泉酒造(酒蔵企業分析)
― 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号。1756年創業、灘五郷・御影郷で「仙介」「琥泉」「泉姫」を醸す少量生産型酒蔵。1995年の阪神・淡路大震災によって仕込蔵を失い、自家醸造を断念したが、12年後の2007年に酒造りを再開。現在は代表取締役・泉藍氏のもと、兵庫県産山田錦を中心とする酒造好適米と丹波流の仕込みを軸に、契約農家産特等山田錦33%精米の純米大吟醸、袋吊り雫取り、無濾過生原酒、山廃、白麹、一回火入れ、復活品種「兵庫雄町」など、小規模蔵だからこそ可能な多様な酒質設計を展開する。2025年発表の令和6酒造年度全国新酒鑑評会では「仙介」が金賞、2026年発表の令和7酒造年度では入賞。2025年大阪国税局清酒鑑評会では吟醸酒・燗酒用清酒の両部門で優秀賞を受賞。大手蔵が集積する灘にありながら、「大量生産ではなく、米・酸・香り・鮮度を細かく造り分ける」という立ち位置を確立する、灘復興型・兵庫酒米型・少量多品種型・食中酒型・直販交流型酒蔵 ―
① 導入・一行定義
兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号。
灘五郷・御影郷で、
「仙介」
「琥泉」
を醸す酒蔵が、泉酒造株式会社です。
創業は1756年、法人設立は1945年3月。現在の代表取締役は泉藍氏です。公式会社概要では、清酒醸造と酒類製造・販売を事業内容としています。
泉酒造を一言で定義するなら、
「震災で一度失った灘の酒造りを、小さな蔵だからできる多様な酒質で再構築した復興型酒蔵」
です。
② 結論・企業ポジション
泉酒造最大の特徴は、
「灘にありながら、大手灘酒とは異なる少量多品種型を選んでいること」
です。
公式は「仙介」について、兵庫県産山田錦を中心に酒造好適米を100%使用し、丹波流の仕込みによって米の旨味を引き出すシリーズと説明しています。さらに純米大吟醸、純米吟醸、山廃、無濾過生原酒、白麹、樽酒、超辛口、季節酒まで細かく展開しています。
| 評価軸 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 泉酒造株式会社 |
| 所在地 | 神戸市東灘区御影塚町1-9-6 |
| 創業 | 1756年 |
| 設立 | 1945年3月 |
| 代表取締役 | 泉 藍 |
| 主力銘柄 | 仙介 |
| 第二ブランド | 琥泉 |
| リキュール | 泉姫 |
| 製造場 | 喜卯蔵 |
| 中核酒米 | 兵庫県産山田錦 |
| その他酒米 | 兵庫錦・五百万石・兵庫雄町等 |
| 製法 | 丹波流・無濾過・山廃・白麹・雫取り等 |
| 最高精米 | 山田錦33% |
| 2025全国評価 | 全国新酒鑑評会 金賞 |
| 2026全国評価 | 全国新酒鑑評会 入賞 |
| 2025大阪国税局 | 吟醸・燗酒用両部門 優秀賞 |
| 本質 | 少量だから酒質を細分化できる灘の復興蔵 |
③ 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 泉酒造株式会社 |
| 英文表記 | Izumi Sake Brewery |
| 所在地 | 〒658-0044 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-9-6 |
| TEL | 078-821-5353 |
| FAX | 078-851-3214 |
| 創業 | 1756年 |
| 設立 | 1945年3月 |
| 代表取締役 | 泉 藍 |
| 事業 | 清酒醸造・酒類製造・販売 |
| 主力ブランド | 仙介 |
| その他ブランド | 琥泉・泉姫 |
| 法人番号 | 9140001001033 |
| 直売所 | あり |
| 直売所営業時間 | 10:00〜16:30 |
| 事務所営業時間 | 8:30〜17:00 |
| EC | 公式オンラインショップあり |
