後藤酒造場(酒蔵企業分析)
― 大正6年・1917年創業。木曽三川の河口域と鈴鹿山脈・養老山地・伊勢湾に囲まれた三重県桑名市赤尾で、家族経営・蔵元杜氏による小規模手造りを続ける酒蔵。三重県産山田錦・神の穂、三重県酵母を使い、「米の持つ豊かな旨み」を酒造りの中心に据え、「青雲」「久波奈」「颯」「かれがわ」を展開。2025年度全米日本酒歓評会では「颯 純米吟醸 神の穂」が金賞、「青雲 純米大吟醸」が銀賞、2026年全国新酒鑑評会では「青雲」が金賞を獲得した、“桑名久米郷型・家族経営蔵元杜氏型・地域米酵母活用型・小仕込み旨味重視型・地酒深化型酒蔵” ―
※本稿は2026年9月時点で確認できる後藤酒造場公式、日本酒造組合中央会、全国新酒鑑評会、Kura Master、全米日本酒歓評会等の公開情報を基に整理しています。正式法人名は合資会社後藤酒造場です。
① 導入・一行定義
三重県桑名市大字赤尾1019。
桑名市西部、
「久米の里」
で酒を醸すのが、
合資会社後藤酒造場
です。
創業は、
大正6年・1917年。
初代、
後藤宗左衛門
が、廃業する酒蔵を買い取り創業しました。
現在は四代目、
後藤悦夫氏
が蔵元杜氏を務めます。
2005年から当代として酒造りを担い、創業以来、
家族経営の小さな酒蔵
という企業形態を守り続けています。
代表銘柄は、
「青雲」
です。
その他、
「久波奈」
「颯」
「かれがわ」
などを展開しています。
一行定義
「大正6年・1917年創業。古代の醸造民『味酒臣』伝承が残る桑名・久米の里で、家族経営・蔵元杜氏による小規模手造りを続け、三重県産山田錦・神の穂・三重県酵母を使い、“米の持つ豊かな旨み”を第一に、『青雲』『久波奈』『颯』を醸す、“桑名久米郷型・家族経営蔵元杜氏型・地域米酵母活用型・小仕込み旨味重視型酒蔵”」
② 結論・企業ポジション
後藤酒造場最大の企業価値は、
「規模を追わず、米・地域・人の距離を近く保っていること」
です。
後藤酒造場は大規模設備型ではありません。
公式自身が、
「創業以来、家族経営の小さな酒蔵」
と説明しています。
そのため酒造りも、
大量生産
ではなく、
少量・手造り・商品ごとの細かな設計
が中心です。
企業構造を整理すると、
青雲=蔵の本流・品質象徴
久波奈=桑名・地域性
颯=現代的酒質・酒米表現
かれがわ=地域性を深掘る酒
という役割分担が見えてきます。
さらに近年の品質評価も強く、
2025年度全米日本酒歓評会では、
「颯 純米吟醸 神の穂」=金賞
「青雲 純米大吟醸」=銀賞
2026年全国新酒鑑評会では、
「青雲」=金賞
となっています。
| 評価軸 | 内容 |
|---|---|
| 正式法人名 | 合資会社後藤酒造場 |
| 所在地 | 三重県桑名市大字赤尾1019 |
| 創業 | 1917年・大正6年 |
| 法人設立 | 1955年 |
| 初代 | 後藤宗左衛門 |
| 現当主 | 後藤悦夫 |
| 経営 | 家族経営 |
| 杜氏 | 蔵元杜氏 |
| 主力ブランド | 青雲 |
| 地域ブランド | 久波奈 |
| 現代ライン | 颯 |
| その他 | かれがわ |
| 酒造理念 | 米の豊かな旨みを第一にする |
| 地域 | 桑名・久米の里 |
| 原料米 | 三重県産山田錦・神の穂等 |
| 酵母 | 三重県酵母等 |
| 高級酒 | 青雲 純米大吟醸・大吟醸 |
| 地域酒 | 久波奈 特別純米 |
| 現代酒 | 颯 純米吟醸 |
| 熟成酒 | 古而醇醴 |
| 2026全国新酒鑑評会 | 青雲・金賞 |
| 2025全米日本酒歓評会 | 颯 神の穂・金賞 |
| 2025全米日本酒歓評会 | 青雲 純米大吟醸・銀賞 |
| Kura Master | 複数年受賞 |
| 経営本質 | 小規模・家族・地域密着 |
| 本質 | 桑名の米旨を小仕込みで磨く酒蔵 |
③ 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法人名 | 合資会社後藤酒造場 |
| 所在地 | 〒511-0934 三重県桑名市大字赤尾1019 |
| TEL | 0594-31-3878 |
| FAX | 0594-31-8606 |
| 創業 | 1917年 |
