泉酒造(酒蔵企業分析)

― 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号。1756年創業、灘五郷・御影郷で「仙介」「琥泉」「泉姫」を醸す少量生産型酒蔵。1995年の阪神・淡路大震災によって仕込蔵を失い、自家醸造を断念したが、12年後の2007年に酒造りを再開。現在は代表取締役・泉藍氏のもと、兵庫県産山田錦を中心とする酒造好適米と丹波流の仕込みを軸に、契約農家産特等山田錦33%精米の純米大吟醸、袋吊り雫取り、無濾過生原酒、山廃、白麹、一回火入れ、復活品種「兵庫雄町」など、小規模蔵だからこそ可能な多様な酒質設計を展開する。2025年発表の令和6酒造年度全国新酒鑑評会では「仙介」が金賞、2026年発表の令和7酒造年度では入賞。2025年大阪国税局清酒鑑評会では吟醸酒・燗酒用清酒の両部門で優秀賞を受賞。大手蔵が集積する灘にありながら、「大量生産ではなく、米・酸・香り・鮮度を細かく造り分ける」という立ち位置を確立する、灘復興型・兵庫酒米型・少量多品種型・食中酒型・直販交流型酒蔵 ―


目次(Table of Contents)

① 導入・一行定義

兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号。

灘五郷・御影郷で、

「仙介」

「琥泉」

を醸す酒蔵が、泉酒造株式会社です。

創業は1756年、法人設立は1945年3月。現在の代表取締役は泉藍氏です。公式会社概要では、清酒醸造と酒類製造・販売を事業内容としています。

泉酒造を一言で定義するなら、

「震災で一度失った灘の酒造りを、小さな蔵だからできる多様な酒質で再構築した復興型酒蔵」

です。


② 結論・企業ポジション

泉酒造最大の特徴は、

「灘にありながら、大手灘酒とは異なる少量多品種型を選んでいること」

です。

公式は「仙介」について、兵庫県産山田錦を中心に酒造好適米を100%使用し、丹波流の仕込みによって米の旨味を引き出すシリーズと説明しています。さらに純米大吟醸、純米吟醸、山廃、無濾過生原酒、白麹、樽酒、超辛口、季節酒まで細かく展開しています。

評価軸内容
会社名泉酒造株式会社
所在地神戸市東灘区御影塚町1-9-6
創業1756年
設立1945年3月
代表取締役泉 藍
主力銘柄仙介
第二ブランド琥泉
リキュール泉姫
製造場喜卯蔵
中核酒米兵庫県産山田錦
その他酒米兵庫錦・五百万石・兵庫雄町等
製法丹波流・無濾過・山廃・白麹・雫取り等
最高精米山田錦33%
2025全国評価全国新酒鑑評会 金賞
2026全国評価全国新酒鑑評会 入賞
2025大阪国税局吟醸・燗酒用両部門 優秀賞
本質少量だから酒質を細分化できる灘の復興蔵

③ 基本情報

項目内容
社名泉酒造株式会社
英文表記Izumi Sake Brewery
所在地〒658-0044 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-9-6
TEL078-821-5353
FAX078-851-3214
創業1756年
設立1945年3月
代表取締役泉 藍
事業清酒醸造・酒類製造・販売
主力ブランド仙介
その他ブランド琥泉・泉姫
法人番号9140001001033
直売所あり
直売所営業時間10:00〜16:30
事務所営業時間8:30〜17:00
EC公式オンラインショップあり
最寄駅阪神 石屋川駅
徒歩約8分
資本金現行公式サイトでは非公表
売上高現行公式サイトでは非公表
従業員数現行公式サイトでは非公表

