勲碧酒造(酒蔵企業分析)

目次(Table of Contents)

― 大正4年・1915年創業。木曽川流域の水どころ・愛知県江南市小折で、地下約100mから汲み上げる柔らかな良水、地元産「夢吟香」・江南産「旭」・山田錦・雄町を使い、10kg単位の限定吸水と少量手仕込み、小川10号系酵母を核に「優しく、旨味があり、すっきりした酒」を醸す家族経営蔵。四代目・村瀬公康氏が蔵元兼杜氏として品質を磨き、全国新酒鑑評会で3度の金賞、2026年にも純米大吟醸が入賞。五条川桜酵母や地域米を取り込みながら次世代へ継承を進める、“木曽川水系型・蔵元杜氏型・少量手仕込み型・地域米酵母活用型・家族継承型酒蔵” ―

※本稿は2026年9月時点で確認できる勲碧酒造公式、愛知県酒造組合、全国新酒鑑評会、SAKETOMO等の公開情報を基に整理しています。


① 導入・一行定義

愛知県江南市小折本町柳橋88番地。

名古屋市の北方、木曽川流域に広がる尾張北部で酒を醸すのが、

勲碧酒造株式会社

です。

創業は、

大正4年・1915年。

現在の四代目蔵元であり、

社長兼杜氏は村瀬公康氏

です。公式会社概要でも「社長兼杜氏」と明記されています。

代表銘柄は、

「勲碧」

です。

「勲碧」という酒名は昭和51年、金沢の長橋靖彦氏によって命名されました。

晴れ渡る碧空を表し、

大自然の恵みから酒を造ること
と
蔵元の志

を象徴する名称です。

一行定義

「大正4年・1915年創業。木曽川流域の水どころ・江南市小折で、地下約100mの柔らかな井戸水、地元産夢吟香・江南産旭・山田錦・雄町を、10kg単位の限定吸水と少量手仕込み、小川10号系酵母で丁寧に醸し、“優しく、旨味があり、酸が穏やかで、すっきり切れる酒”『勲碧』を育てる、“木曽川水系型・蔵元杜氏型・少量手仕込み型・地域米酵母活用型・家族継承型酒蔵”」


② 結論・企業ポジション

勲碧酒造最大の企業価値は、

「小規模であることを、酒質の細かな作り分けと地域性へ変換していること」

です。

勲碧酒造は大量生産型ではありません。

村瀬公康氏が1998年頃から自ら杜氏を務め、少量仕込みへ転換。

現在は家族と少人数の蔵人によって、

米・精米歩合・酵母・熟成方法を細かく変えた約20種類の酒

を造っています。

企業構造を整理すると、

山田錦=高級酒

夢吟香=愛知・地域酒

旭=江南テロワール

五条川桜酵母=地域独自性

10号酵母=勲碧らしい酒質

という非常に明確な役割分担があります。

さらに2026年・令和7酒造年度全国新酒鑑評会でも、

「勲碧」=入賞

となりました。

評価軸内容
正式社名勲碧酒造株式会社
所在地愛知県江南市小折本町柳橋88
創業1915年・大正4年
蔵元村瀬公康
杜氏村瀬公康
世代四代目
主銘柄勲碧
名称由来晴れ渡る碧空・蔵元の志
酒造規模小規模・少量手仕込み
基本酵母小川10号系
地域独自酵母五条川桜酵母
水地下約100mの井戸水
水系木曽川流域
高級酒米山田錦
個性米雄町
愛知県酒米夢吟香
江南地域米旭
基本酒質優しい・旨味・やや淡麗
酸比較的低め
主要製法10kg単位限定吸水
溶解設計米をあまり溶かさない
人気商品純米吟醸原酒 氷温熟成酒
地域商品五条川桜・ははそはの
2026全国新酒鑑評会入賞
2024全国新酒鑑評会金賞
本質水・米・酵母を細かく使い分ける家族経営型実力蔵

③ 基本情報

項目内容
会社名勲碧酒造株式会社
所在地〒483-8128 愛知県江南市小折本町柳橋88番地
TEL0587-56-2138
FAX0587-56-2139
創業大正4年・1915年
社長兼杜氏村瀬公康
主銘柄勲碧
事業清酒製造・販売
直売店あり
直売店営業時間9:00~18:00
定休日月曜日
12月原則無休
最寄駅名鉄犬山線 布袋駅・石仏駅
徒歩約20分
駐車場4台
EC通販対応
見学事前相談制・時期により不可