| 法人設立 | 1955年 |
| 販売責任者 | 後藤悦夫 |
| 主銘柄 | 青雲・久波奈 |
| その他 | 颯・かれがわ |
| 事業 | 清酒製造・販売 |
| 営業時間 | 9:00~17:00 |
| 定休日 | 土曜・日曜・祝日 |
| 直売 | あり |
| EC | 公式通販あり |
| 蔵見学 | 要予約 |
| 所在地域 | 桑名市赤尾・久米地区 |
日本酒造組合中央会の2025年名簿でも、後藤酒造場は桑名市赤尾1019、創業1917年、代表銘柄「青雲」「久波奈」と掲載され、蔵見学は要予約とされています。
④ 歴史・企業沿革
1. 1917年 ― 創業
大正6年。
初代、
後藤宗左衛門
が35歳の時、桑名西部・久米の里にあった酒蔵が廃業することを知り、
その酒蔵を買い取って創業
しました。
2. 「青雲」を継承
買い取った酒蔵では、
「青雲」
という銘柄が古くから使われていました。
そのため後藤宗左衛門は、
酒蔵とともに酒名も継承
しました。
3. 青雲の酒名
公式では、
持統天皇が天武天皇を悼んだ万葉集の挽歌にある、
「青雲」
から名付けられたと伝わる一方、
真偽は不明
としています。
4. 二代目・後藤宗義
二代目時代の、
1955年・昭和30年
に法人化。
合資会社後藤酒造場
となりました。
5. 三代目・後藤宗敏
三代目を経て、
家族経営を継続。
6. 2005年 ― 四代目
後藤悦夫氏
が四代目として当代となり、
蔵元杜氏
として酒造りを担います。
7. 純米系の深化
「久波奈」「颯」など、
地域米・純米系を中心とした商品構造を強化。
8. 国際コンクール
2018年以降、
Kura Masterで、
青雲 純米大吟醸
颯 純米吟醸 神の穂
などが継続受賞。
9. 2025年
全米日本酒歓評会で、
颯 純米吟醸 神の穂=金賞
青雲 純米大吟醸=銀賞
となりました。
10. 2026年
令和7酒造年度全国新酒鑑評会で、
青雲=金賞。
歴史の本質
「酒蔵と銘柄を引き継いだ初代から、家族4代で酒質を磨き続けてきた蔵」
です。
⑤ 自然環境・水・テロワール
後藤酒造場のテロワールを理解する中心地は、
桑名・久米の里
です。
桑名市は、
木曽川
長良川
揖斐川
からなる木曽三川河口域に位置し、
西に鈴鹿山脈、
北に養老山地、
東に伊勢湾があります。
久米の里
酒蔵のある赤尾周辺は、
員弁川・町屋川流域
に位置します。
この川は鈴鹿山地に源を発し、
伊勢湾へ流れます。
米の集積地・桑名
桑名は古くから、
米の交易港
として繁栄しました。
尾張・美濃・伊勢の穀倉地帯を背景に、
木曽三川と伊勢湾の水運を通じ、
大量の米が集まりました。
これは後藤酒造場にとって非常に重要です。
この蔵は、
米の旨み
を酒造りの中心に置いているからです。
古代醸造文化
公式では久米の里について、
壬申の乱以後、
古代朝廷の醸造に従事した、
「味酒臣」
が移り住み、
酒・味噌などの醸造技術を伝えた地域と説明しています。
歴史的伝承を含む説明ですが、
「桑名西部=古くから発酵文化と結び付いた地域」
というブランド資産になります。
テロワール構造
鈴鹿山脈
↓
員弁川・町屋川
↓
久米の里
↓
米
↓
醸造文化
↓
桑名
↓
青雲・久波奈
です。
本質
「米の物流都市・桑名と、古い醸造伝承を持つ久米の里で、米旨を酒へ変える蔵」
です。
⑥ 原料米・農業戦略
後藤酒造場の原料戦略は、
三重県産米を中心に地域性を出すこと
です。
主な酒米は、
山田錦
神の穂
です。
山田錦
青雲の高級ラインで中心となる原料です。
青雲 純米大吟醸
三重県産山田錦100%
精米40%
三重県酵母で仕込み、
華やかな果実香と柔らかな米旨を表現します。
青雲 大吟醸
三重県産山田錦100%
精米40%
日本酒度+6前後。
一冬の生産量が少なく、
限定的な高級商品
です。
神の穂
三重県が開発した酒造好適米。
「颯 純米吟醸 神の穂」の核となります。
精米歩合は、
55%。
穏やかな吟醸香と、
切れのある膨らみ
が特徴です。
久波奈
久波奈特別純米は、
三重県産山田錦・神の穂
を55%まで磨き、
三重県酵母で仕込んでいます。
原料戦略の本質
山田錦=高級酒
神の穂=三重らしさ
三重県酵母=地域発酵
