清州桜醸造(酒蔵企業分析)

目次(Table of Contents)

― 嘉永6年・1853年創業。織田信長の清洲城下で、木曽川水系の良質な水を基盤に「清洲城信長 鬼ころし」を全国の日常酒へ育てながら、山田錦39%の「祥鳳」で吟醸技術を証明。さらに焼酎・ワイン・梅酒・ジン・ウォッカ・ウイスキーまで自社製造領域を広げ、年間安定生産・全国流通・約20カ国輸出を実現する、“清洲城下型・大衆酒量産型・高級酒品質証明型・総合酒類メーカー型酒蔵” ―

※本稿は2026年9月時点で確認できる清洲桜醸造公式、愛知県酒造組合、酒類総合研究所等の公開情報を優先して整理しています。


① 導入・一行定義

愛知県清須市清洲1692番地。

織田信長が居城とした清洲城を擁し、五条川の桜でも知られる清洲の地で酒を造るのが、

清洲桜醸造株式会社

です。

創業は、

嘉永6年・1853年。

江戸時代末期から170年以上にわたり酒造りを続けています。

現在の代表取締役社長は、

柴山一郎氏

です。

会社は日本酒だけではなく、

焼酎
果実酒
梅酒・リキュール
ウォッカ
ジン
ウイスキー

まで自社製造する総合酒類メーカーへ発展しています。公式会社概要では、従業員93名、資本金1,000万円、2022年度出荷量約40,055石を公表しています。40,055石は清酒換算で約721万L規模に相当し、同社はこれを東海4県下第一位としています。

その企業を最も象徴する商品が、

「清洲城信長 鬼ころし」

です。

1984年の発売以来、3Lから180mlまで多容量の紙パックを展開し、

やや辛口
飲み飽きしない
まろやか
コクがある

という日常酒ポジションを確立しています。

一方、最高級ラインの、

「祥鳳」

では山田錦を39%まで磨き、低温発酵。

2026年愛知県新酒品評会では「純米大吟醸39 祥鳳」が純米吟醸酒部門の最高賞、

愛知県知事賞

を獲得しました。

一行定義

「1853年創業。清洲城下・濃尾平野で、木曽川水系の良質な水を使い、『清洲城信長 鬼ころし』を全国の日常酒へ育てる一方、山田錦39%の『祥鳳』で高級吟醸技術を証明し、焼酎・ワイン・梅酒・ジン・ウォッカ・ウイスキーまで自社製造する、“清洲城下型・大衆酒量産型・高級酒品質証明型・総合酒類メーカー型酒蔵”」


② 結論・企業ポジション

清洲桜醸造最大の企業価値は、

「安価な日常酒を大量・安定供給する能力と、県最高水準の高級酒を造る能力を同じ会社で両立していること」

です。

日本酒蔵は一般に、

小規模高級酒型
または
量産日常酒型

のどちらかへ寄りやすい傾向があります。

清洲桜醸造は違います。

一方では、

鬼ころし

を3L、2.7L、2L、1.8L、1L、900ml、720ml、500ml、270ml、180mlなど極めて多くの容量で販売。

他方では、

山田錦39%の純米大吟醸「祥鳳」

を造ります。

さらに2026年には、

祥鳳=愛知県知事賞

清洲桜=本醸造酒部門・県組合会長賞

となりました。

つまり高級純米大吟醸だけではなく、本醸造クラスまで県内で評価されています。杜氏はいずれも伊藤智人氏です。

企業規模でも、公式公表の2022年度出荷量は、

約40,055石

です。

これは小規模な地酒蔵とは明確に異なり、

「酒蔵」+「酒類メーカー」

の両方の性格を持つ会社と見るのが適切です。

評価軸内容
正式社名清洲桜醸造株式会社
英文名Kiyosuzakura Brewery Corp.
所在地愛知県清須市清洲1692
創業1853年・嘉永6年
設立1949年10月
代表者柴山一郎
資本金1,000万円
従業員93名・2024年6月末
主力銘柄清洲城信長 鬼ころし
高級酒ブランド祥鳳
新世代日本酒あゆち
地域歴史軸清洲城・織田信長
主要水資産木曽川水系の良質水
主要原料国産米
高級酒米山田錦
主力カテゴリー日本酒
その他焼酎・ワイン・リキュール
蒸留酒ジン・ウォッカ・ウイスキー
生産思想品質安定+合理的生産
製造管理コンピューター温度管理・自動撹拌
2022出荷量約40,055石
国内販売北海道~沖縄
海外約20カ国
2026県品評会祥鳳・愛知県知事賞
本質大衆酒からクラフト蒸留酒まで扱う総合酒類メーカー