公式サイトでは蔵見学について事前連絡制としています。一方、2024年のSAKETOMO取材では一般向け常設見学は行わず、酒蔵開放・企画見学を中心としているため、実際の来訪時は事前確認が必要です。


④ 歴史・企業沿革

1. 1915年 ― 創業

大正4年。

創業者は、自身も酒造りを行いたいという思いから、

江南市小折で酒蔵を興しました。

小折は井戸を掘れば水が得られる「水どころ」で、この豊富な地下水が創業条件となりました。


2. 1976年 ― 「勲碧」命名

昭和51年。

現在の主銘柄、

「勲碧」

が命名されました。

澄み渡る青空と自然、蔵元の志を象徴する酒名です。


3. 1985年 ― 村瀬公康氏入社

大学在学中だった村瀬公康氏が、父の病気をきっかけに蔵へ戻りました。

当時は越後から杜氏を招いており、村瀬氏は営業・配達を担当していました。


4. 1996年 ― 四代目社長へ

村瀬公康氏が父の後を継ぎ、

社長へ就任。

しかし日本酒市場の低迷により、仕込みを一時休止するほど厳しい経営環境に直面しました。


5. 1998年頃 ― 蔵元兼杜氏へ

杜氏を招くほどの仕込み量を確保できなくなったため、

村瀬氏自身が杜氏となりました。

当時の愛知県では極めて珍しい蔵元兼杜氏型の酒造りでした。


6. 醸造試験所で再学習

酒造経験が十分ではなかった村瀬氏は、

国税庁醸造試験所で講習を受け、

ほぼゼロから酒造技術を学び直しました。


7. 1999年 ― 「聖飢魔酒」

最初期の純米吟醸が、

「純米吟醸 一九九九 聖飢魔酒」

として商品化。

4合瓶約3,000本が販売され、経営面でも大きな支えとなりました。


8. 2004年以降 ― 全国新酒鑑評会へ継続出品

平成16年から継続的に全国新酒鑑評会へ出品。

徐々に技術水準を高めていきます。


9. 2008年 ― 初金賞

全国新酒鑑評会 初金賞

を獲得。


10. 2017年 ― 2度目の金賞

平成29年、

2度目の全国金賞

を受賞しました。


11. 2018年以降 ― 純米大吟醸出品へ

アルコール添加大吟醸から、

純米大吟醸

で全国鑑評会へ挑戦する方向へ転換しました。


12. 2024年 ― 3度目の金賞

令和5酒造年度全国新酒鑑評会で、

6年ぶり3回目の金賞。

純米大吟醸としては初の金賞でした。


13. 次世代参画

長男・村瀬邦興氏が酒造りの中心に入り、

長女・真由子氏も蔵へ参画。

家族内で次世代継承が現実に動き始めています。


14. 2026年

令和7酒造年度全国新酒鑑評会では、

「勲碧」入賞。

品質評価を継続しています。


⑤ 自然環境・水・テロワール

勲碧酒造最大の自然資産は、

水

です。

江南市小折は木曽川流域に位置し、古くから地下水に恵まれた地域です。

村瀬公康氏によれば、

地下約100m

まで掘った井戸から仕込み水を汲み上げています。

この水は、

口当たりが柔らかい

ことが特徴です。

公式も「木曽川清流の仕込み水」を勲碧の酒造りの中心に位置付けています。


水と酒質

柔らかな水を使うことで、

強い酸
極端な辛さ
硬い輪郭

を出すのではなく、

優しく舌へ入る酒

を造ります。

村瀬氏自身も、

「場や人の気持ちを和ませる味」

を目指すと説明しています。


木曽川流域

木曽川は、

犬山
扶桑
江南
岩倉

周辺の農業・生活を支えてきました。

勲碧酒造ではこの周辺地域で栽培される「夢吟香」を使用しており、

水だけでなく原料米も木曽川流域へ近づける

方向へ進んでいます。


テロワール構造

木曽川
↓
尾張北部の地下水
↓
江南・小折
↓
夢吟香・旭
↓
五条川桜酵母
↓
少量手仕込み
↓
勲碧

です。

本質

「木曽川流域の水・米・桜を、一つの酒へ結び付けられる蔵」

です。


⑥ 原料米・農業戦略

勲碧酒造は、

酒米の個性を使い分ける商品設計

を得意とします。

主な使用米は、

山田錦

雄町

夢吟香

旭

です。

原料米主な商品役割
山田錦純米大吟醸・大吟醸高級・吟醸
雄町商品別旨味・個性
夢吟香純米吟醸・五条川桜愛知・地域
旭ははそはの江南地域性
愛知県産米手造り純米定番・地域