です。
⑦ 酒造技術・製造思想
後藤酒造場の酒造思想は、
「米の持つ豊かな旨みを第一にする」
です。
公式挨拶でも、
酒造りの中心として明記されています。
1. 手造り
日本酒造組合中央会の蔵元紹介でも、
手造りにこだわる
ことを明確にしています。
2. 低温長期もろみ
久波奈特別純米では、
低温長期もろみ
を採用。
米旨を残しつつ、香りと雑味を整えます。
3. 高精白
大吟醸・純米大吟醸では、
40%精米
まで磨きます。
4. 袋吊り
青雲大吟醸では、
袋吊り雫酒
も製造。
酒袋から圧力をかけずに自然に落ちる酒だけを集めます。
5. 中取り
さらに、
中取り
部分を使い、
雑味の少ない酒質を狙います。
6. 無濾過原酒
袋吊り雫酒は、
無濾過原酒
として瓶詰めし、低温熟成します。
7. 山廃
青雲・颯では、
山廃純米
も展開。
現代的吟醸だけでなく、
乳酸発酵由来の旨味・酸を活かす商品も持ちます。
技術 → 酒質
三重県産米
+
手造り
+
低温長期もろみ
+
高精白
+
袋吊り
+
無濾過
↓
穏やか~華やかな香り
↓
柔らかな入口
↓
米の旨味
↓
ふくらみ
↓
クリアな後口
です。
⑧ ブランド構造
後藤酒造場は、
複数銘柄を役割ごとに使い分ける小規模多ブランド型
です。
| ブランド | 役割 |
|---|---|
| 青雲 | 蔵の本流・高級・伝統 |
| 久波奈 | 桑名・地域酒 |
| 颯 | 現代・酒米表現 |
| かれがわ | 地域性・個性 |
| 古而醇醴 | 長期熟成・古酒 |
青雲
企業母艦。
大吟醸・純米大吟醸・山廃純米・辛口など、
蔵の中心商品を幅広く持ちます。
久波奈
「桑名」の古称・読みにつながる地域性が強く、
地域食中酒
を担います。
颯
より現代的な商品ライン。
神の穂や山田錦を使い、
酒米・製法ごとの個性を明確にします。
古而醇醴
熟成酒。
Kura Master古酒部門でも評価されています。
ブランド構造の本質
青雲=歴史
久波奈=桑名
颯=現代
古而醇醴=時間
です。
⑨ 商品ポートフォリオ
1. 青雲 純米大吟醸
- 三重県産山田錦100%
- 精米40%
- 16.2%
- 日本酒度+2
- 酸度1.3
華やかな果実香
柔らかな米旨
が特徴です。
2. 青雲 大吟醸
- 三重県産山田錦100%
- 精米40%
- 16.2%
- 日本酒度+6
- 酸度1.2
甘い果実を思わせる香り、
爽やか
柔らかい
上品
クリア
な酒質です。
3. 青雲 大吟醸 袋吊り雫酒 中取り無濾過原酒
- 三重県産山田錦100%
- 精米40%
- 18度
- 日本酒度+6
- 酸度1.3
圧力をかけず自然に垂れた酒を集め、
原酒のまま瓶火入れ・低温熟成します。
後藤酒造場の最高技術商品
の一つです。
4. 久波奈 特別純米
- 三重県産山田錦・神の穂
- 精米55%
- 日本酒度+2
- 酸度1.3
ベリー系の落ち着いた香り
芳醇
優しい口当たり
が特徴です。
5. 久波奈 特別純米 無濾過生酒
三重山田錦55%。
無濾過で瓶詰めし、
穏やかなベリー香
ふくらみある旨味
を楽しむ限定酒です。
6. 颯 純米吟醸 神の穂
- 神の穂
- 精米55%
- 16%
- 日本酒度+2
- 酸度1.4
落ち着いた吟香
切れのある膨らみ
が特徴です。
7. 颯 純米吟醸 山田錦
山田錦の旨味を現代的に表現する純米吟醸。
8. 颯 山廃純米 山田錦
山廃酒母による、
旨味・酸・コク
を強めたタイプです。
9. 青雲 山廃純米
名古屋国税局酒類鑑評会で優等賞対象となった実績があります。
10. 青雲 辛口
日常食中酒の役割を担う定番酒です。
11. かれがわ
後藤酒造場公式が「青雲」「久波奈」と並び製造銘柄として掲げる、
地域性の強い商品
です。
12. 青雲 古酒 古而醇醴
Kura Master2023、
古酒部門 金賞
です。
⑩ 味わい・酒質ポジション
後藤酒造場の酒質を一言で表すなら、
「柔旨・芳醇・切れ」
です。
公式は、
米の持つ豊かな旨み
を第一に掲げています。
青雲大吟醸では、
華やかな香り
クリア
切れのあるコク
久波奈では、
ベリー系の穏やかな香り
柔らかな旨味
颯では、
落ち着いた吟香
膨らみ
切れ
という表現になります。