③ 基本情報

項目内容
商号清洲桜醸造株式会社
本社〒452-0942 愛知県清須市清洲1692番地
TEL052-409-2121
FAX052-409-6678
創業嘉永6年10月・1853年
設立昭和24年10月・1949年
代表取締役社長柴山一郎
資本金1,000万円
従業員数93名・2024年6月末
事業酒類製造業
日本酒鬼ころし・祥鳳等
焼酎天下泰平・ええなも等
ワイン楽園ワイン
リキュール梅酒・ゆず酒・檸檬酒等
スピリッツジン・ウォッカ
ウイスキー愛知クラフト キヨス
国内販売全国
海外販売約20カ国
公式ECあり
一般蔵見学なし

会社概要および一般見学不可は公式情報です。


④ 歴史・企業沿革

1. 1853年 ― 創業

嘉永6年。

江戸幕府末期に清洲で創業しました。

清洲は戦国期に清洲城を中心として繁栄し、織田信長が桶狭間の戦いへ出陣した土地として知られます。

現在も清洲桜醸造は、

「清洲」

「信長」

「城」

を企業ブランドの中心に置いています。


2. 1949年 ― 株式会社設立

昭和24年10月、

清洲桜醸造株式会社

として法人化しました。


3. 全国新酒鑑評会

公式通販掲載の受賞歴では、

  • 1997年
  • 1999年
  • 2001年
  • 2002年
  • 2003年
  • 2006年
  • 2007年
  • 2009年

に全国新酒鑑評会金賞を獲得しています。

さらに2013年度には、

「大吟醸 楽園」

が全国新酒鑑評会金賞を受賞しています。

つまり大量生産型酒蔵でありながら、吟醸技術にも長い実績があります。


4. 1984年 ― 鬼ころし

「清洲城信長 鬼ころし」

発売。

その後40年以上にわたり企業最大級の主力商品へ成長しました。


5. 紙パック市場

鬼ころしは、

大容量
小容量
常温
冷酒
甘口
純米
原酒

へ派生。

一つの名前から多様な購買ニーズを取り込む商品体系を形成しました。


6. 総合酒類メーカー化

現在は日本酒だけでなく、

焼酎
ワイン
梅酒
果実リキュール

を製造。

さらに、

愛知クラフト キヨス

によって蒸留酒分野へ進出しました。


7. クラフトスピリッツ

愛知クラフトジンでは、

IWSC2020 金賞95点

を獲得。

2023年TWSCでも銀賞となりました。


8. ウイスキー

清酒酵母を使い、

発酵
蒸留
熟成

を清須で行うウイスキーへ展開。

シングルモルトはホワイトオーク樽で5年間熟成し、2025年TWSCで銅賞となっています。


9. 2026年 ― 祥鳳が県最高賞

2026年愛知県新酒品評会で、

純米大吟醸39 祥鳳

が純米吟醸酒部門の、

愛知県知事賞

を獲得。

同時に本醸造部門でも「清洲桜」が県組合会長賞となりました。

歴史の本質

清洲桜醸造は、

「地酒蔵 → 紙パック全国メーカー → 総合酒類メーカー」

と段階的に企業領域を拡張してきた酒蔵です。


⑤ 自然環境・水・テロワール

清洲桜醸造がある清須市は、

濃尾平野

に位置します。

北西には木曽川水系が広がり、稲作と水に恵まれた平野部です。

公式商品説明では「清洲桜 特上」について、

木曽川水系の良質水

を使って醸すと明記しています。

ウイスキーについても、

日本名水百選の一つとされる清流木曽川水系の良質な水

を地域資産として説明しています。


清洲という土地

清須市は、

清洲城
織田信長
五条川
桜
濃尾平野
東海道・美濃路圏

を背景に持ちます。

清洲桜醸造の場合、自然だけではなく、

「歴史都市型テロワール」

が重要です。


テロワール構造

濃尾平野
↓
木曽川水系
↓
清洲
↓