| 最寄駅 | 阪神 石屋川駅 |
| 徒歩 | 約8分 |
| 資本金 | 現行公式サイトでは非公表 |
| 売上高 | 現行公式サイトでは非公表 |
| 従業員数 | 現行公式サイトでは非公表 |
現行公式サイトでは代表者を泉藍氏としています。古い業界資料には旧代表者名が残るため、本分析では最新の公式会社概要を優先しています。
④ 歴史・企業形成
泉酒造の企業史は、
創業 → 灘進出 → 震災 → 休造 → 2007年復活 → 少量高品質化
で整理できます。
1756年
泉酒造創業。
公開インタビュー資料では、酒造りの起点は現在の神戸市北区道場町とされ、その後灘へ進出したとされています。
1945年
泉酒造株式会社設立。
現在の法人基盤が成立します。
1995年1月17日
阪神・淡路大震災。
仕込蔵などが倒壊し、自家醸造を断念。
その後、他蔵への製造委託などによってブランドを維持します。日本酒造組合中央会も、震災によって蔵が倒壊・消失し、自家醸造を断念したと記録しています。
2007年
震災から12年を経て、
自家醸造を再開。
大量生産設備ではなく、小規模な酒造設備から再出発しました。
この出来事は泉酒造を理解するうえで最重要です。
単なる老舗復活ではなく、
「一度途切れた製造技術を、現代の酒質へ組み直した蔵」
だからです。
⑤ ブランド構造
現在のブランドは3本柱です。
| ブランド | 役割 |
|---|---|
| 仙介 | 企業母艦・高級酒・技術商品 |
| 琥泉 | 香りと旨味のバランス・純米中心 |
| 泉姫 | 果実リキュール・非日本酒層 |
公式は「仙介」を山田錦を中心とした酒造好適米100%・丹波流仕込み、「琥泉」を香りと旨味を両立する上位酒、「泉姫」を日本酒と国産果汁による果実酒と位置付けています。
さらに「仙介」は、
純米大吟醸
大吟醸
純米吟醸
特別純米
山廃
樽酒
白麹
無濾過生
秋あがり
夏酒
ROCK
まで細分化。
一つのブランド内で飲用場面を広げる
構造です。
⑥ 水・風土・灘テロワール
泉酒造は、
灘五郷・御影郷
に位置します。
六甲山系。
冬の冷たい六甲おろし。
兵庫県の酒米。
神戸港。
という灘の酒造環境を共有しています。
現代表のメッセージでも、
「六甲山系の恵みを受けたしっかりとした水」
と、
山田錦をはじめとする良質な酒米
を神戸の大きな酒造資産として挙げています。
ここで重要なのは、
現行の泉酒造公式サイトは、仕込水を「宮水」とは明記していない
ことです。
灘酒だから自動的に「宮水使用」と断定するのではなく、
六甲山系の水を生かす蔵
と表記する方が現在の公開情報には忠実です。
地域構造は、
六甲山系
↓
水
↓
兵庫県産酒米
↓
御影郷
↓
泉酒造
↓
仙介・琥泉
です。
⑦ 独自技術・酒造技術
泉酒造の製造技術は、
小仕込みだから工程差を商品差へ直接変えられること
に特徴があります。
① 丹波流の仕込み
公式は「仙介」を、
丹波流の仕込み
によって米の旨味を最大限に引き出す酒と定義しています。
② 33%精米
最高峰「仙介 純米大吟醸三割三分磨き」では、
契約農家の兵庫県産特等山田錦を、
33%
まで精米。
和氣杜氏の経験・技術を集約した商品と公式に説明されています。
③ 雫取り
さらに最高級版では、
酒袋に醪を入れて吊るし、
自然に垂れる雫だけを斗瓶で採取。
その後、低温熟成させます。
④ 無濾過生原酒
搾った酒を濾過せず、
一本ずつ瓶詰め。
「仙介 特別純米無濾過生酒原酒」は低温倉庫で管理し、フレッシュな香味を維持しています。
⑤ 山廃
仙介では山廃純米・山廃辛口純米無濾過生原酒も展開。
酸を酒質の核へ置く領域です。
⑥ 白麹
通常の黄麹だけでなく、
白麹
を一部使用。
クエン酸由来の甘酸っぱさを持たせた13度の純米生原酒も商品化しています。
⑦ 一火・瓶燗火入れ
「一火」は瓶燗で一度だけ火入れ。
香味を損ないにくくしながら品質安定を図ります。
⑧ 吟醸用自社酵母
「琥泉 純米吟醸夏の原酒」では、
吟醸用自社酵母