| 味覚軸 | 評価 |
|---|---|
| 香り | ★★★★☆ |
| 果実香 | ★★★★☆ |
| 米旨 | ★★★★★ |
| 甘味 | ★★★☆☆ |
| 酸 | ★★★☆☆ |
| ふくらみ | ★★★★★ |
| 柔らかさ | ★★★★★ |
| 透明感 | ★★★★☆ |
| コク | ★★★★☆ |
| キレ | ★★★★★ |
| 食中適性 | ★★★★★ |
| 冷酒適性 | ★★★★★ |
| 常温適性 | ★★★★★ |
| 燗適性 | ★★★★☆ |
| 初心者適性 | ★★★★☆ |
酒質定義
「桑名型・柔旨芳醇食中酒」
です。
⑪ 品質評価・受賞実績
2026 全国新酒鑑評会
令和7酒造年度、
「青雲」=金賞。
三重県では12点が入賞し、そのうち7点が金賞でした。
2025 全米日本酒歓評会
颯 純米吟醸 神の穂=金賞
青雲 純米大吟醸=銀賞。
2024 全米日本酒歓評会
颯 純米吟醸 神の穂=金賞。
Kura Master
青雲 純米大吟醸
- 2018年 プラチナ賞・上位12銘柄
- 2019年 金賞
- 2023年 金賞
- 2024年 金賞
颯 純米吟醸 神の穂
- 2018年 金賞
- 2019年 金賞
- 2020年 プラチナ賞・上位18銘柄
- 2021年 金賞
- 2022年 金賞
- 2025年 金賞
颯 純米吟醸 神々の黄昏
- 2020年 プラチナ賞
- 2025年 プラチナ賞
古而醇醴
- 2023年 古酒部門 金賞
名古屋国税局酒類鑑評会
2020年度、
青雲 山廃純米
が三重県の優等賞銘柄として掲載されています。
品質評価の本質
後藤酒造場の強さは、
高級大吟醸だけに偏っていないこと
です。
純米大吟醸
純米吟醸
山廃純米
古酒
まで複数カテゴリーで評価されています。
小規模ながら商品設計の幅が広い蔵
です。
⑫ 地域ブランド・食文化
後藤酒造場の地域ブランドは、
桑名
久米
北伊勢
です。
1. 桑名
東海道の宿場町、
城下町、
港町として栄えました。
2. 木曽三川
米・物資を集めた水運の基盤。
3. 伊勢湾
港湾交易と食文化を支えます。
4. 久米の里
古代醸造伝承を持つ地域。
「味酒臣」の伝承や麹文化と結び付きます。
5. 久波奈
酒名そのものが、
桑名の地域性
を明確に表現します。
6. 神の穂
三重県独自の酒造好適米。
地域農業と酒を接続します。
地域構造
桑名=交易
木曽三川=物流
久米=醸造文化
員弁川=水
神の穂=農業
久波奈=地域酒
青雲=伝統
です。
⑬ 食中酒・ペアリング戦略
後藤酒造場の酒は、
米旨を中心に料理へ寄り添うタイプ
です。
| 酒 | 合わせたい料理 | 理由 |
|---|---|---|
| 青雲 純米大吟醸 | 白身魚 | 柔旨・透明 |
| 青雲 大吟醸 | 刺身 | 香り・キレ |
| 青雲 雫酒 | 会席 | 繊細・高級 |
| 久波奈 特別純米 | 煮物 | 芳醇・米旨 |
| 久波奈 | 焼魚 | 柔らかい旨味 |
| 久波奈 無濾過生 | 鶏料理 | 膨らみ |
| 颯 神の穂 | 魚介 | 穏香・切れ |
| 颯 山田錦 | 寿司 | 米旨 |
| 颯 山廃純米 | 肉料理 | 酸・コク |
| 青雲 山廃純米 | 味噌料理 | 旨味・酸 |
| 青雲 辛口 | 焼鳥 | 後切れ |
| 古而醇醴 | 熟成チーズ | 熟成香 |
久波奈特別純米について公式は、
「旨みのある料理に合う」
と案内しています。
食中酒の本質
「香りを出し過ぎず、米の旨味で料理を受け、最後は切る」
ことです。
⑭ 観光・直売・顧客接点
後藤酒造場は、
大型観光施設型ではなく、小規模蔵見学・直売型
です。
蔵見学
日本酒造組合中央会の情報では、
要予約
です。
直売
公式ショップを運営し、
蔵の商品を直接購入できます。
EC
公式通販では、
大吟醸
純米大吟醸
久波奈
限定生酒
などを購入できます。
地域観光
桑名には、
東海道
桑名城跡
六華苑
七里の渡し
多度
木曽三川
など、地域回遊資源があります。
酒蔵はこれらの中心都市圏から近く、
「桑名観光+地酒」
の導線を作りやすい立地です。
観光類型
「予約蔵見学+直売+桑名地域回遊型酒蔵」
です。
⑮ 流通・販売戦略