米
↓
酒造
↓
清洲城・信長
↓
鬼ころし

です。

本質

「水と米の地域性」よりも、「清洲城・信長という歴史地域ブランドを全国商品へ変換したこと」

が、この蔵のテロワール表現の特徴です。


⑥ 原料米・原料戦略

清洲桜醸造の原料戦略は、

「国産米による大規模安定供給+山田錦による高級酒」

という二層構造です。


鬼ころし

「清洲城信長 鬼ころし」は、

国産米100%

を使用。

大量販売商品でも海外米に依存せず、国産米を酒質基盤としています。


鬼ころし純米酒

純米タイプも国産米100%。

精米歩合78%と磨き過ぎず、

米本来の芳醇な味

を残す方向です。


山田錦

高級酒「祥鳳」は、

山田錦100%

精米39%

です。

日常酒とは原料段階から明確に別設計されています。


蒸留酒

ウォッカでは、

国産米100%

を使用。

酒蔵の米発酵技術をスピリッツへ転用しています。

ウイスキーでは国産大麦を使用したグレーン原酒も展開します。

原料戦略の本質

国産米=鬼ころし・量産

山田錦=祥鳳・高級

国産米=ウォッカ

大麦=ウイスキー

です。

同じ発酵企業として、原料をカテゴリー別に最適化している

構造です。


⑦ 酒造技術・製造思想

清洲桜醸造は、

「大量生産だから機械」「高級酒だから手造り」

という単純な企業ではありません。

むしろ、

安定品質の合理化と、吟醸技術を使い分ける

ことが特徴です。


1. 蒸米仕込

鬼ころしは、

「こだわりの蒸米仕込」

を掲げています。

国産米を蒸米から仕込み、日本酒本来の旨味を引き出します。


2. 酒母からの丁寧な仕込み

上撰鬼ころしでは、

酒母から蒸米を丁寧に仕込む

ことを公式が明記しています。


3. 低温発酵

「祥鳳」では、

じっくり低温発酵

を採用。

山田錦39%の繊細さを引き出します。


4. 年間安定製造

公式会社概要では、

コンピューター制御による温度管理

自動撹拌

などを導入し、

年間を通して安定した酒質を生産するとしています。


5. 品質マネジメント

品質方針として、

品質マネジメントシステムの継続的改善

合理的生産

を明記しています。

これは職人的な「勘」だけではなく、

工程標準化による再現性

を企業競争力としていることを意味します。


6. 熟成

鬼ころし原酒20度は、

約6か月熟成

してから商品化。

濃厚なコクへ変換しています。


7. 蒸留

クラフトウイスキーでは、

清酒酵母

を発酵へ応用。

自社で蒸留し、酒蔵地下貯蔵庫等で3~5年間熟成します。


8. ウォッカ濾過

米を発酵・蒸留した後、

白樺炭を含む複数の炭

を組み合わせた独自濾過技術を採用しています。


9. ジン

愛知クラフトジンでは、

蒲郡みかん
西尾抹茶
稲沢金時生姜

等を含む10種のボタニカルを配合。

技術構造

国産米
+
蒸米仕込
+
工程標準化
+
温度管理
↓
鬼ころし

一方、

山田錦39%
+
低温発酵
↓
祥鳳

さらに、

清酒酵母
+
蒸留
+
樽熟成
↓
愛知クラフトウイスキー

です。

一つの発酵技術基盤から複数カテゴリーを作れること

が技術上の本質です。


⑧ ブランド構造

清洲桜醸造は、

「一つの銘柄へ集中する酒蔵」ではありません。

役割別にブランドを分けています。

ブランド役割主市場
清洲城信長 鬼ころし最大母艦全国日常酒
祥鳳最高級贈答・吟醸
あゆち新規層若年・女性・初心者
清洲桜地域定番愛知・日常
武将ノ誉地域歴史晩酌
天下泰平本格焼酎焼酎市場
ええなも大衆焼酎日常
楽園ワイン・梅酒非日本酒
愛知クラフト キヨス高付加価値蒸留酒クラフト市場