現行公式サイトでは代表者を泉藍氏としています。古い業界資料には旧代表者名が残るため、本分析では最新の公式会社概要を優先しています。


④ 歴史・企業形成

泉酒造の企業史は、

創業 → 灘進出 → 震災 → 休造 → 2007年復活 → 少量高品質化

で整理できます。

1756年

泉酒造創業。

公開インタビュー資料では、酒造りの起点は現在の神戸市北区道場町とされ、その後灘へ進出したとされています。

1945年

泉酒造株式会社設立。

現在の法人基盤が成立します。

1995年1月17日

阪神・淡路大震災。

仕込蔵などが倒壊し、自家醸造を断念。

その後、他蔵への製造委託などによってブランドを維持します。日本酒造組合中央会も、震災によって蔵が倒壊・消失し、自家醸造を断念したと記録しています。

2007年

震災から12年を経て、

自家醸造を再開。

大量生産設備ではなく、小規模な酒造設備から再出発しました。

この出来事は泉酒造を理解するうえで最重要です。

単なる老舗復活ではなく、

「一度途切れた製造技術を、現代の酒質へ組み直した蔵」

だからです。


⑤ ブランド構造

現在のブランドは3本柱です。

ブランド役割
仙介企業母艦・高級酒・技術商品
琥泉香りと旨味のバランス・純米中心
泉姫果実リキュール・非日本酒層

公式は「仙介」を山田錦を中心とした酒造好適米100%・丹波流仕込み、「琥泉」を香りと旨味を両立する上位酒、「泉姫」を日本酒と国産果汁による果実酒と位置付けています。