を使用してフルーティーな香りを形成しています。
つまり技術構造は、
丹波流+高精白+雫取り+無濾過+山廃+白麹+瓶燗+自社酵母
です。
⑧ 原料・酒米戦略
泉酒造の最大の原料資産は、
兵庫県産酒米
です。
山田錦
最高級酒の中心。
純米大吟醸では48%。
最高峰では33%。
特別純米では麹米へ使用。
幅広い酒質に使います。
兵庫錦
「仙介 特別純米」で掛米に使用。
「超辛口純米吟醸」では兵庫錦100%を60%まで精米しています。
役割:辛口・透明感
五百万石
特別本醸造や樽酒の掛米として使用。
山田錦と組み合わせ、
灘らしいキレを作ります。
兵庫雄町
特に注目すべき原料です。
「兵庫雄町」は1935年に交配され、その後奨励品種から外れた酒米ですが、泉酒造は山田錦契約農家へ栽培を依頼し、
兵庫雄町を復活。
西脇市産兵庫雄町100%、45%精米の純米大吟醸として商品化しています。
原料戦略は、
山田錦=品質頂点
兵庫錦=現代辛口
五百万石=軽快さ
兵庫雄町=復活・独自性
です。
⑨ 商品・商品戦略
仙介 純米大吟醸原酒 雫取り三割三分磨き
兵庫県産特等山田錦。
精米歩合33%。
袋吊り。
斗瓶取り。
低温熟成。
泉酒造の技術頂点。
仙介 純米大吟醸三割三分磨き原酒
契約農家特等山田錦100%。
33%精米。
華やかな果実香と雑味の少ない甘旨。
役割:最高級プレミアム
仙介 純米大吟醸
兵庫県産山田錦100%。
48%精米。
米の甘味、柔らかさ、控えめな吟醸香。
役割:仙介のプレミアム中核
仙介 純米大吟醸 原酒 兵庫雄町
西脇市産兵庫雄町100%。
45%精米。
青リンゴ様の香り。
濃醇な旨味。
役割:酒米復活プロジェクト
仙介 純米吟醸
山田錦を使う生原酒・おりがらみ等を展開。
60%精米。
役割:フレッシュ吟醸
仙介 超辛口純米吟醸原酒・一火
兵庫錦100%。
60%精米。
爽快で透明感のある超辛口。
役割:辛口市場
仙介 特別純米
麹米:山田錦。
掛米:兵庫錦。
65%。
米の甘味と酸。
ぬる燗にも対応。
役割:仙介の食中酒中核
仙介 特別純米樽酒
山田錦+五百万石。
吉野杉樽で数日熟成。
役割:灘の樽酒文化
仙介 白麹無濾過生原酒
白麹由来のクエン酸。
13度。
甘酸っぱく爽快。
役割:若年・低アル・酸味市場
琥泉 純米吟醸
精米歩合60%。
穏やかな華やかさと落ち着いた旨味。
役割:上品な食中純米吟醸
琥泉 純米吟醸 彩葉 IROHA
2026年9月発売。
ひと夏を越し、旨味を蓄えた熟成型純米吟醸。
華やかな吟醸香と辛口・芳醇な味わい。
役割:秋季熟成酒
泉姫 ゆず酒
国産柚子果汁。
アルコール6%。
役割:非日本酒層
泉姫 れもん酒
瀬戸内産レモン。
日本酒仕込み。
アルコール6%。
役割:果実酒・低度数市場
⑩ 味わい・酒質設計
泉酒造の酒質は、
「米旨+酸+鮮度」
で整理すると分かりやすくなります。
| 味覚軸 | 主な商品 |
|---|---|
| 上品・華やか | 雫取り33% |
| 繊細・甘旨 | 三割三分 |
| 柔らか・なめらか | 純米大吟醸 |
| 濃醇・果実的 | 兵庫雄町 |
| フレッシュ | 無濾過生原酒 |
| 甘旨・酸 | 特別純米 |
| 超辛口・透明感 | 兵庫錦純米吟醸 |
| 杉香・穏やか | 樽酒 |
| 甘酸っぱい | 白麹 |
| 上品・旨口 | 琥泉純米吟醸 |
| 辛口・熟成 | 彩葉 |
| 柑橘・爽快 | 泉姫 |
特に仙介は、
「香りだけの吟醸酒」に寄せず、米の旨味と酸を残す
ことで食事との相性を作っています。
現代表も「時代と共に変わり続ける食に寄り添う酒」を企業の方向として明示しています。
⑪ 受賞・品質評価
泉酒造の近年の品質評価は非常に強いです。
令和6酒造年度 全国新酒鑑評会
2025年5月発表
泉酒造株式会社 喜卯蔵「仙介」 金賞
公式目録で金賞を示す☆印が付いています。
令和7酒造年度 全国新酒鑑評会
2026年5月発表
泉酒造株式会社 喜卯蔵「仙介」 入賞
2026年は金賞ではなく「入賞」です。
前年金賞→翌年入賞と、
2年連続で入賞圏へ入っている