山田錦

「至誠」「杜氏渾身ノ酒」等で、

40%精米

まで磨きます。

純米大吟醸「至誠」は斗瓶どり雫酒を低温熟成したプレミアム酒です。


雄町

酒米の歴史が古く、

旨味を出しやすい

原料として使用。

勲碧の柔らかな水と組み合わせることで、膨らみある酒質を狙います。


夢吟香

愛知県の酒造好適米。

現在は、

岩倉
扶桑
犬山
江南

周辺で栽培された米も使用しています。

「純米吟醸 無濾過原酒 夢吟香」では、小川10号酵母と組み合わせ、

優しさ+深い旨味

を表現しています。


旭

江南市産の昔ながらの米。

「ははそはの 美し稲穂『旭』純米酒」

に使用します。

一般的な酒造好適米だけでなく、

地域の食用米・在来系米まで酒へ変える

点に勲碧らしさがあります。


原料戦略の本質

山田錦=高級品質

雄町=旨味

夢吟香=愛知・木曽川流域

旭=江南テロワール

です。


⑦ 酒造技術・製造思想

勲碧酒造の技術を一言で表すなら、

「小さく仕込み、最初の吸水からブレを抑える」

です。


1. 少量仕込み

大量タンクではなく、

小ロット手仕込み

を基本とします。

このため米・精米歩合・酵母を細かく変えた商品展開が可能です。


2. 10kg単位の限定吸水

洗米・浸漬では、

10kgずつ

米を計量。

時間を正確に管理し、

限定吸水

を行います。


3. すべて井戸水

洗米・浸漬にも、

蔵の井戸水

を使用。

仕込み水だけでなく原料処理から同じ水を使います。


4. 蒸米重視

村瀬杜氏が特に重視するのが、

米の蒸し加減

です。

米の状態によって吸水時間を変え、

麹・醪に最適な蒸米を作ります。


5. あまり溶かさない

勲碧では、

米を過度に溶かさない

造りを採用します。

1t仕込みで酒粕が約300kg出ることもあり、

結果として、

すっきりした酒質

へつながります。


6. 小川10号酵母

主力酵母は、

小川10号系

です。

高級酒では香りの出やすい10号系、

純米・本醸造ではよりオーソドックスな10号系を使い分けます。

特徴は、

穏やかなバナナ系香
低めの酸
柔らかな酒質

です。


7. 五条川桜酵母

地元・五条川の桜から分離された酵母も使用。

メロン・葡萄を思わせる香りと穏やかな酸を持ち、

勲碧酒造だけが五条川桜酵母で酒を造る

と村瀬氏は説明しています。


技術 → 酒質

地下100mの軟らかな水
+
10kg限定吸水
+
少量仕込み
+
蒸米管理
+
米を溶かし過ぎない
+
10号系酵母
↓
穏やかな香り
↓
優しい入口
↓
米旨
↓
低めの酸
↓
すっきりした後口

です。


⑧ ブランド構造

勲碧酒造は、

「勲碧」を母艦に、米・酵母・熟成・地域性で商品を分ける構造

です。

商品・シリーズ役割
勲碧企業母艦
至誠熟成最高級
全国新酒鑑評会入賞酒品質証明
杜氏渾身ノ酒高級純米大吟醸
大吟醸 山田錦高級吟醸
純米大吟醸 無濾過原酒10号酵母表現
五条川桜地域酵母
夢吟香 無濾過原酒愛知県産米
氷温熟成酒人気商品
特別純米定番食中
ははそはの江南地域米
手造り純米日常純米
手造り本醸造日常食中
しゅわしゅわイベント・発泡