さらに「仙介」は、

純米大吟醸
大吟醸
純米吟醸
特別純米
山廃
樽酒
白麹
無濾過生
秋あがり
夏酒
ROCK

まで細分化。

一つのブランド内で飲用場面を広げる

構造です。


⑥ 水・風土・灘テロワール

泉酒造は、

灘五郷・御影郷

に位置します。

六甲山系。

冬の冷たい六甲おろし。

兵庫県の酒米。

神戸港。

という灘の酒造環境を共有しています。

現代表のメッセージでも、

「六甲山系の恵みを受けたしっかりとした水」

と、

山田錦をはじめとする良質な酒米

を神戸の大きな酒造資産として挙げています。

ここで重要なのは、

現行の泉酒造公式サイトは、仕込水を「宮水」とは明記していない

ことです。

灘酒だから自動的に「宮水使用」と断定するのではなく、

六甲山系の水を生かす蔵

と表記する方が現在の公開情報には忠実です。

地域構造は、

六甲山系
↓
水
↓
兵庫県産酒米
↓
御影郷
↓
泉酒造
↓
仙介・琥泉

です。


⑦ 独自技術・酒造技術

泉酒造の製造技術は、

小仕込みだから工程差を商品差へ直接変えられること

に特徴があります。

① 丹波流の仕込み

公式は「仙介」を、

丹波流の仕込み

によって米の旨味を最大限に引き出す酒と定義しています。


② 33%精米

最高峰「仙介 純米大吟醸三割三分磨き」では、

契約農家の兵庫県産特等山田錦を、

33%

まで精米。

和氣杜氏の経験・技術を集約した商品と公式に説明されています。


③ 雫取り

さらに最高級版では、

酒袋に醪を入れて吊るし、

自然に垂れる雫だけを斗瓶で採取。

その後、低温熟成させます。


④ 無濾過生原酒

搾った酒を濾過せず、

一本ずつ瓶詰め。

「仙介 特別純米無濾過生酒原酒」は低温倉庫で管理し、フレッシュな香味を維持しています。


⑤ 山廃

仙介では山廃純米・山廃辛口純米無濾過生原酒も展開。

酸を酒質の核へ置く領域です。


⑥ 白麹

通常の黄麹だけでなく、

白麹

を一部使用。

クエン酸由来の甘酸っぱさを持たせた13度の純米生原酒も商品化しています。


⑦ 一火・瓶燗火入れ

「一火」は瓶燗で一度だけ火入れ。

香味を損ないにくくしながら品質安定を図ります。


⑧ 吟醸用自社酵母

「琥泉 純米吟醸夏の原酒」では、

吟醸用自社酵母

を使用してフルーティーな香りを形成しています。

つまり技術構造は、

丹波流+高精白+雫取り+無濾過+山廃+白麹+瓶燗+自社酵母

です。


⑧ 原料・酒米戦略

泉酒造の最大の原料資産は、

兵庫県産酒米

です。

山田錦

最高級酒の中心。

純米大吟醸では48%。

最高峰では33%。

特別純米では麹米へ使用。

幅広い酒質に使います。


兵庫錦

「仙介 特別純米」で掛米に使用。

「超辛口純米吟醸」では兵庫錦100%を60%まで精米しています。

役割:辛口・透明感


五百万石

特別本醸造や樽酒の掛米として使用。

山田錦と組み合わせ、

灘らしいキレを作ります。


兵庫雄町

特に注目すべき原料です。

「兵庫雄町」は1935年に交配され、その後奨励品種から外れた酒米ですが、泉酒造は山田錦契約農家へ栽培を依頼し、

兵庫雄町を復活。

西脇市産兵庫雄町100%、45%精米の純米大吟醸として商品化しています。

原料戦略は、

山田錦=品質頂点

兵庫錦=現代辛口

五百万石=軽快さ

兵庫雄町=復活・独自性

です。


⑨ 商品・商品戦略

仙介 純米大吟醸原酒 雫取り三割三分磨き

兵庫県産特等山田錦。

精米歩合33%。

袋吊り。

斗瓶取り。

低温熟成。

泉酒造の技術頂点。


仙介 純米大吟醸三割三分磨き原酒

契約農家特等山田錦100%。

33%精米。

華やかな果実香と雑味の少ない甘旨。

役割:最高級プレミアム


仙介 純米大吟醸

兵庫県産山田錦100%。

48%精米。

米の甘味、柔らかさ、控えめな吟醸香。

役割:仙介のプレミアム中核


仙介 純米大吟醸 原酒 兵庫雄町

西脇市産兵庫雄町100%。

45%精米。

青リンゴ様の香り。

濃醇な旨味。

役割:酒米復活プロジェクト


仙介 純米吟醸

山田錦を使う生原酒・おりがらみ等を展開。

60%精米。

役割:フレッシュ吟醸


仙介 超辛口純米吟醸原酒・一火

兵庫錦100%。

60%精米。

爽快で透明感のある超辛口。

役割:辛口市場


仙介 特別純米

麹米:山田錦。

掛米:兵庫錦。

65%。

米の甘味と酸。

ぬる燗にも対応。

役割:仙介の食中酒中核


仙介 特別純米樽酒

山田錦+五百万石。

吉野杉樽で数日熟成。

役割:灘の樽酒文化


仙介 白麹無濾過生原酒

白麹由来のクエン酸。

13度。

甘酸っぱく爽快。

役割:若年・低アル・酸味市場


琥泉 純米吟醸

精米歩合60%。

穏やかな華やかさと落ち着いた旨味。

役割:上品な食中純米吟醸


琥泉 純米吟醸 彩葉 IROHA

2026年9月発売。

ひと夏を越し、旨味を蓄えた熟成型純米吟醸。

華やかな吟醸香と辛口・芳醇な味わい。

役割:秋季熟成酒


泉姫 ゆず酒

国産柚子果汁。

アルコール6%。

役割:非日本酒層


泉姫 れもん酒

瀬戸内産レモン。

日本酒仕込み。

アルコール6%。

役割:果実酒・低度数市場


⑩ 味わい・酒質設計

泉酒造の酒質は、

「米旨+酸+鮮度」

で整理すると分かりやすくなります。

味覚軸主な商品
上品・華やか雫取り33%
繊細・甘旨三割三分
柔らか・なめらか純米大吟醸
濃醇・果実的兵庫雄町
フレッシュ無濾過生原酒
甘旨・酸特別純米
超辛口・透明感兵庫錦純米吟醸
杉香・穏やか樽酒
甘酸っぱい白麹
上品・旨口琥泉純米吟醸
辛口・熟成彩葉
柑橘・爽快泉姫