後藤酒造場の流通は、
地域酒販+蔵元直売+EC+専門市場
が中心です。
1. 桑名・北勢
「青雲」「久波奈」は、
桑名の地酒
として地域需要を支えます。
2. 三重県内
神の穂・山田錦・三重県酵母によって、
三重県産酒としての価値
を持ちます。
3. 蔵元EC
小規模蔵でも全国へ販売できる、
重要な直販チャネル
です。
4. プレミアム市場
青雲純米大吟醸、大吟醸雫酒など、
高単価限定酒
を展開します。
5. 国際評価活用
全米日本酒歓評会・Kura Masterで継続評価を得ているため、
海外・外国人需要との相性
も高いブランドです。
流通の本質
「量で広げるのではなく、地域・直販・受賞価値で単価と固定客を高める」
構造です。
⑯ ターゲット
| ターゲット | 適合度 | 理由 |
|---|---|---|
| 桑名市民 | ★★★★★ | 地酒 |
| 北勢地域 | ★★★★★ | 地域性 |
| 三重県民 | ★★★★★ | 神の穂・県産山田錦 |
| 純米酒ファン | ★★★★★ | 商品豊富 |
| 吟醸酒ファン | ★★★★★ | 青雲 |
| 山田錦ファン | ★★★★★ | 40%精米 |
| 神の穂ファン | ★★★★★ | 颯 |
| 食中酒層 | ★★★★★ | 米旨 |
| 山廃ファン | ★★★★★ | 青雲・颯 |
| 無濾過生酒層 | ★★★★★ | 久波奈 |
| 古酒層 | ★★★★☆ | 古而醇醴 |
| 地産地消層 | ★★★★★ | 三重米・酵母 |
| 小規模蔵志向 | ★★★★★ | 家族経営 |
| 蔵元杜氏志向 | ★★★★★ | 後藤悦夫 |
| ギフト需要 | ★★★★☆ | 大吟醸 |
| 海外評価重視層 | ★★★★★ | Kura Master等 |
⑰ 競合比較
比較対象として、
宮﨑本店
清水清三郎商店
細川酒造
石川酒造
が分かりやすい位置です。
| 項目 | 後藤酒造場 | 宮﨑本店 | 清水清三郎商店 | 細川酒造 |
|---|---|---|---|---|
| 創業 | 1917 | 1846 | 1869 | 1850 |
| 地域 | 桑名・赤尾 | 四日市・楠 | 鈴鹿 | 桑名・多度 |
| 主銘柄 | 青雲 | 宮の雪 | 作 | 上げ馬 |
| 地域銘柄 | 久波奈 | 宮の雪 | 鈴鹿川 | 地域酒 |
| 経営 | 家族経営 | 企業型 | 組織型 | 家族型 |
| 杜氏 | 蔵元杜氏 | 組織杜氏 | 社内醸造 | 小規模 |
| 酒質 | 柔旨芳醇 | 華香柔旨 | 透明・キレ | 地域食中 |
| 高級酒 | 青雲純大 | 東条山田錦 | 槐山等 | 大吟醸 |
| 地域米 | 神の穂 | 神の穂 | 神の穂 | 三重米 |
| 2026全国 | 金賞 | 入賞 | 金賞 | ― |
| 国際評価 | 強い | 極めて強い | 極めて強い | 限定 |
| 最大差 | 家族×米旨×桑名 | 総合酒類 | 世界ブランド | 多度地域 |
差別化
宮﨑本店が「総合酒類企業」、清水清三郎商店が「世界ブランド型」なら、後藤酒造場は「桑名の土地・家族経営・蔵元杜氏・米旨」という距離の近さを価値にする蔵です。
大量流通ではなく、
小さな蔵だからこその丁寧さ
が差別化になります。
⑱ SWOT分析
| 区分 | 要素 | 評価 | 戦略的意味 |
|---|---|---|---|
| Strength | 家族経営 | 極めて強い | 一貫性 |
| Strength | 蔵元杜氏 | 極めて強い | 酒質 |
| Strength | 1917年創業 | 強い | 歴史 |
| Strength | 青雲 | 強い | 母艦 |
| Strength | 久波奈 | 強い | 地域 |
| Strength | 颯 | 強い | 現代酒 |
| Strength | 三重県産山田錦 | 強い | 地域高級酒 |
| Strength | 神の穂 | 極めて強い | 三重性 |
| Strength | 三重県酵母 | 強い | 地域発酵 |
| Strength | 米旨思想 | 極めて強い | 酒質軸 |
| Strength | 袋吊り | 強い | 高級化 |