ブランド構造の本質

鬼ころし=量

祥鳳=質

あゆち=新規顧客

愛知クラフト=成長領域

です。


⑨ 商品ポートフォリオ

1. 清洲城信長 鬼ころし

1984年発売。

  • 国産米
  • 日本酒度+1
  • 酸度1.4
  • 14~15度
  • やや辛口
  • 芳醇
  • コク

最大容量3Lから180mlまでを揃えます。


2. 鬼ころし純米酒

  • 精米78%
  • 15度
  • 日本酒度+1
  • 酸度1.4

米由来の芳醇さを強めた純米版。

燗でコクと香りが増します。


3. 鬼ころし原酒20度

  • 20度
  • 約6か月熟成
  • 日本酒度+1
  • 酸度1.8

2025年全国燗酒コンテスト、

お値打ちぬる燗部門 金賞

です。


4. 鬼ころし冷酒

生貯蔵酒。

すっきり

フルーティー

を担当します。


5. 純米大吟醸39 祥鳳

  • 山田錦
  • 精米39%
  • 15~16度
  • 日本酒度±0
  • 酸度1.5

洋梨を思わせる柔らかな甘味、繊細な入口、ゆっくり切れる余韻。

2026年愛知県新酒品評会、

愛知県知事賞

です。


6. 大吟醸39 祥鳳

2021年、

ワイングラスでおいしい日本酒アワード・プレミアム大吟醸部門金賞

の実績があります。


7. 純米吟醸58 祥鳳

生酒、ひやおろし等へ展開。

2026年9月にはひやおろしを数量限定発売しています。


8. あゆち

  • 純米
  • 12度
  • リンゴ系
  • 甘酸っぱい

日本酒に慣れていない若者・女性層を明確に狙う商品です。

2025年、

ワイングラスでおいしい日本酒アワード 金賞

全国燗酒コンテスト 金賞

の双方を獲得しています。


9. 清洲桜 特上

木曽川水系の良質水を使用。

芳醇+キレ

を両立する地域定番酒です。


10. 上撰鬼ころし

  • 16度
  • 日本酒度+5
  • 酸度1.4
  • 糖類・酸味料不使用

通常鬼ころしより辛口で力強い商品です。


11. 焼酎 ええなも

麦・米・芋を展開。

「ええなも」は名古屋方言で「良いですよ」に相当する地域性を持つ商品です。


12. 天下泰平

本格麦焼酎・本格米焼酎を展開。

清洲城下の歴史イメージと接続します。


13. 楽園ワイン

赤・白を展開。

日本酒市場外の家庭酒需要も獲得します。


14. 楽園梅酒・リキュール

  • ブランデー梅酒
  • 梅酒
  • ゆず酒
  • 檸檬酒
  • シークヮーサー酒
  • クラフトコーラ

まで展開します。


15. 愛知クラフトウイスキー キヨス

  • 清酒酵母
  • 自社蒸留
  • 樽熟成
  • 45度

2020年度蒸留酒では5年熟成を採用。

清酒酵母由来の香りとバニラ系樽香を特徴とします。


16. シングルモルト 愛知クラフトウイスキー清須

ホワイトオーク5年熟成。

2025年TWSC、

銅賞

です。


17. 愛知クラフトジン キヨス

愛知県産素材を含む10種ボタニカル。

2020年IWSC、

金賞95点

2023年TWSC、

銀賞

です。


18. 愛知クラフトウォッカ

  • 国産米100%
  • 白樺炭等による濾過
  • 40度

酒蔵型ウォッカという位置づけです。


商品分類役割
鬼ころし普通酒全国母艦
鬼ころし純米純米日常高品質
鬼ころし原酒原酒濃厚・燗
祥鳳39純米大吟醸最高級
祥鳳58純米吟醸プレミアム中核
あゆち純米新規顧客
清洲桜普通酒等地域
ええなも焼酎日常
天下泰平本格焼酎焼酎
楽園ワイン・梅酒家庭酒
キヨスウイスキー高付加価値
キヨスジン・ウォッカクラフト市場

⑩ 味わい・酒質ポジション

清洲桜醸造は商品層が広いため、

一つの味では定義できません。

企業全体では、

「日常辛旨型+高級柔香型+新世代甘酸型」

の三層です。

鬼ころし

やや辛口
コク
まろやか
飲み飽きない

祥鳳

洋梨
柔らかな甘味
繊細
長い余韻

あゆち

リンゴ
甘酸
低アル12%
軽快

という明確な違いがあります。

味覚軸評価
日常酒適性★★★★★
辛口対応★★★★☆
甘口対応★★★★☆
吟醸香★★★★☆
コク★★★★☆
キレ★★★★☆
燗適性★★★★★
冷酒適性★★★★☆
初心者適性★★★★★
高級酒力★★★★★
商品多様性★★★★★
低アル対応★★★★★
大容量対応★★★★★
小容量対応★★★★★

酒質定義

「大衆辛旨から高級吟醸・甘酸低アルまでを覆う多層型」

です。


⑪ 品質評価・受賞実績

2026年愛知県新酒品評会

最大の最新実績です。

純米吟醸酒部門

祥鳳

愛知県知事賞

杜氏:

伊藤智人氏

です。


本醸造酒部門

清洲桜

県組合会長賞

同じく杜氏は伊藤智人氏です。

これは、

最高級酒と実用価格酒の双方で品質評価を得た

ことを意味します。


全国新酒鑑評会

公式掲載では、

  • 1997
  • 1999
  • 2001
  • 2002
  • 2003
  • 2006
  • 2007
  • 2009

に金賞。

2013年度には、

大吟醸 楽園=金賞

も確認できます。


祥鳳

純米大吟醸39

2022全国燗酒コンテスト、

プレミアム燗酒部門 最高金賞

大吟醸39

2021ワイングラスでおいしい日本酒アワード、

プレミアム大吟醸部門 金賞

です。


鬼ころし

2023全国燗酒コンテスト、

鬼ころしパック=お値打ち熱燗部門 金賞

を獲得しています。


鬼ころし原酒

2025全国燗酒コンテスト、

金賞

です。


あゆち

2025年、

ワイングラスでおいしい日本酒アワード金賞

全国燗酒コンテスト金賞

です。


クラフトジン

2020 IWSC、

金賞95点

2023 TWSC、

銀賞

です。


ウイスキー

シングルモルト愛知クラフトウイスキー清須は、

TWSC2025 銅賞

です。

品質評価の本質

清洲桜醸造は、

「安い鬼ころしを造るメーカー」だけではありません。

実際には、

紙パック
本醸造
純米
純米大吟醸
ジン
ウイスキー

という異なるカテゴリーで外部評価を得ています。


⑫ 地域ブランド・食文化

1. 清洲城

最大の歴史資産です。

織田信長は清洲城を拠点に尾張統一を進め、

桶狭間の戦いへ出陣しました。

そのため清洲は、

「信長飛躍の城下」

という強い物語を持ちます。


2. 「清洲城信長」

商品名そのものに、

清洲城

信長

を組み込んでいます。

地域名を隠すのではなく、

全国流通商品に地域名を載せ続けた

ことが重要です。


3. 五条川と桜

愛知県酒造組合も清洲を、

清洲城と五条川の桜で有名な土地

として紹介しています。

社名「清洲桜」と地域景観が自然につながります。


4. 濃尾平野

米作りの大平野であり、

木曽川水系を持つ酒造環境です。


5. 名古屋食文化

清須は名古屋都市圏にあり、

  • 味噌煮込み
  • どて煮
  • 手羽先
  • 味噌カツ
  • きしめん

など、味の強い料理と日常酒の相性が良い地域です。

地域構造

木曽川=水

濃尾平野=米

清洲城=歴史

信長=知名度

五条川=桜

鬼ころし=日常酒

です。


⑬ 食中酒・ペアリング戦略

酒合わせたい料理理由
鬼ころし焼魚辛旨・コク
鬼ころし煮物飲み飽きしない
鬼ころしどて煮コク
鬼ころし味噌カツキレ
鬼ころし純米煮魚米旨
鬼ころし純米鍋燗適性
原酒20度すき焼き濃厚
原酒20度肉料理コク
祥鳳白身魚繊細
祥鳳会席洋梨香
祥鳳天ぷら上品な切れ
あゆち前菜甘酸
あゆちチーズリンゴ系
あゆち洋食12%・軽快