特に仙介は、

「香りだけの吟醸酒」に寄せず、米の旨味と酸を残す

ことで食事との相性を作っています。

現代表も「時代と共に変わり続ける食に寄り添う酒」を企業の方向として明示しています。


⑪ 受賞・品質評価

泉酒造の近年の品質評価は非常に強いです。

令和6酒造年度 全国新酒鑑評会

2025年5月発表

泉酒造株式会社 喜卯蔵「仙介」 金賞

公式目録で金賞を示す☆印が付いています。


令和7酒造年度 全国新酒鑑評会

2026年5月発表

泉酒造株式会社 喜卯蔵「仙介」 入賞

2026年は金賞ではなく「入賞」です。

前年金賞→翌年入賞と、

2年連続で入賞圏へ入っている

ことが重要です。


令和7年度 大阪国税局清酒鑑評会

2025年9月

吟醸酒部門

仙介 優秀賞

燗酒用清酒部門

仙介 優秀賞

同じ年度に、

吟醸酒と燗酒の両方で優秀賞

を得ています。


令和6年度 大阪国税局清酒鑑評会

2024年

燗酒用清酒部門で、

仙介 優秀賞

を受賞しています。

つまり泉酒造は、

大吟醸だけが強い蔵ではなく、
燗酒でも評価される食中酒型

です。


⑫ 地域ブランド

泉酒造の地域ブランドは、

**兵庫県

↓
神戸
↓
灘五郷
↓
御影郷
↓
泉酒造
↓
仙介・琥泉**

です。

ただし、

白鶴。

菊正宗。

神戸酒心館。

沢の鶴。

など大規模・著名酒蔵と同じ地域にありながら、

泉酒造は、

小規模であること

そのものを差別化にできます。

山田錦33%。

兵庫雄町。

白麹。

山廃。

無濾過。

おりがらみ。

一火。

季節原酒。

これだけ細かく酒質を振れるのは、

小仕込み蔵だからこその強み

です。


⑬ 人・組織・継承

現在の代表取締役は、

泉 藍氏

です。

代表メッセージでは、

自然の恵み。

先人の知恵。

現在の技術。

食の変化。

を組み合わせ、

「伝統を受け継ぎ、創造する喜びを次世代へ繋ぐ」

ことを掲げています。

製造面では、

和氣杜氏

の存在が重要です。

現行の最高級商品説明でも「和氣杜氏の経験と技術を集約」と明記されています。公開インタビューでは和氣卓司氏が杜氏として泉酒造の酒造りについて語っています。

組織特性は、

代表
+
杜氏
+
少人数製造
+
営業・直売

というコンパクト型。

大量生産組織ではなく、

造り手の判断が商品へ直接反映される組織

です。


⑭ 観光・酒蔵ツーリズム

泉酒造は大型資料館型ではありません。

そのため観光価値は、

「現役の小さな灘酒蔵へ直接行くこと」

にあります。

直売所

営業時間:

10:00〜16:30

公式サイトで営業カレンダーを公開しています。


アクセス

阪神石屋川駅から、

徒歩約8分。


試飲・訪問

日本酒造組合中央会の酒蔵情報では、平日を中心に訪問・試飲対応の案内がありますが、営業日は変動するため、現行公式カレンダーの確認が必要です。


灘五郷回遊

徒歩圏・周辺には、

神戸酒心館。

菊正宗。

白鶴。

など灘五郷の酒文化拠点があります。

したがって、

泉酒造単独型より、御影郷・魚崎郷の酒蔵回遊型

との相性が高い蔵です。


地域イベント

2026年も、

御影地元の酒祭り。

日本酒ゴーアラウンド。

飲食店での酒の会。

ホテルでのペアリングイベント。

などへ参加しています。

観光タイプは、

「直売+造り手との距離+灘五郷回遊」

です。


⑮ 流通・販売

泉酒造の販売構造は、

専門酒販+飲食+直販+EC+イベント

が中心です。

公式サイトには、

仙介。

琥泉。

それぞれの取扱店舗案内があります。

加えて、

蔵元直売。

公式オンラインショップ。

飲食店イベント。

百貨店等での販売。

地域酒イベント。

という接点を持っています。

泉酒造は大量量販型より、

説明して売る販売

との相性が良い蔵です。

理由は、

兵庫雄町。

白麹。

一火。

山廃。

雫取り。

など、

商品の違いそのものが購買理由になるからです。


⑯ 事業構造

事業内容
純米大吟醸仙介
大吟醸仙介
純米吟醸仙介・琥泉
純米酒仙介・琥泉
本醸造仙介
無濾過生多数展開
山廃仙介
白麹仙介
樽酒仙介
季節酒夏酒・秋あがり・しぼりたて
復活酒米兵庫雄町
リキュール泉姫
EC公式通販
蔵元直売直売所
イベント酒祭・酒の会
グッズ前掛・酒器等

公式商品体系は「仙介」「琥泉」「泉姫」の3系統へ明確に整理されています。


⑰ 競合比較

神戸酒心館との比較

項目泉酒造神戸酒心館
地域御影郷御影郷
創業1756年1751年
規模小規模中規模
主力仙介・琥泉福寿
強み少量多品種高級酒+複合観光
商品無濾過・山廃・白麹等吟醸・環境酒
観光直売型料亭・ホール一体
一言小仕込みで遊ぶ酒蔵体験を統合する