ことが重要です。
令和7年度 大阪国税局清酒鑑評会
2025年9月
吟醸酒部門
仙介 優秀賞
燗酒用清酒部門
仙介 優秀賞
同じ年度に、
吟醸酒と燗酒の両方で優秀賞
を得ています。
令和6年度 大阪国税局清酒鑑評会
2024年
燗酒用清酒部門で、
仙介 優秀賞
を受賞しています。
つまり泉酒造は、
大吟醸だけが強い蔵ではなく、
燗酒でも評価される食中酒型
です。
⑫ 地域ブランド
泉酒造の地域ブランドは、
**兵庫県
↓
神戸
↓
灘五郷
↓
御影郷
↓
泉酒造
↓
仙介・琥泉**
です。
ただし、
白鶴。
菊正宗。
神戸酒心館。
沢の鶴。
など大規模・著名酒蔵と同じ地域にありながら、
泉酒造は、
小規模であること
そのものを差別化にできます。
山田錦33%。
兵庫雄町。
白麹。
山廃。
無濾過。
おりがらみ。
一火。
季節原酒。
これだけ細かく酒質を振れるのは、
小仕込み蔵だからこその強み
です。
⑬ 人・組織・継承
現在の代表取締役は、
泉 藍氏
です。
代表メッセージでは、
自然の恵み。
先人の知恵。
現在の技術。
食の変化。
を組み合わせ、
「伝統を受け継ぎ、創造する喜びを次世代へ繋ぐ」
ことを掲げています。
製造面では、
和氣杜氏
の存在が重要です。
現行の最高級商品説明でも「和氣杜氏の経験と技術を集約」と明記されています。公開インタビューでは和氣卓司氏が杜氏として泉酒造の酒造りについて語っています。
組織特性は、
代表
+
杜氏
+
少人数製造
+
営業・直売
というコンパクト型。
大量生産組織ではなく、
造り手の判断が商品へ直接反映される組織
です。
⑭ 観光・酒蔵ツーリズム
泉酒造は大型資料館型ではありません。
そのため観光価値は、
「現役の小さな灘酒蔵へ直接行くこと」
にあります。
直売所
営業時間:
10:00〜16:30
公式サイトで営業カレンダーを公開しています。
アクセス
阪神石屋川駅から、
徒歩約8分。
試飲・訪問
日本酒造組合中央会の酒蔵情報では、平日を中心に訪問・試飲対応の案内がありますが、営業日は変動するため、現行公式カレンダーの確認が必要です。
灘五郷回遊
徒歩圏・周辺には、
神戸酒心館。
菊正宗。
白鶴。
など灘五郷の酒文化拠点があります。
したがって、
泉酒造単独型より、御影郷・魚崎郷の酒蔵回遊型
との相性が高い蔵です。
地域イベント
2026年も、
御影地元の酒祭り。
日本酒ゴーアラウンド。
飲食店での酒の会。
ホテルでのペアリングイベント。
などへ参加しています。
観光タイプは、
「直売+造り手との距離+灘五郷回遊」
です。
⑮ 流通・販売
泉酒造の販売構造は、
専門酒販+飲食+直販+EC+イベント
が中心です。
公式サイトには、
仙介。
琥泉。
それぞれの取扱店舗案内があります。
加えて、
蔵元直売。
公式オンラインショップ。
飲食店イベント。
百貨店等での販売。
地域酒イベント。
という接点を持っています。
泉酒造は大量量販型より、
説明して売る販売
との相性が良い蔵です。
理由は、
兵庫雄町。
白麹。
一火。
山廃。
雫取り。
など、
商品の違いそのものが購買理由になるからです。
⑯ 事業構造
| 事業 | 内容 |
|---|---|
| 純米大吟醸 | 仙介 |
| 大吟醸 | 仙介 |
| 純米吟醸 | 仙介・琥泉 |
| 純米酒 | 仙介・琥泉 |
| 本醸造 | 仙介 |
| 無濾過生 | 多数展開 |
| 山廃 | 仙介 |
| 白麹 | 仙介 |
| 樽酒 | 仙介 |
| 季節酒 | 夏酒・秋あがり・しぼりたて |
| 復活酒米 | 兵庫雄町 |
| リキュール | 泉姫 |
| EC | 公式通販 |
| 蔵元直売 | 直売所 |
| イベント | 酒祭・酒の会 |
| グッズ | 前掛・酒器等 |
公式商品体系は「仙介」「琥泉」「泉姫」の3系統へ明確に整理されています。
⑰ 競合比較
神戸酒心館との比較
| 項目 | 泉酒造 | 神戸酒心館 |
|---|---|---|
| 地域 | 御影郷 | 御影郷 |
| 創業 | 1756年 | 1751年 |