ブランド構造の本質

至誠=熟成と格

杜氏渾身=技術

夢吟香=愛知

五条川桜=地域独自性

ははそはの=江南

手造り純米=日常

です。


⑨ 商品ポートフォリオ

1. 純米大吟醸 全国新酒鑑評会入賞酒

2026年入賞酒。

720ml・6,600円、1.8L・13,200円。

奥行きのある香りと味わい

を持つ品質象徴商品です。


2. 純米大吟醸「至誠」

  • 山田錦
  • 精米40%
  • 斗瓶どり雫酒
  • 低温熟成

熟成によって、

旨味と香りを調和

させる最高級商品です。


3. 大吟醸 斗びんどり 雫酒

袋吊りによって自然に落ちる雫だけを斗瓶に集め、

熟成後に火入れ。

円やかさ+芳醇な香り

を狙います。


4. 純米大吟醸 杜氏渾身ノ酒

  • 山田錦
  • 精米40%

落ち着いた香りと、

優しく深い山田錦の味

が特徴です。

2026年ミラノ酒チャレンジ金賞を二年連続で受賞したと公式商品ページが案内しています。


5. 大吟醸 山田錦

  • 山田錦40%

吟醸香

米旨

キレ

を持つ、すっきり型大吟醸です。


6. 純米大吟醸 山田錦 無濾過原酒

小川10号酵母の特徴を前面に出した商品。

控えめながら奥行きある吟醸香

じんわりした酸と旨味

が特徴です。


7. 純米吟醸 桜酵母 五条川桜

  • 地元夢吟香
  • 五条川桜酵母
  • 無濾過原酒

華やかな香り+キレある旨味

が特徴。

2026年バンコク酒チャレンジ金賞を公式が掲げています。


8. 純米吟醸 無濾過原酒 夢吟香

  • 愛知県産夢吟香
  • 10号系酵母

山田錦由来の優しさと若水系統の深みを持つ商品。

2025美酒コンクール金賞と公式が案内しています。


9. 純米吟醸原酒 氷温熟成酒

蔵元一番人気。

生のまま冷蔵タンクで熟成し、瓶詰め火入れ後も冷蔵熟成。

生酒の新鮮な香り+熟成による円やかさ

を両立します。


10. 特別純米酒

  • 精米60%
  • 旨辛口

ほのかな吟醸香と、

米本来の旨味

が中核。

2026年ミラノ酒チャレンジ・バンコク酒チャレンジで受賞実績を掲げています。


11. ははそはの 美し稲穂「旭」純米酒

江南市産「旭」

を使用。

地元の米そのものの旨味を表現する、

テロワール商品

です。


12. 手造り純米酒

愛知県産米100%。

40年以上愛される定番酒

です。


13. 手造り本醸造

900kgの少量仕込み。

米旨+キレ

を持つ食中酒です。


14. しゅわしゅわ

瓶内二次発酵によるイベント限定発泡酒。

米・酵母・もろみの個性

をそのまま楽しむ実験的商品です。


⑩ 味わい・酒質ポジション

勲碧全体を一言で表すなら、

「柔旨淡麗・低酸食中型」

です。

村瀬杜氏自身が、

やや淡麗
酸は低め
旨味はしっかり

と説明しています。

基本構造は、

穏やかな香り
↓
柔らかな口当たり
↓
米旨
↓
低めの酸
↓
すっきりした後口

です。

味覚軸評価
香り★★★★☆
甘味★★★☆☆
酸★★☆☆☆
旨味★★★★★
柔らかさ★★★★★
透明感★★★★☆
淡麗感★★★★☆
キレ★★★★☆
丸み★★★★★
食中適性★★★★★
冷酒適性★★★★★
常温適性★★★★★
燗適性★★★★☆
原酒適性★★★★★
初心者適性★★★★★