食中酒の本質

鬼ころしは、

「特別な日に飲む酒」ではなく「毎日の食卓から消えない酒」

として設計されています。

これは高級吟醸型酒蔵とは異なる、非常に強い市場ポジションです。


⑭ 観光・直売・顧客接点

清洲桜醸造は、

観光酒蔵型ではありません。

公式会社概要は、

蔵元の一般公開・見学を実施していない

と明記しています。

したがって主要な顧客接点は、

小売店
スーパー
量販店
酒販店
飲食店
EC
酒イベント
SNS・キャンペーン

です。


EC

「鬼ころしオンラインショップ」を運営。

商品を蔵元から直接購入できます。


イベント

2026年も、

SAKAE SAKE SQUARE

秋酒祭 愛知

などへ参加。

消費者との直接接点を確保しています。


キャンペーン

「鬼まつり」キャンペーンやオリジナルグッズ販売など、

鬼ころし自体を消費者ブランド化

する施策も進んでいます。

顧客接点類型

「非見学型・全国小売+EC+イベント接触型酒蔵」

です。


⑮ 流通・販売戦略

清洲桜醸造の企業力を理解するうえで、

流通

は極めて重要です。

公式によれば販売地域は、

北海道から沖縄まで全国

さらに、

中国・韓国・台湾等を含む約20カ国

です。


1. 全国量販

「鬼ころし」は、

スーパー・量販店で買える日本酒

として大きな価値があります。

日本酒初心者にとって酒屋へ行く必要がなく、

日常品として接触できます。


2. 多容量

鬼ころしは、

180ml~3L

まで展開。

「一回飲み」
から
「家庭常備」

までカバーします。


3. 紙パック

瓶よりも、

  • 軽い
  • 割れにくい
  • 保管しやすい
  • 廃棄しやすい
  • 大容量化しやすい

という家庭酒市場に適した容器です。


4. 高級酒

「祥鳳」は瓶商品として、

鬼ころしとは異なる販路・贈答需要

を獲得できます。


5. EC

公式オンラインショップにより、

D2C

も確保。

日常商品からクラフトウイスキーまで直接販売できます。


6. 海外

約20カ国への販売実績は、

地酒蔵ではなく食品・酒類メーカーとしての輸出対応力

を示します。

流通の本質

「鬼ころしで全国面を取り、祥鳳で品質イメージを上げ、クラフト蒸留酒で高単価市場へ広げる」

構造です。


⑯ ターゲット

ターゲット適合度主商品
日常晩酌層★★★★★鬼ころし
日本酒初心者★★★★★鬼ころし・あゆち
高齢層★★★★★鬼ころし
若年層★★★★★あゆち
女性層★★★★★あゆち・梅酒
純米酒層★★★★☆鬼ころし純米
辛口層★★★★☆上撰鬼ころし
燗酒層★★★★★鬼ころし・原酒
高級酒層★★★★★祥鳳
ギフト需要★★★★★祥鳳
焼酎層★★★★☆天下泰平・ええなも
ワイン層★★★★☆楽園
梅酒・果実酒層★★★★★楽園等
ウイスキー層★★★★★キヨス
カクテル層★★★★★ジン・ウォッカ
海外市場★★★★☆日本酒・蒸留酒

⑰ 競合比較

比較対象として、

中埜酒造
盛田
東春酒造
丸石醸造
関谷醸造

が分かりやすい位置です。

項目清洲桜醸造中埜酒造丸石醸造関谷醸造
創業1853184416901864
主ブランド鬼ころし國盛二兎蓬莱泉
地域清須半田岡崎設楽
主市場全国量販全国専門酒販地元・専門
大容量極めて強い強い弱い弱い
紙パック極めて強い強い小小
高級酒祥鳳國盛大吟醸二兎空・吟
若年商品あゆち多様SATEN等発泡等
焼酎強い強い限定あり
ワインありあり小小
ジン強い商品あり小商品あり
ウイスキー自社蒸留事業別――
輸出約20カ国強い15~16カ国展開
最大差大量日常酒+総合酒類総合酒類大手モダン純米農業統合

差別化

丸石醸造や関谷醸造が「日本酒そのもののブランド価値」を深く掘る企業なら、清洲桜醸造は「日常酒を大量・安定・多カテゴリーで届ける力」が際立つ企業です。

一方、

祥鳳39の県知事賞

によって、

「量産酒メーカーだから高級酒は弱い」

という評価は適切ではありません。


⑱ SWOT分析

区分要素評価戦略的意味
Strength鬼ころし認知極めて強い全国母艦
Strength1853年創業強い歴史
Strength清洲城・信長極めて強い地域ブランド
Strength全国流通極めて強い販売
Strength約40,055石極めて強い生産力
Strength多容量極めて強い市場網羅
Strength祥鳳強い高級酒
Strength2026県知事賞極めて強い品質証明
Strength総合酒類極めて強い分散
Strength自社蒸留非常に強い成長分野
Strength約20カ国輸出強い海外
StrengthEC強いD2C
Weakness「安酒」イメージ高プレミアム阻害
Weaknessテロワール訴求中水・米が弱く見える
Weakness一般見学不可中観光
Weakness商品数が多い中ブランド分散
Weakness鬼ころし依存高母艦集中
Opportunity祥鳳高級化最大ブランド引上げ
Opportunityあゆち大若年層
Opportunityウイスキー最大高単価
Opportunityクラフトジン大海外
Opportunity信長観光大インバウンド
OpportunityEC大ファン化
Threat米価格上昇高大量生産
Threat紙・物流費上昇高主力商品
Threat日本酒人口減少高需要
Threatウイスキー競争高新市場
Threat安売り競争高収益性

⑲ PEST分析

区分外部環境影響対応
Political酒類輸出支援追い風約20カ国
Political地方創生追い風清洲城
Political国産ウイスキー基準品質差別化自社蒸留
Economic米価上昇大原価管理
Economic紙資材高騰大パック
Economic物流費上昇大全国流通
Economic高級酒市場機会祥鳳
Social日本酒離れリスクあゆち
Social低アル需要機会12%
Social家飲み強いパック
Socialクラフト酒人気強いキヨス
Social歴史観光強い信長
Technological自動制御強み品質安定
Technological蒸留技術強みウイスキー等
TechnologicalEC強みD2C
Environmental水資源重要木曽川水系
Environmental容器環境負荷課題・機会紙パック

⑳ 4P分析

区分現状評価
Product清酒~蒸留酒まで極めて広い★★★★★
Price100円台~1万円近い蒸留酒★★★★★
Place全国・EC・海外約20カ国★★★★★
Promotion信長・鬼・受賞・クラフト★★★★★