| 規模 | 小規模 | 中規模 |
| 主力 | 仙介・琥泉 | 福寿 |
| 強み | 少量多品種 | 高級酒+複合観光 |
| 商品 | 無濾過・山廃・白麹等 | 吟醸・環境酒 |
| 観光 | 直売型 | 料亭・ホール一体 |
| 一言 | 小仕込みで遊ぶ | 酒蔵体験を統合する |
菊正宗との比較
| 項目 | 泉酒造 | 菊正宗 |
|---|---|---|
| 規模 | 小規模 | 全国型 |
| 核 | 米旨・酸・鮮度 | 生酛・本流辛口 |
| 商品 | 多品種 | 大量安定+高級 |
| 技術 | 無濾過・雫・白麹 | 生酛・酵母研究 |
| 強み | 柔軟性 | 規模+研究 |
| 一言 | 小ささを武器にする | 伝統を量産可能にする |
櫻正宗との比較
| 項目 | 泉酒造 | 櫻正宗 |
|---|---|---|
| 歴史 | 1756年 | 1625年創醸 |
| 最大物語 | 震災復興 | 宮水・正宗・一号酵母 |
| 酒米 | 山田錦+兵庫錦+雄町 | 山田錦中心 |
| 酒質 | 鮮度・酸・多様 | 吟醸・歴史技術 |
| 一言 | 現代クラフト型 | 日本酒史型 |
泉酒造のポジションは、
「灘の中のクラフト酒蔵」
に最も近いと評価できます。
⑱ 経営課題・成長余地
① 小規模生産
② 「仙介」と「泉酒造」
③ 琥泉の明確化
④ 震災復興ストーリー
⑤ 兵庫雄町
⑥ 食との連携
⑲ SWOT分析
| 区分 | 診断 | 評価 | 打ち手 |
|---|---|---|---|
| Strengths | 1756年創業 | 強い | 歴史 |
| Strengths | 灘五郷・御影郷 | 最大級 | 地域 |
| Strengths | 震災復興 | 最大級 | 企業物語 |
| Strengths | 少量生産 | 最大級 | 多品種化 |
| Strengths | 山田錦33% | 最大級 | 高級酒 |
| Strengths | 雫取り | 強い | プレミアム |
| Strengths | 無濾過生 | 最大級 | 鮮度 |
| Strengths | 山廃 | 強い | 食中・酸 |
| Strengths | 白麹 | 強い | 若年市場 |
| Strengths | 兵庫雄町復活 | 最大級 | 独自原料 |
| Strengths | 2025全国金賞 | 最大級 | 品質証明 |
| Strengths | 2026全国入賞 | 強い | 継続性 |
| Weaknesses | 生産規模 | 小さい | 高付加価値 |
| Weaknesses | 全国認知 | 大手より限定 | 仙介集中 |
| Weaknesses | ブランド差 | 仙介・琥泉が近い | 役割整理 |
| Weaknesses | 大型観光施設なし | 滞在短い | 回遊型観光 |
| Opportunities | クラフトSAKE志向 | 最大級 | 小仕込み |
| Opportunities | 酒米多様化 | 大きい | 兵庫雄町 |
| Opportunities | 生酒市場 | 大きい | 無濾過 |
| Opportunities | 低アル・酸味 | 大きい | 白麹 |
| Opportunities | 食観光 | 最大級 | 神戸料理 |
| Opportunities | 灘五郷観光 | 最大級 | 回遊 |
| Threats | 米価格上昇 | 高い | 契約農家 |
| Threats | 酒米高温障害 | 高い | 品種分散 |
| Threats | 清酒市場縮小 | 長期課題 | 新規層 |
| Threats | 小規模人材不足 | 大きい | 技能継承 |
| Threats | 大手灘ブランド | 非常に強い | 小規模差別化 |
⑳ PEST分析
| 区分 | 外部環境 | 泉酒造への影響 | 対応方向 |
|---|---|---|---|
| Political | 日本酒文化振興 | 有利 | 灘五郷 |