酒質定義

「尾張北部型・柔旨淡麗食中酒」

です。


⑪ 品質評価・受賞実績

2026 全国新酒鑑評会

令和7酒造年度、

「勲碧」=入賞。

愛知県では14点が入賞し、そのうち8点が金賞でした。勲碧は入賞酒6銘柄の一つです。


2024 全国新酒鑑評会

令和5酒造年度、

「勲碧」=金賞。

蔵として3回目、純米大吟醸出品として初の金賞でした。


過去実績

村瀬杜氏によれば、

  • 2004年 入賞
  • 2005年 入賞
  • 2008年 金賞
  • 2017年 金賞
  • 2024年 金賞

という重要実績があります。


2026 ミラノ酒チャレンジ

公式商品案内では、

杜氏渾身ノ酒=金賞・2年連続

特別純米酒=ダブル金賞

としています。


2026 バンコク酒チャレンジ

公式商品案内では、

五条川桜=金賞

特別純米酒=金賞

です。


2025 美酒コンクール

夢吟香 無濾過原酒=金賞

と公式が案内しています。


品質評価の本質

勲碧酒造の評価で重要なのは、

「鑑評会酒だけが強い」のではないこと

です。

純米大吟醸
純米吟醸
特別純米

まで複数の価格帯・カテゴリーで評価されています。


⑫ 地域ブランド・食文化

勲碧酒造の地域ブランドは、

江南

五条川

木曽川流域

です。


1. 五条川

春には桜並木で全国的に知られる地域資源です。

勲碧酒造は、

五条川の桜そのものから採取した酵母

を商品に使用しています。


2. 夢吟香

江南・岩倉・扶桑・犬山周辺で栽培。

尾張北部の農業

を酒へ取り込みます。


3. 江南産「旭」

「ははそはの」に使用。

一般的な酒米ではなく、

地域で栽培された歴史ある米

を商品へ変えています。


4. 木曽川

酒造水の背景であり、

地域農業を支える自然基盤です。


5. 犬山・岩倉との回遊

名鉄沿線に位置し、

岩倉五条川桜

犬山城

江南フラワーパーク周辺

などとの観光連携余地があります。

地域構造

木曽川=水

五条川=桜

江南=蔵

夢吟香=地域酒米

旭=地域農業

勲碧=酒

です。


⑬ 食中酒・ペアリング戦略

勲碧は、

強い香りで料理を支配しない

ため、食中酒適性が高い蔵です。

酒合わせたい料理理由
至誠会席熟成・円み
大吟醸ステーキ柔旨・厚み
純大無濾過白身魚穏香・旨味
五条川桜刺身華やか・低酸
五条川桜おでん原酒の力
夢吟香焼魚米旨
氷温熟成酒鶏料理円やか
特別純米煮物旨辛
ははそはの和食全般米旨
ははそはの燗+煮物柔らか
手造り純米家庭料理日常性
本醸造焼鳥キレ
しゅわしゅわうなぎ炭酸・脂切り
しゅわしゅわ肉料理爽快感