菊正宗との比較

項目泉酒造菊正宗
規模小規模全国型
核米旨・酸・鮮度生酛・本流辛口
商品多品種大量安定+高級
技術無濾過・雫・白麹生酛・酵母研究
強み柔軟性規模+研究
一言小ささを武器にする伝統を量産可能にする

櫻正宗との比較

項目泉酒造櫻正宗
歴史1756年1625年創醸
最大物語震災復興宮水・正宗・一号酵母
酒米山田錦+兵庫錦+雄町山田錦中心
酒質鮮度・酸・多様吟醸・歴史技術
一言現代クラフト型日本酒史型

泉酒造のポジションは、

「灘の中のクラフト酒蔵」

に最も近いと評価できます。


⑱ 経営課題・成長余地

① 小規模生産


② 「仙介」と「泉酒造」


③ 琥泉の明確化


④ 震災復興ストーリー


⑤ 兵庫雄町


⑥ 食との連携


⑲ SWOT分析

区分診断評価打ち手
Strengths1756年創業強い歴史
Strengths灘五郷・御影郷最大級地域
Strengths震災復興最大級企業物語
Strengths少量生産最大級多品種化
Strengths山田錦33%最大級高級酒
Strengths雫取り強いプレミアム
Strengths無濾過生最大級鮮度
Strengths山廃強い食中・酸
Strengths白麹強い若年市場
Strengths兵庫雄町復活最大級独自原料
Strengths2025全国金賞最大級品質証明
Strengths2026全国入賞強い継続性
Weaknesses生産規模小さい高付加価値
Weaknesses全国認知大手より限定仙介集中
Weaknessesブランド差仙介・琥泉が近い役割整理
Weaknesses大型観光施設なし滞在短い回遊型観光
OpportunitiesクラフトSAKE志向最大級小仕込み
Opportunities酒米多様化大きい兵庫雄町
Opportunities生酒市場大きい無濾過
Opportunities低アル・酸味大きい白麹
Opportunities食観光最大級神戸料理
Opportunities灘五郷観光最大級回遊
Threats米価格上昇高い契約農家
Threats酒米高温障害高い品種分散
Threats清酒市場縮小長期課題新規層
Threats小規模人材不足大きい技能継承
Threats大手灘ブランド非常に強い小規模差別化

⑳ PEST分析

区分外部環境泉酒造への影響対応方向
Political日本酒文化振興有利灘五郷
Political地方観光振興有利酒蔵回遊
Political酒類輸出支援機会高級酒
Political農業支援酒米に有利契約農家
Economic米価格上昇原価増高付加価値
Economic人件費上昇小規模蔵に影響省力化
Economic観光消費神戸に追い風直売
EconomicプレミアムSAKE機会33%・雫
Socialフルーティー酒人気有利純米吟醸
Social食中酒回帰有利特別純米
Social低アル志向機会白麹13度・泉姫
Socialクラフト志向最大級小仕込み
Social地域物語志向強い震災復興
Technological低温管理生酒品質無濾過
Technological精米技術高級酒33%
Technological酵母選択香味設計自社酵母
Technological瓶燗香味保持一火
TechnologicalEC全国販売D2C

㉑ 4P分析

区分現状評価戦略
Product仙介母艦技術・酒米
Product琥泉上質日常香味調和
Product泉姫果実酒非日本酒層
Product三割三分技術頂点高級
Product雫取り希少性贈答
Product兵庫雄町独自原料限定
Product無濾過生鮮度専門店
Product山廃酸・旨味食中
Product白麹甘酸若年
Product彩葉熟成季節
Price日常純米等食卓
Price中価格純吟・生原酒地酒層
Price高価格純大ギフト
Price最上位33%雫プレミアム
Place蔵元直売強いD2C
PlaceEC全国リピート
Place専門酒販店非常に重要説明販売
Place飲食店強いペアリング
Placeイベント地域・全国認知
Promotion震災復興最大物語ブランド
Promotion1756歴史信頼
Promotion山田錦品質高級
Promotion兵庫雄町独自性原料
Promotion全国金賞技術信頼
Promotion小規模差別化クラフト感