| Political | 地方観光振興 | 有利 | 酒蔵回遊 |
| Political | 酒類輸出支援 | 機会 | 高級酒 |
| Political | 農業支援 | 酒米に有利 | 契約農家 |
| Economic | 米価格上昇 | 原価増 | 高付加価値 |
| Economic | 人件費上昇 | 小規模蔵に影響 | 省力化 |
| Economic | 観光消費 | 神戸に追い風 | 直売 |
| Economic | プレミアムSAKE | 機会 | 33%・雫 |
| Social | フルーティー酒人気 | 有利 | 純米吟醸 |
| Social | 食中酒回帰 | 有利 | 特別純米 |
| Social | 低アル志向 | 機会 | 白麹13度・泉姫 |
| Social | クラフト志向 | 最大級 | 小仕込み |
| Social | 地域物語志向 | 強い | 震災復興 |
| Technological | 低温管理 | 生酒品質 | 無濾過 |
| Technological | 精米技術 | 高級酒 | 33% |
| Technological | 酵母選択 | 香味設計 | 自社酵母 |
| Technological | 瓶燗 | 香味保持 | 一火 |
| Technological | EC | 全国販売 | D2C |
㉑ 4P分析
| 区分 | 現状 | 評価 | 戦略 |
|---|---|---|---|
| Product | 仙介 | 母艦 | 技術・酒米 |
| Product | 琥泉 | 上質日常 | 香味調和 |
| Product | 泉姫 | 果実酒 | 非日本酒層 |
| Product | 三割三分 | 技術頂点 | 高級 |
| Product | 雫取り | 希少性 | 贈答 |
| Product | 兵庫雄町 | 独自原料 | 限定 |
| Product | 無濾過生 | 鮮度 | 専門店 |
| Product | 山廃 | 酸・旨味 | 食中 |
| Product | 白麹 | 甘酸 | 若年 |
| Product | 彩葉 | 熟成 | 季節 |
| Price | 日常 | 純米等 | 食卓 |
| Price | 中価格 | 純吟・生原酒 | 地酒層 |
| Price | 高価格 | 純大 | ギフト |
| Price | 最上位 | 33%雫 | プレミアム |
| Place | 蔵元直売 | 強い | D2C |
| Place | EC | 全国 | リピート |
| Place | 専門酒販店 | 非常に重要 | 説明販売 |
| Place | 飲食店 | 強い | ペアリング |
| Place | イベント | 地域・全国 | 認知 |
| Promotion | 震災復興 | 最大物語 | ブランド |
| Promotion | 1756 | 歴史 | 信頼 |
| Promotion | 山田錦 | 品質 | 高級 |
| Promotion | 兵庫雄町 | 独自性 | 原料 |
| Promotion | 全国金賞 | 技術 | 信頼 |
| Promotion | 小規模 | 差別化 | クラフト感 |
㉒ ターゲット
| ターゲット | 適合商品・価値 |
|---|---|
| 灘酒ファン | 仙介 |
| 神戸地酒ファン | 仙介・琥泉 |
| 日本酒初心者 | 琥泉純米吟醸 |
| フルーティー酒層 | 純米大吟醸 |
| 大吟醸ファン | 仙介大吟醸 |
| プレミアム層 | 33%雫取り |
| 山田錦ファン | 純米大吟醸 |
| 酒米ファン | 兵庫雄町 |
| 辛口層 | 超辛口純米吟醸 |
| 純米酒層 | 特別純米 |
| 燗酒層 | 特別純米・琥泉純米 |
| 生酒ファン | 無濾過生原酒 |
| おりがらみ層 | 純米吟醸おりがらみ |
| 山廃ファン | 山廃純米 |
| 酸味酒層 | 白麹 |
| 低アル層 | 白麹13度・泉姫 |