食中酒の本質

「柔らかい水と低めの酸が料理に寄り添い、米の旨味で受け止め、最後はすっきり流す」

酒です。


⑭ 観光・直売・顧客接点

勲碧酒造は、

大型観光施設型ではなく、直売・酒蔵開放・イベント型

です。


直売店

営業時間は、

9:00~18:00

月曜定休。

定番酒から季節酒、限定酒まで購入できます。


酒蔵見学

公式は事前相談で見学を受け付けるとしていますが、

造り時期等により対応できない場合があります。


酒蔵開放

SAKETOMO取材では、

年4回程度

春・夏・秋・冬に酒蔵開放を実施しています。


春の新酒祭

愛知県酒造組合のイベント情報では、

五条川桜の季節に合わせた新酒祭

を開催。

2025年にも4月初旬に実施されています。


酒蔵コンサート

例年、

6月=フルート・ピアノ

9月=オカリナ等

のコンサートを開催。

酒蔵を地域文化空間として使っています。


観光類型

「直売+季節酒蔵開放+桜+音楽イベント型酒蔵」

です。


⑮ 流通・販売戦略

勲碧酒造の流通は、

蔵元直売+地域酒販+通販+イベント

が中心です。


1. 直売

約20種類の酒を、

造り手から直接購入できる

ことが大きな強みです。


2. 通販

公式商品ページから外部通販へ接続されており、

全国購入が可能です。


3. 地域販売

尾張北部を中心とする酒販・飲食との親和性が高く、

「江南の地酒」

として固定客を持ちます。


4. 季節限定

新酒・ひやおろし・発泡酒等をイベントと連動。

来蔵理由を年間に複数回作る

構造です。


5. プレミアム

「至誠」「全国新酒鑑評会入賞酒」など、

720mlで6,000~10,000円級の商品を持ち、

小規模蔵ながら高単価市場

も確保しています。


流通の本質

「量を広く売る」より、「多様な小ロット商品を蔵・地域・通販で丁寧に売り切る」

構造です。


⑯ ターゲット

ターゲット適合度理由
江南市民★★★★★地酒
尾張北部住民★★★★★水・米
愛知県民★★★★★夢吟香
日本酒初心者★★★★★柔らかい
純米酒ファン★★★★★商品豊富
吟醸酒ファン★★★★★全国評価
山田錦ファン★★★★★高級酒
雄町ファン★★★★☆個性商品
地産地消層★★★★★夢吟香・旭
食中酒層★★★★★低酸・米旨
原酒好き★★★★★商品多い
熟成酒好き★★★★★氷温・至誠
限定酒好き★★★★★小ロット
酒蔵イベント層★★★★★年4回
桜観光層★★★★★五条川
酒通★★★★★米・酵母比較

⑰ 競合比較

比較対象として、

山﨑合資会社
神の井酒造
浦野合資会社
金虎酒造

が分かりやすい位置です。

項目勲碧酒造山﨑合資会社神の井酒造浦野合資会社
地域江南西尾名古屋大高豊田
創業1915190318561864
主銘柄勲碧尊皇神の井菊石
経営家族・小規模地域型小規模小規模
杜氏蔵元兼杜氏社内地元杜氏社員杜氏
水地下100m矢作川流域大高矢作川系
地域米夢吟香・旭夢山水等あいちのかおり豊田米
独自酵母五条川桜商品別愛知酵母商品別
酒質柔旨淡麗芳醇・食中柔旨柔旨淡麗
2026全国入賞入賞入賞金賞
観光酒蔵開放イベント見学型開放型
最大差水×桜酵母×家族西尾地域熱田神宮和釜×杜氏技術

差別化

神の井酒造が「名古屋・大高の歴史と食卓へ根を張る蔵」なら、勲碧酒造は「木曽川流域の水・米・桜を小ロットで酒へ変える蔵」です。

また、

浦野合資会社が和釜と二つの杜氏流派を技術資産とするのに対し、勲碧酒造は“蔵元兼杜氏による細かな仕込み判断”が最大の技術資産

です。


⑱ SWOT分析

区分要素評価戦略的意味
Strength地下100mの良水極めて強い酒質中核
Strength蔵元兼杜氏極めて強い一貫性
Strength少量仕込み強い多品種
Strength10kg限定吸水強い品質
Strength小川10号系強い酒質個性
Strength五条川桜酵母極めて強い唯一性
Strength夢吟香強い愛知性
Strength江南産旭強いテロワール
Strength2024全国金賞極めて強い技術
Strength2026全国入賞強い継続性
Strength子世代参画極めて強い継承
Weakness生産規模高拡大制約
Weakness杜氏依存高属人性
Weakness約20種類中~高複雑化
Weakness全国知名度中認知
Weakness大型観光設備なし中観光
Opportunity五条川観光最大桜
Opportunity地産地消最大夢吟香・旭
Opportunity愛知山田錦大地域高級酒
Opportunity酒米比較需要大多品種
Opportunity小規模蔵人気大手仕事
Opportunity次世代継承最大ブランド
Threat米価格高騰高すでに商品影響
Threat人材依存高小規模
Threat日本酒市場縮小高国内
Threat多SKU在庫中管理
Threat気候変動高地域米

公式商品ページでは、原料米高騰を理由に一部本醸造商品の製造中止も明記されており、原材料価格上昇は現実の経営課題になっています。


⑲ PEST分析

区分外部環境影響対応
Political地方創生追い風五条川・江南
Political地産地消追い風夢吟香・旭
Political日本酒輸出支援機会受賞酒
Economic米価格上昇高リスク高付加価値化
Economic小規模製造費高直売・限定
Economic観光消費機会酒蔵開放
Social地酒志向大勲碧
Socialクラフト志向最大小ロット
Social酒米関心大多米品種
Social体験消費大イベント
Technological酵母研究強み桜酵母
Technological低温管理強み熟成酒
TechnologicalEC機会全国販売
Environmental木曽川水系最重要水
Environmental米栽培変動高地域米

⑳ 4P分析

区分現状評価
Product本醸造~純大・熟成・発泡★★★★★
Price日常~約1万円★★★★☆
Place地元・直売・通販・イベント★★★★☆
Promotion水・受賞・桜・地域米★★★★★