| Strength | Kura Master | 強い | 海外 |
| Strength | 2026全国金賞 | 極めて強い | 最新評価 |
| Weakness | 生産規模 | 高 | 量的制約 |
| Weakness | 人員規模 | 高 | 属人性 |
| Weakness | ブランド数 | 中 | 理解難度 |
| Weakness | 全国認知 | 中 | 地域中心 |
| Weakness | 観光常設性 | 中 | 来訪 |
| Opportunity | 小規模蔵人気 | 最大 | 手造り |
| Opportunity | 桑名観光 | 大 | 地域回遊 |
| Opportunity | 神の穂 | 最大 | 三重酒 |
| Opportunity | 海外評価 | 大 | 受賞 |
| Opportunity | D2C | 大 | EC |
| Opportunity | 古酒市場 | 大 | 古而醇醴 |
| Threat | 米価格高騰 | 高 | 小規模 |
| Threat | 人材継承 | 高 | 家族依存 |
| Threat | 日本酒市場縮小 | 高 | 国内 |
| Threat | 物流費 | 中~高 | EC |
| Threat | SKU管理 | 中 | 小規模 |
⑲ PEST分析
| 区分 | 外部環境 | 影響 | 対応 |
|---|---|---|---|
| Political | GI三重・地域酒支援 | 追い風 | 神の穂 |
| Political | 輸出支援 | 機会 | 受賞酒 |
| Political | 地方創生 | 追い風 | 桑名 |
| Economic | 米価上昇 | リスク | 高付加価値 |
| Economic | 物流費 | リスク | EC |
| Economic | 地方観光 | 機会 | 桑名 |
| Social | クラフト志向 | 最大 | 家族蔵 |
| Social | 地産地消 | 大 | 三重米 |
| Social | 純米酒人気 | 大 | 久波奈・颯 |
| Social | 熟成酒人気 | 機会 | 古而醇醴 |
| Technological | EC | 機会 | 全国直販 |
| Technological | 温度管理 | 重要 | 品質安定 |
| Technological | 小ロット管理 | 強み | 多品種 |
| Environmental | 水系環境 | 最重要 | 酒造 |
| Environmental | 酒米気候変動 | 高 | 原料 |
⑳ 4P分析
| 区分 | 現状 | 評価 |
|---|---|---|
| Product | 大吟醸~純米・山廃・古酒 | ★★★★★ |
| Price | 日常~プレミアム | ★★★★☆ |
| Place | 地元・直売・EC・専門市場 | ★★★★☆ |
| Promotion | 桑名・受賞・神の穂・家族蔵 | ★★★★★ |
Product
商品構成は、
辛口
↓
純米
↓
山廃純米
↓
特別純米
↓
純米吟醸
↓
大吟醸
↓
純米大吟醸
↓
雫酒
↓
古酒
まであります。
小規模蔵としては、
かなり酒質幅が広い
構成です。
Price
日常酒から、
高級雫酒までを持ち、
地域客と酒通の両方
をカバーします。
Place
桑名
三重
蔵元直売
公式EC
専門酒販
が中心です。
Promotion
最大の訴求資産は、
家族経営
桑名
神の穂
米旨
全国金賞
Kura Master
です。
㉒ ブランドコピー・見せ方
メインコピー
桑名の米を、旨い酒へ。
青雲型コピー
百年を越えて、青雲は澄む。
久波奈型コピー
桑名を飲む。
颯型コピー
三重の米を、軽やかに。
神の穂型コピー
三重の米で、三重の酒を。
技術型コピー
小さな蔵だから、米まで見える。
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家族で醸す、桑名の一滴。
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SEIUN — Family-brewed sake from Kuwana, Mie.