㉒ ターゲット

ターゲット適合商品・価値
灘酒ファン仙介
神戸地酒ファン仙介・琥泉
日本酒初心者琥泉純米吟醸
フルーティー酒層純米大吟醸
大吟醸ファン仙介大吟醸
プレミアム層33%雫取り
山田錦ファン純米大吟醸
酒米ファン兵庫雄町
辛口層超辛口純米吟醸
純米酒層特別純米
燗酒層特別純米・琥泉純米
生酒ファン無濾過生原酒
おりがらみ層純米吟醸おりがらみ
山廃ファン山廃純米
酸味酒層白麹
低アル層白麹13度・泉姫
樽酒層特別純米樽酒
季節酒層夏純米・秋あがり・彩葉
食中酒層仙介特別純米
神戸観光客蔵元直売
灘五郷巡り直売所
飲食店仙介・琥泉
ギフト層三割三分・純米大吟醸

㉓ ブランドコピー・見せ方

メインコピー

「十二年を越えて、もう一度、灘で醸す。」

サブコピー

1756年創業。
震災で失った酒蔵を再建し、兵庫の米から新しい灘酒を造る。


地域型コピー

小さな蔵から、灘の新しい一杯。


酒米型コピー

兵庫の米を、兵庫の酒へ。


仙介型コピー

米の旨味を、丹波流で。


復興型コピー

蔵は失っても、酒造りは終わらなかった。


技術型コピー

山田錦33%。最後は、一滴ずつ。


食中型コピー

香りだけでは終わらない。食と続く酒。


現代型コピー

山廃も、白麹も、超辛口も。灘はまだ変われる。


短い説明文

泉酒造株式会社は、兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号にある1756年創業の酒蔵です。灘五郷・御影郷で「仙介」「琥泉」「泉姫」を展開し、兵庫県産山田錦を中心とする酒造好適米と丹波流の仕込みによって、米の旨味と酸を生かした酒を醸しています。1995年の阪神・淡路大震災で仕込蔵を失い自家醸造を断念しましたが、2007年に12年ぶりに酒造りを再開。現在は契約農家産特等山田錦を33%まで磨く「仙介 純米大吟醸三割三分磨き」、袋吊りによって雫だけを採取する最高級酒、無濾過生原酒、山廃、白麹、樽酒、兵庫錦の超辛口純米吟醸、一度栽培が途絶えた兵庫雄町を復活させた純米大吟醸まで展開しています。2025年発表の全国新酒鑑評会で「仙介」が金賞、2026年発表では入賞。2025年大阪国税局清酒鑑評会では吟醸酒・燗酒用清酒の両部門で優秀賞を獲得しており、華やかな吟醸酒から燗酒まで幅広い品質を示しています。


㉔ この酒蔵をどう見せるべきか・最終評価

泉酒造は、以下の7資産で整理すると企業像が最も明確になります。

① 震災と復活


② 仙介


③ 山田錦33%


④ 雫取り


⑤ 兵庫雄町


⑥ 無濾過・山廃・白麹


⑦ 全国新酒鑑評会


最終評価

評価軸評価コメント
歴史性5.0/51756年創業
復興物語5.0/5震災・12年後再開
地域性5.0/5灘五郷・御影郷
水・風土4.8/5六甲山系の水
酒米力5.0/5山田錦・兵庫錦等
原料独自性5.0/5兵庫雄町復活
高精白技術5.0/533%
雫取り技術5.0/5袋吊り・斗瓶
無濾過生酒力5.0/5商品群が充実
山廃力4.9/5酸を生かす
商品開発力5.0/5白麹・ROCK等
吟醸技術力5.0/52025全国金賞
品質継続力5.0/52026全国入賞
燗酒力4.9/5国税局優秀賞
食中酒力5.0/5酸と旨味
ブランド力4.7/5仙介に伸びしろ
観光力4.4/5直売・回遊型
公共交通適性5.0/5石屋川駅徒歩約8分
全国流通力4.3/5専門流通型
ブランド独自性5.0/5復興×小仕込み
成長可能性5.0/5酒米・食・クラフト


㉖ 最終結論

泉酒造株式会社は、兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号にある、1756年創業の酒蔵です。