Product

清洲桜醸造最大の強さです。

180ml鬼ころし
から
3L鬼ころし

さらに、

純米
吟醸
純米大吟醸
焼酎
ワイン
梅酒
ウォッカ
ジン
ウイスキー

まで一社で展開します。


Price

鬼ころし180mlは100円台。

純米大吟醸39祥鳳は720mlで市場参考2,800円台。

シングルモルトは700mlで市場参考9,000円台後半です。

100円台から約1万円まで

同一会社で価格階層を持っています。


Place

全国

+

EC

+

約20カ国

という非常に強い販売網です。


Promotion

中核となるのは、

鬼ころし

織田信長

清洲城

祥鳳受賞

愛知クラフト

です。



㉒ ブランドコピー・見せ方

メインコピー

清洲から、毎日の一杯を。

企業型コピー

大衆酒から純米大吟醸、ウイスキーまで。170年の酒造技術。

鬼ころし型

毎日飲める。それが、一番難しい。

祥鳳型

山田錦39%。鬼ころしの蔵が、本気で磨いた。

歴史型

信長の清洲で、嘉永六年から。

水型

木曽川の水が、清洲の酒を育てる。

あゆち型

りんごのように甘酸っぱい、日本酒の入口。

蒸留酒型

清酒酵母から、ウイスキーへ。

海外型

KIYOSUZAKURA — From everyday sake to Japanese craft spirits.


㉓ この酒蔵をどう見せるべきか

① 最大の商品資産

清洲城信長 鬼ころし

です。

1984年以来40年以上にわたり販売される、企業最大の認知資産です。


② 最大の品質証明

純米大吟醸39 祥鳳

です。

2026年愛知県新酒品評会・愛知県知事賞という現在進行形の評価があります。


③ 最大の歴史資産

清洲城+織田信長

です。

地名・商品名・観光資源が完全に一致しています。


④ 最大の自然資産

木曽川水系の良質な水

です。


⑤ 最大の製造資産

年間安定生産能力

です。

温度制御・自動撹拌等を用い、大量の酒を均質に製造できる能力は小規模蔵にはない競争力です。


⑥ 最大の成長資産

愛知クラフト キヨス

です。

ジン・ウォッカ・ウイスキーを同じ蒸留酒ブランドで展開できます。


⑦ 最大の未来顧客資産

あゆち

です。

低アル12%・甘酸という酒質で、日本酒未経験層への入口になります。


㉔ 最終評価

評価軸評価コメント
歴史性4.9/51853年創業
地域性5.0/5清洲城・信長
水資産4.8/5木曽川水系
生産力5.0/5約40,055石
品質安定性5.0/5自動制御
日常酒力5.0/5鬼ころし
紙パック力5.0/5多容量
吟醸技術5.0/5県知事賞
高級酒力4.9/5祥鳳39
燗酒力5.0/5複数受賞
初心者導入力5.0/5鬼ころし・あゆち
若年対応4.9/5あゆち
商品力5.0/5清酒~蒸留酒
ブランド認知5.0/5鬼ころし
蒸留技術5.0/5自社蒸留
クラフト酒力5.0/5IWSC金賞等
高単価成長力5.0/5ウイスキー
国内流通5.0/5全国
海外流通4.8/5約20カ国
D2C4.8/5公式EC
観光力3.0/5一般見学不可
ギフト適性4.8/5祥鳳
地域歴史力5.0/5信長
事業多角化5.0/5業界トップ級
成長可能性5.0/5蒸留酒・若年・海外


㉖ 最終結論

清洲桜醸造株式会社は、愛知県清須市清洲1692番地に本社を置く、嘉永6年・1853年創業の酒造会社です。

現在の代表取締役社長は柴山一郎氏。1949年に株式会社化し、2024年6月末時点で従業員93名、資本金1,000万円。日本酒・焼酎・果実酒・リキュール・スピリッツ・ウイスキーまでを製造します。公式が公表する2022年度出荷量は約40,055石で、北海道から沖縄まで全国販売し、中国・韓国・台湾などを含む約20カ国へ海外販売しています。

企業の最大母艦は、

「清洲城信長 鬼ころし」

です。

1984年の発売以来40年以上販売され、3Lから180mlまで極めて多くの容量を展開。国産米を使い、日本酒度+1、酸度1.4のやや辛口で、まろやかさ・コク・飲み飽きしにくさを追求しています。高級酒のような希少性ではなく、全国どこでも買え、普段の食卓で継続して飲めること自体が商品の価値です。