Product

商品幅は非常に広く、

本醸造
純米
特別純米
純米吟醸
大吟醸
純米大吟醸
無濾過
原酒
熟成酒
発泡酒

を持ちます。


Price

720mlで、

1,300円級の純米酒
から
9,900円の至誠

まで幅があります。


Place

直売店

が最重要。

さらに地域酒販・イベント・通販を組み合わせます。


Promotion

最大の訴求要素は、

地下100mの水

蔵元兼杜氏

全国金賞

五条川桜酵母

夢吟香

江南産旭

です。



㉒ ブランドコピー・見せ方

メインコピー

木曽川の水を、酒にする。

酒質型コピー

やさしく入り、旨味を残し、すっと切れる。

水型コピー

地下百メートルから、一杯の勲碧へ。

地域型コピー

江南の米と、五条川の桜と。

桜型コピー

桜から酵母を、春から酒を。

杜氏型コピー

蔵元が、自ら醸す。

継承型コピー

父の酒を、子どもたちの時代へ。

海外型コピー

KUNPEKI — Gentle sake born from the waters of the Kiso River region.


㉓ この酒蔵をどう見せるべきか

① 最大の自然資産

地下約100mの井戸水

です。

「勲碧」の優しい口当たりの根幹です。


② 最大の人物資産

村瀬公康氏

です。

経営者から杜氏へ転じた経歴そのものがブランドストーリーになります。


③ 最大の技術資産

10kg限定吸水+少量仕込み

です。

小規模蔵だからこそ可能な精密な原料処理です。


④ 最大の酵母資産

五条川桜酵母

です。

地域名所と酒質を直接結び付けます。


⑤ 最大の地域原料資産

夢吟香+旭

です。

愛知県全体と江南市という二つの地域スケールを持ちます。


⑥ 最大の品質証明

全国新酒鑑評会3度金賞

です。

さらに2026年も入賞し、品質の継続性があります。


⑦ 最大の将来資産

家族による次世代継承

です。

後継者問題が大きい日本酒業界において、長男・長女双方が蔵へ関わり始めていることは重要な競争力です。


㉔ 最終評価

評価軸評価コメント
歴史性4.7/51915年
地域性5.0/5江南・木曽川
水資産5.0/5地下100m
酒名物語4.8/5碧空・志
蔵元杜氏5.0/5最大資産
少量手仕込み5.0/5高い
原料処理5.0/5限定吸水
酵母設計5.0/510号+桜
地域酵母5.0/5五条川桜
原料米5.0/54系統
地域米5.0/5夢吟香・旭
吟醸技術5.0/53回金賞
最新評価4.9/52026入賞
酒質完成度4.9/5柔旨・低酸
食中酒力5.0/5高い
冷酒力5.0/5原酒・吟醸
常温適性4.8/5純米
燗適性4.7/5旭・純米
熟成技術5.0/5氷温・至誠
商品幅5.0/5約20種
プレミアム力4.9/5至誠等
流通力4.1/5地域中心
D2C4.6/5通販+直売
観光力4.5/5開放型
継承力5.0/5家族参画
成長可能性5.0/5地域深化余地大


㉖ 最終結論

勲碧酒造株式会社は、愛知県江南市小折本町柳橋88番地に蔵を構える、大正4年・1915年創業の酒蔵です。

現在は四代目・村瀬公康氏が、

社長兼杜氏

を務めています。

勲碧酒造を理解するうえで最も重要なのは、

水です。

蔵のある小折地区は古くから地下水に恵まれた土地で、現在も地下約100mまで掘った井戸から良水を汲み上げています。この水は非常に柔らかく、「勲碧」の優しい入口と穏やかな味わいの基礎になっています。村瀬氏自身も「場や人の気持ちを和ませる酒」を目標にしていると語っています。

製造面では、

10kgずつの限定吸水

を採用。

米を小分けにし、洗米・浸漬・水切り時間を管理し、米ごとの吸水性に応じて蒸し方を変えます。

さらに勲碧では米を過度に溶かさない造りを行い、酒粕を比較的多く残します。その結果、

すっきりした輪郭

柔らかな米旨

低めの酸

という独自酒質が形成されます。

酵母は、

小川10号系

が中心です。

高級酒には香りの出やすいタイプ、純米・本醸造にはより穏やかなタイプを使い分け、バナナを思わせる落ち着いた香りと低めの酸を生み出します。

そして勲碧酒造を他蔵から大きく分けるのが、

「五条川桜酵母」

です。

日本さくら名所100選にも知られる五条川の桜から分離した酵母を使い、地元産夢吟香を醸した「五条川桜」を商品化。メロンや葡萄を思わせる香り、優しい酸、まとまりのある旨味を持つ酒となっています。村瀬氏によれば、五条川桜由来酵母を使った清酒を醸しているのは勲碧酒造です。