しかし、その本質はそれ以上に、

江戸期から灘の酒造文化を受け継ぎながら、1995年1月17日の阪神・淡路大震災によって木造の仕込蔵等を失い、自家醸造を断念するという企業存続上最大の危機を経験し、それでもブランドと酒造文化を途切れさせず、委託醸造等によって事業を維持しながら12年間再建を待ち、2007年に多くの関係者の協力を得て御影の地で自家醸造を再開。その際に大規模生産型へ戻るのではなく、少量生産だからこそ造り手の判断を直接酒質へ反映できる企業構造へ進み、兵庫県産山田錦を中心とする酒造好適米100%と丹波流の仕込みによって米の旨味を引き出す「仙介」を企業母艦に、香りと旨味を穏やかに調和させる「琥泉」、日本酒と国産果実を組み合わせる「泉姫」まで顧客層を拡張。最高級酒では契約農家が栽培する兵庫県産特等山田錦を33%まで磨き、和氣杜氏の経験を投入して醸した醪を酒袋へ入れ、圧力をかけず自然に垂れる雫だけを斗瓶へ集めて低温熟成する「仙介 純米大吟醸原酒 雫取り三割三分磨き」を技術頂点に置く一方、山田錦48%の純米大吟醸、山田錦60%の純米吟醸おりがらみ、山田錦と兵庫錦による特別純米、兵庫錦100%の超辛口純米吟醸、山廃純米、吉野杉樽で熟成する樽酒、白麹のクエン酸を利用した13度の甘酸っぱい純米生原酒、ROCK向け原酒、夏酒、秋あがりまで、同じ蔵の中で酒米・精米歩合・酛・麹・濾過・火入れ・熟成を変えながら商品を細分化。さらに、かつて1935年に交配されながら1957年に奨励品種から外れた「兵庫雄町」を兵庫県内の山田錦契約農家へ依頼して復活させ、西脇市産兵庫雄町100%を45%まで磨いた純米大吟醸として商品化することで、単に兵庫県産山田錦を使用するだけではない酒米開発型の地域性まで獲得している。令和6酒造年度全国新酒鑑評会・2025年発表では喜卯蔵「仙介」が金賞、令和7酒造年度・2026年発表では入賞し、2年連続して全国の入賞圏へ入り、令和7年度大阪国税局清酒鑑評会では吟醸酒部門と燗酒用清酒部門の双方で「仙介」が優秀賞を受賞することで、華やかな鑑評会吟醸だけでなく温度を上げて旨味を楽しむ日常酒にも技術の幅を持つことを証明。現代表・泉藍氏が掲げる「時代と共に変わり続ける食に寄り添う酒」という方向のもと、2026年にはホテルで淡路島産鱧と仙介・琥泉を組み合わせる酒食イベントを実施し、直売所、公式EC、専門酒販店、飲食店、地域酒イベントを通じて造り手との距離が近い販売構造を形成。白鶴・菊正宗・神戸酒心館など全国級の蔵が集積する灘五郷にありながら、生産規模ではなく、少量だからこそ可能な酒米・製法・香味の細分化によって独自の立場を築く、灘復興型・兵庫酒米型・少量多品種型・高鮮度生酒型・食中酒型・クラフトSAKE型の酒蔵

です。

■ コピー

「十二年を越えて、もう一度、灘で醸す。」

サブコピー

兵庫の米を、小さな蔵の手で。

■ 結論

泉酒造の最大の価値は、

1756年から続いていることだけでも、2025年の全国新酒鑑評会で金賞を獲得したことだけでもありません。

1995年。

蔵を失った。

酒を造れなくなった。

12年間待った。

そして2007年、

もう一度、

灘で酒を造り始めた。

その再出発を、

昔の量産型酒造へ戻すのではなく、

山田錦33%。
雫取り。
無濾過生。
山廃。
白麹。
兵庫錦。
兵庫雄町。

へ広げています。

「震災前の酒蔵へ戻った」のではなく、
「震災を越えて、新しい灘の小さな酒蔵になった」。

それが、泉酒造の企業としての本質です。

泉酒造のテロワールを味わう👇

イメージ 酒蔵 説明 リンク
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泉酒造

震災から復活し、灘の伝統を現代の「仙介」へ醸す1756年創業蔵。

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