母多様化強み
Technological冷蔵流通必須
TechnologicalEC強い
Environmental農薬削減機会
Environmental気候変動酒米リスク

⑳ 4P分析

区分現状評価
Product伝統酒~現代クラフト酒まで極めて広い★★★★★
Price日常~金賞酒まで多層★★★★★
Place地元・EC・蔵元・海外★★★★☆
Promotion文化財+イベントが非常に強い★★★★★

Product

最大の強みです。

百春の中だけで、

淡麗
濃醇
フルーティ
甘酸
山廃
白麹
生酛
無ろ過
低アル
大吟醸

まで対応できます。


Price

日常酒から、

11,000円級金賞純米大吟醸

まで階層があります。


Place

小規模ながら国内400石、欧州・アジア輸出実績を持ちます。


Promotion

最強の資産は、

「国重要文化財の酒蔵で、朝搾った酒を蛇口から瓶詰めする」

という圧倒的な具体性です。



㉒ ブランドコピー・見せ方

メインコピー

江戸の酒蔵で、今の日本酒を醸す。

水型コピー

長良川の水が、百春を育てる。

建築型コピー

うだつの下で、二百五十年。

技術型コピー

酵母を変えれば、日本酒はもっと面白い。

地域型コピー

美濃の町、美濃の米、美濃の酒。

現代型コピー

しぼりたてを、そのまま百春へ。

観光型コピー

文化財の奥に、「夢の蛇口」がある。

海外型コピー

250 years of tradition. A new sake in every bottle.


㉓ この酒蔵をどう見せるべきか

① 最大の独自資産

国重要文化財「小坂家住宅」

です。

1770年代の酒造商家を現在も使い続けていること自体が希少です。


② 水・自然

長良川伏流水

百春の香り・味の厚さを説明する自然資産です。


③ 技術

酵母・麹・酒母の多様性

です。

現在の小坂酒造場を単なる「伝統製法の蔵」と表現するのは不正確です。


④ 主力ブランド

百春

健康・長寿を願う酒名と250年以上の歴史を持つ企業母艦です。


⑤ 地域農業

さんやほう+美濃錦

酒蔵と地域農業をつなぐブランドです。


⑥ 品質証明

令和7BY全国新酒鑑評会 金賞

+

令和7年度名古屋国税局 吟醸酒の部 優等賞

です。


⑦ 成長資産

「夢の蛇口」+無ろ過生原酒

です。

文化財を見るだけではなく、

その日に搾った酒を、その場で瓶へ入れる

ところまで体験できることが重要です。


㉔ 最終評価

評価軸評価コメント
歴史性5.0/51772年創業
地域性5.0/5美濃町中心
水資産5.0/5長良川伏流水
原料力4.8/5山田錦・岐阜米・美濃錦
テロワール5.0/5水・町・建築・農業
製法独自性5.0/5酵母・麹・山廃・白麹
技術力5.0/52026全国金賞
酒質完成度4.9/5定番から実験酒まで
食中酒力4.9/5和洋双方対応
商品力5.0/5極めて多彩
ブランド力4.8/5百春の歴史性
プレミアム力4.8/5金賞酒・斗瓶
国内評価5.0/52026全国金賞
地域評価5.0/5名古屋局優等賞
流通力4.5/5400石+海外
観光力5.0/5文化財+蔵開き
初心者導入力5.0/5低アル・フルーティ
若年層適合5.0/5非常に高い
独自性5.0/5江戸建築×現代酒
成長可能性5.0/5観光・海外・クラフト


㉖ 最終結論

株式会社小坂酒造場は、岐阜県美濃市相生町2267番地にある、安永元年・1772年創業の酒蔵です。代表取締役は小坂善紀氏、代表銘柄は「百春」、第二ブランドとして「さんやほう」を展開しています。

しかし、その本質は単なる、

「うだつの上がる町の老舗酒蔵」

ではありません。

1770年代に建てられた主屋・酒倉を現在まで使い続け、その小坂家住宅は国重要文化財に指定。長良川の伏流水を井戸から汲み上げ、ミネラルを含む水によって麹菌・酵母の働きを引き出し、山田錦・五百万石・ひだほまれ・美濃錦などを商品ごとに使い分ける。定番では純米上撰・純米吟醸・大吟醸・本醸造という伝統的な酒質を守りながら、現在は無ろ過生原酒を大きな商品軸とし、6号酵母、多酸酵母、多酸G酵母、白麹、山廃、生酛、低アルコールなどによって、苺・バナナ・パッションフルーツを思わせる果実感、白ワインのような酸味、天然ガスを残したフレッシュ感まで一つの「百春」ブランドで表現している。地域商品「さんやほう」では関市産美濃錦を化学肥料・農薬を使わず栽培し、酒蔵と地域農業を接続。高級酒では山田錦40%精米、袋吊り・斗瓶取りによる出品酒級純米大吟醸を造り、2026年令和7酒造年度全国新酒鑑評会では「百春」が金賞、令和7年度名古屋国税局酒類鑑評会でも吟醸酒の部優等賞を獲得している。さらに冬から春には蔵開き・新酒お披露目会を継続開催し、朝搾った無ろ過生原酒を蔵奥の「夢の蛇口」から客自身の瓶へ直接詰めるという極めて具体的な体験を提供する。国内約400石規模の小規模企業でありながら、中国・台湾・スイス・フランス・英国への販売実績も持ち、文化財・地域・クラフト酒・観光・海外を一つの企業構造へまとめつつある。

したがって小坂酒造場を最も正確に定義するなら、

「美濃の国重要文化財『小坂家住宅』を現役の酒蔵として守り、長良川のミネラル豊富な伏流水と山田錦・五百万石・ひだほまれ・美濃錦を、多様な酵母・白麹・山廃・生酛・無ろ過生原酒・斗瓶取りによって自在に造り分け、伝統的な辛口から果実感豊かな現代型日本酒まで『百春』へ展開する、“美濃文化財型・長良川伏流水型・酵母多様化型・伝統革新融合型酒蔵”」

です。

同じ岐阜県の有力蔵と比較すると、

渡辺酒造店=マーケティングと商品開発で市場を広げる蔵

中島醸造=食中純米の完成度を磨く蔵

舩坂酒造店=飛騨の町並みと観光を酒へ接続する蔵

に対し、

小坂酒造場=「250年前の文化財の中で、現代日本酒の可能性を試し続ける蔵」

という独自ポジションを持っています。

小坂酒造場のテロワールを味わう👇

イメージ 酒蔵 説明 リンク
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小坂酒造場

小坂酒造場は、岐阜県美濃市相生町で「百春」「さんやほう」を醸す、1772年創業・長良川伏流水・国重要文化財の小坂家住宅・山田錦・五百万石・美濃錦・無ろ過生原酒・フルーティーさと旨味を強みとする、美濃の歴史と現代酒質をつなぐ老舗酒蔵。

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