原料米も、

山田錦
雄町
夢吟香
旭

と多彩です。

山田錦は40%まで磨いて純米大吟醸へ。

愛知県産夢吟香は10号酵母や桜酵母と組み合わせ、地域酒へ。

江南産「旭」は「ははそはの」として、

土地で育った米そのものを酒へ変える

商品となっています。

商品体系も小規模蔵として非常に広く、

純米大吟醸 全国新酒鑑評会入賞酒

純米大吟醸 至誠

大吟醸 斗びんどり雫酒

純米大吟醸 杜氏渾身ノ酒

純米吟醸 五条川桜

純米吟醸 無濾過原酒 夢吟香

純米吟醸原酒 氷温熟成酒

特別純米酒

ははそはの

手造り純米

手造り本醸造

までを持ちます。

品質評価も継続しています。

村瀬氏が全国新酒鑑評会へ継続出品を始めたのは2004年。

2008年に初金賞。

2017年に2度目。

2024年には、

純米大吟醸で3度目の金賞

を獲得しました。

さらに2026年・令和7酒造年度全国新酒鑑評会でも、

「勲碧」=入賞。

愛知県の入賞14銘柄の一つとなりました。

また現在は、

長男・邦興氏が酒造り

長女・真由子氏が蔵へ参画

し、

次世代への家族継承

も始まっています。

これは非常に重要です。

勲碧酒造の技術は、

機械やレシピだけではなく、

吸水時間
蒸米
麹
もろみ
夜間管理

という蔵元杜氏の判断の積み重ねです。

その技術を子世代へ渡せるかどうかが、今後の企業価値を大きく左右します。

したがって勲碧酒造を最も正確に定義するなら、

「大正4年・1915年創業。木曽川流域の水どころ・愛知県江南市小折で、地下約100mから汲み上げる柔らかな井戸水、山田錦・雄町・地元産夢吟香・江南産旭を使い、10kg単位の限定吸水、少量手仕込み、米を溶かし過ぎない製法、小川10号系酵母によって、穏やかな香り・柔らかな口当たり・米の旨味・低い酸・すっきりした後口を形成。五条川桜酵母や地域米を商品化しながら、四代目蔵元兼杜氏・村瀬公康氏が全国新酒鑑評会3度の金賞と2026年入賞まで品質を高め、長男・長女へ次世代継承を進める、“木曽川水系型・蔵元杜氏型・少量手仕込み型・地域米酵母活用型・家族継承型酒蔵”」

です。

愛知県の主要酒蔵と比較すると、

関谷醸造=奥三河の農業・酒・食・観光を統合する垂直統合型酒蔵

丸石醸造=「二兎」で現代的な甘・酸・旨を磨くブランド集中型酒蔵

浦野合資会社=和釜・手造りと越後・南部両流派を融合する豊田型酒蔵

金虎酒造=越後流を基盤に「虎変」で革新を進める名古屋都市型酒蔵

に対して、

勲碧酒造=「木曽川流域の地下水を酒質の中心に置き、蔵元自らが杜氏となって小さな仕込みを細かく管理し、夢吟香・旭・五条川桜酵母という地域資源を酒へ変え、全国評価を取りながら家族へ技術を継承する、“水と人の距離が非常に近い尾張北部のクラフト酒蔵”」

という、非常に明確で再現しにくい独自ポジションを持っています。

勲碧酒造のテロワールを味わう👇

イメージ 酒蔵 説明 リンク
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勲碧酒造

勲碧酒造は、愛知県江南市小折本町で「勲碧」を醸す、1915年創業・家族中心の手造り・木曽川水系の軟水・地下約100mの井戸水・10号酵母・桜酵母「五条川桜」・山田錦・雄町・夢吟香・総米1t以下の少量仕込み・無濾過原酒・氷温熟成を強みとする、尾張・江南を代表する小規模地酒蔵。

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