㉓ この酒蔵をどう見せるべきか
① 最大の人物資産
後藤悦夫氏
です。
2005年から四代目蔵元杜氏として酒造りを担います。
② 最大の地域資産
桑名・久米の里
です。
木曽三川・員弁川・米の交易・醸造伝承を一体で語れます。
③ 最大のブランド資産
青雲
です。
酒蔵創業前から存在した酒名を継承する、
蔵の歴史そのものです。
④ 最大の地域酒資産
久波奈
です。
桑名という土地を最も直接的に伝えられます。
⑤ 最大の現代商品資産
颯 純米吟醸 神の穂
です。
Kura Master、全米日本酒歓評会で継続評価され、
三重県産酒米の強みを明確に表現しています。
⑥ 最大の高級酒資産
青雲 純米大吟醸
青雲 大吟醸袋吊り雫酒
です。
三重県産山田錦40%を核に、
高級酒として明確な商品設計があります。
⑦ 最新の品質証明
2026全国新酒鑑評会 金賞
です。
㉔ 最終評価
| 評価軸 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 歴史性 | 4.6/5 | 1917年 |
| 地域性 | 5.0/5 | 桑名・久米 |
| 家族経営 | 5.0/5 | 最大特徴 |
| 蔵元杜氏 | 5.0/5 | 一貫性 |
| ブランド歴史 | 5.0/5 | 青雲 |
| 地域ブランド | 5.0/5 | 久波奈 |
| 米旨表現 | 5.0/5 | 中核思想 |
| 地域酒米 | 5.0/5 | 神の穂 |
| 山田錦活用 | 5.0/5 | 三重県産 |
| 三重県酵母 | 5.0/5 | 地域性 |
| 手造り | 5.0/5 | 小規模 |
| 低温醸造 | 4.9/5 | 久波奈等 |
| 高級酒力 | 4.9/5 | 純大・雫酒 |
| 純米吟醸力 | 5.0/5 | 颯 |
| 山廃力 | 4.8/5 | 青雲・颯 |
| 熟成酒力 | 4.7/5 | 古而醇醴 |
| 食中酒力 | 5.0/5 | 米旨 |
| 国内評価 | 5.0/5 | 2026金賞 |
| 国際評価 | 5.0/5 | Kura Master等 |
| 酒質幅 | 5.0/5 | 高級~山廃・古酒 |
| 地域流通 | 4.8/5 | 地元に強い |
| D2C | 4.7/5 | 公式EC |
| 観光力 | 4.2/5 | 予約型 |
| ブランド整理 | 4.3/5 | 多銘柄 |
| 独自性 | 5.0/5 | 家族×桑名×米旨 |
| 成長可能性 | 4.9/5 | 地域深化余地大 |
㉖ 最終結論
合資会社後藤酒造場は、三重県桑名市大字赤尾1019に蔵を構える、大正6年・1917年創業の家族経営酒蔵です。
初代・後藤宗左衛門が35歳の時、古くから「青雲」を醸していた久米の里の酒蔵が廃業すると知り、その蔵と酒名を引き継いだことから始まりました。
その後、
二代目・後藤宗義、
三代目・後藤宗敏を経て、
2005年から四代目、
後藤悦夫氏
が蔵元杜氏として酒造りを担っています。
後藤酒造場を理解するうえで最も重要なのは、
「米の持つ豊かな旨みを楽しんでもらう」
という酒造りの軸です。
香りを競うだけでも、
辛さを競うだけでもありません。
米の旨味を残し、
柔らかく広げ、
最後はきれいに切る。
この方向が、
青雲
久波奈
颯
に共通しています。
その最高級ラインが、
「青雲 純米大吟醸」
です。
三重県産山田錦100%。
精米歩合40%。
三重県酵母を使い、
華やかな果実香と、
柔らかな米の旨味
を持つ純米大吟醸です。
一方、
「青雲 大吟醸」