しかし、清洲桜醸造の本質を鬼ころしだけで評価すると企業の実力を見誤ります。

最高級ライン「祥鳳」では、厳選した山田錦を39%まで磨き、低温でじっくり発酵。純米大吟醸39祥鳳は、日本酒度±0・酸度1.5で、洋梨を思わせる繊細な甘味、柔らかな入口、長くきれいに切れる余韻を持ちます。2026年愛知県新酒品評会では、杜氏・伊藤智人氏による「祥鳳」が純米吟醸酒部門の最高賞である愛知県知事賞を獲得。同じ品評会では「清洲桜」が本醸造部門の県組合会長賞となり、高級純米大吟醸だけでなく実用価格帯まで品質の高さを示しました。

さらに全国新酒鑑評会でも長期的な実績があり、公式掲載では1997・1999・2001・2002・2003・2006・2007・2009年に金賞。2013酒造年度には「大吟醸 楽園」が金賞を獲得しています。したがって、大量流通商品を得意とすることと、全国水準の吟醸酒を造れることは両立しています。

また、新しい日本酒市場への回答が、

「あゆち」

です。

アルコール12%に抑え、リンゴを思わせる甘酸っぱさと米の旨味を持たせ、日本酒を日常的に飲まない若者や女性まで明確に対象化。2025年にはワイングラスでおいしい日本酒アワードと全国燗酒コンテストの双方で金賞を得ています。鬼ころしが既存の日常酒市場を守り、祥鳳が高級市場を引き上げ、あゆちが次世代の日本酒需要を開拓するという三層構造が形成されています。

そして清洲桜醸造を一般的な日本酒蔵と明確に分けるのが、

「愛知クラフト キヨス」

です。

ジンでは蒲郡みかん・西尾抹茶・稲沢金時生姜など愛知ゆかりの素材を含む10種のボタニカルを使用し、IWSC2020で金賞95点。ウォッカは国産米100%を使い、白樺炭を含む複数の炭を使う独自濾過を採用。ウイスキーでは清酒酵母を発酵へ利用し、清須市内で発酵・蒸留・熟成を行い、シングルモルトではホワイトオーク樽で5年間熟成。2025年TWSCで銅賞を獲得しています。

つまり清洲桜醸造が持つ本当の競争力は、

国産米を大量に安定して醸す技術
+
山田錦39%の高級吟醸技術
+
清酒酵母を蒸留酒へ転用する発酵技術
+
年間安定生産を可能にする設備
+
全国販売網
+
約20カ国への海外販売網

を同じ企業内で持つことです。

したがって清洲桜醸造を最も正確に定義するなら、

「嘉永6年・1853年創業。織田信長の清洲城下・濃尾平野で木曽川水系の良質な水を使い、国産米による『清洲城信長 鬼ころし』を全国の日常酒へ育てる一方、山田錦39%・低温発酵の『祥鳳』で2026年愛知県知事賞を獲得。さらに12%甘酸型日本酒『あゆち』、焼酎、ワイン、梅酒、国産米ウォッカ、愛知県産ボタニカルのジン、清酒酵母を使う自社蒸留ウイスキーまで展開し、全国流通と約20カ国への輸出を実現する、“清洲城下型・大衆酒量産型・高級酒品質証明型・クラフト蒸留型・総合酒類メーカー型酒蔵”」

です。

愛知県の主要酒蔵と比較すると、

関谷醸造=奥三河で農業・酒・食・体験まで垂直統合する蔵

丸石醸造=「二兎」で甘・酸・旨の現代的酒質を全国・海外へ展開する蔵

山﨑合資会社=愛知県産米・手造り・低温熟成を徹底する小規模実力蔵

萬乗醸造=世界のガストロノミーへ日本酒価値を押し上げる国際高級酒蔵

に対して、

清洲桜醸造=「全国の日常酒を大量・安定供給する生産・流通力と、県最高水準の純米大吟醸、さらにジン・ウォッカ・ウイスキーまで自社で造る技術力を一社で併せ持つ、愛知を代表する総合酒類メーカー」

という、極めて明確で規模の大きい独自ポジションを持っています。

清州桜醸造のテロワールを味わう👇

イメージ 酒蔵 説明 リンク
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清州桜醸造

清洲桜醸造は、愛知県清須市清洲で「清洲城信長 鬼ころし」「祥鳳」「あゆち」などを醸す、1853年創業・木曽川水系の良水・山田錦・低温発酵・紙パック日本酒・日常酒・純米大吟醸・燗酒・低アルコール酒・焼酎・ワイン・リキュール・クラフトスピリッツを強みとする、愛知を代表する総合型酒蔵。

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