も三重県産山田錦40%。
日本酒度+6前後で、
華やかな香りと、
クリアで切れのあるコク
を持ちます。
一冬の生産量が少ない限定的な酒であり、
さらに袋吊り・中取り・無濾過原酒まで行う商品では、
後藤酒造場の手仕事が最も濃く表れます。
地域ブランドとして重要なのが、
「久波奈」
です。
三重県産山田錦・神の穂を55%まで磨き、
三重県酵母で仕込み、
低温長期もろみで仕上げます。
落ち着いたベリー系の香りと、
芳醇で優しい飲み口
を持つ特別純米です。
さらに現代的な商品群として、
「颯」
があります。
その代表、
「颯 純米吟醸 神の穂」
は、
三重県が開発した神の穂を55%まで磨き、
穏やかな吟醸香と、
切れのある膨らみ
を表現しています。
この酒は国際評価も高く、
Kura Masterでは2018年以降継続的に金賞・プラチナ賞を獲得。
2025年度全米日本酒歓評会でも、
金賞。
同年、
青雲 純米大吟醸=銀賞
となりました。
そして2026年、
令和7酒造年度全国新酒鑑評会で、
「青雲」=金賞。
現在の後藤酒造場が、
小規模でありながら全国水準の吟醸技術を維持していることを示す最新の品質証明です。
さらに後藤酒造場には、
「古而醇醴」
という熟成酒もあります。
Kura Master2023古酒部門で金賞を獲得しており、
吟醸酒だけでなく時間による酒質変化
も商品化しています。
企業規模は大きくありません。
むしろ、
家族経営の小さな酒蔵
であることが本質です。
大量生産ではなく、
造り手と酒の距離が近い。
原料米の状態、
もろみの変化、
香り、
旨味、
熟成。
一つ一つを家族と蔵元杜氏が確認しながら酒にする。
それが後藤酒造場の強みです。
したがって後藤酒造場を最も正確に定義するなら、
「大正6年・1917年創業。木曽三川の河口と鈴鹿山系に囲まれ、古代の醸造民『味酒臣』伝承が残る桑名・久米の里で、四代目蔵元杜氏・後藤悦夫氏を中心に家族経営を続け、三重県産山田錦・神の穂・三重県酵母を使い、手造り・低温長期もろみ・袋吊り・山廃・無濾過・熟成などを使い分けながら、“米の持つ豊かな旨み”を酒質の中心に据える。『青雲』で伝統と高級酒、『久波奈』で桑名、『颯』で現代的な酒米表現を担い、2025年全米日本酒歓評会金賞、2026年全国新酒鑑評会金賞へつなげる、“桑名久米郷型・家族経営蔵元杜氏型・地域米酵母活用型・小仕込み旨味重視型・地酒深化型酒蔵”」
です。
三重県の主要蔵と比較すると、
宮﨑本店=「宮の雪」と「キンミヤ」を全国規模で展開する総合酒類メーカー
清水清三郎商店=「作」を世界ブランドへ育てる精密発酵型酒蔵
大田酒造=「半蔵」を伊賀ブランドとして国内外へ伸ばす酒蔵
に対して、
後藤酒造場=「桑名・久米の里に根を張り、家族経営・蔵元杜氏・三重の米と酵母・米旨重視という小さな蔵だからこその距離感を、青雲・久波奈・颯という複数の酒へ丁寧に落とし込む酒蔵」
という、非常に明確で模倣しにくい独自ポジションを持っています。
後藤酒造場のテロワールを味わう👇
| イメージ | 酒蔵 | 説明 | リンク |
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後藤酒造場 |
木曽三川と伊勢湾の水運文化が交わる桑名・久米の里で、1917年から酒を醸す家族経営の小さな酒蔵。「青雲」「颯」「久波奈」「かれがわ」を軸に、三重県産山田錦・神の穂・五百万石と三重県酵母を生かし、“華やかな香りより、米の旨味をきちんと残す”酒造りを続ける、北伊勢の地域密着型実力蔵。 |