| 樽酒層 | 特別純米樽酒 |
| 季節酒層 | 夏純米・秋あがり・彩葉 |
| 食中酒層 | 仙介特別純米 |
| 神戸観光客 | 蔵元直売 |
| 灘五郷巡り | 直売所 |
| 飲食店 | 仙介・琥泉 |
| ギフト層 | 三割三分・純米大吟醸 |
㉓ ブランドコピー・見せ方
メインコピー
「十二年を越えて、もう一度、灘で醸す。」
サブコピー
1756年創業。
震災で失った酒蔵を再建し、兵庫の米から新しい灘酒を造る。
地域型コピー
小さな蔵から、灘の新しい一杯。
酒米型コピー
兵庫の米を、兵庫の酒へ。
仙介型コピー
米の旨味を、丹波流で。
復興型コピー
蔵は失っても、酒造りは終わらなかった。
技術型コピー
山田錦33%。最後は、一滴ずつ。
食中型コピー
香りだけでは終わらない。食と続く酒。
現代型コピー
山廃も、白麹も、超辛口も。灘はまだ変われる。
短い説明文
泉酒造株式会社は、兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号にある1756年創業の酒蔵です。灘五郷・御影郷で「仙介」「琥泉」「泉姫」を展開し、兵庫県産山田錦を中心とする酒造好適米と丹波流の仕込みによって、米の旨味と酸を生かした酒を醸しています。1995年の阪神・淡路大震災で仕込蔵を失い自家醸造を断念しましたが、2007年に12年ぶりに酒造りを再開。現在は契約農家産特等山田錦を33%まで磨く「仙介 純米大吟醸三割三分磨き」、袋吊りによって雫だけを採取する最高級酒、無濾過生原酒、山廃、白麹、樽酒、兵庫錦の超辛口純米吟醸、一度栽培が途絶えた兵庫雄町を復活させた純米大吟醸まで展開しています。2025年発表の全国新酒鑑評会で「仙介」が金賞、2026年発表では入賞。2025年大阪国税局清酒鑑評会では吟醸酒・燗酒用清酒の両部門で優秀賞を獲得しており、華やかな吟醸酒から燗酒まで幅広い品質を示しています。
㉔ この酒蔵をどう見せるべきか・最終評価
泉酒造は、以下の7資産で整理すると企業像が最も明確になります。
① 震災と復活
② 仙介
③ 山田錦33%
④ 雫取り
⑤ 兵庫雄町
⑥ 無濾過・山廃・白麹
⑦ 全国新酒鑑評会
最終評価
| 評価軸 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 歴史性 | 5.0/5 | 1756年創業 |
| 復興物語 | 5.0/5 | 震災・12年後再開 |
| 地域性 | 5.0/5 | 灘五郷・御影郷 |
| 水・風土 | 4.8/5 | 六甲山系の水 |
| 酒米力 | 5.0/5 | 山田錦・兵庫錦等 |
| 原料独自性 | 5.0/5 | 兵庫雄町復活 |
| 高精白技術 | 5.0/5 | 33% |
| 雫取り技術 | 5.0/5 | 袋吊り・斗瓶 |
| 無濾過生酒力 | 5.0/5 | 商品群が充実 |
| 山廃力 | 4.9/5 | 酸を生かす |
| 商品開発力 | 5.0/5 | 白麹・ROCK等 |
| 吟醸技術力 | 5.0/5 | 2025全国金賞 |
| 品質継続力 | 5.0/5 | 2026全国入賞 |
| 燗酒力 | 4.9/5 | 国税局優秀賞 |
| 食中酒力 | 5.0/5 | 酸と旨味 |
| ブランド力 | 4.7/5 | 仙介に伸びしろ |
| 観光力 | 4.4/5 | 直売・回遊型 |
| 公共交通適性 | 5.0/5 | 石屋川駅徒歩約8分 |
| 全国流通力 | 4.3/5 | 専門流通型 |
| ブランド独自性 | 5.0/5 | 復興×小仕込み |
| 成長可能性 | 5.0/5 | 酒米・食・クラフト |
㉖ 最終結論
泉酒造株式会社は、兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9番6号にある、1756年創業の酒蔵です。
しかし、その本質はそれ以上に、
江戸期から灘の酒造文化を受け継ぎながら、1995年1月17日の阪神・淡路大震災によって木造の仕込蔵等を失い、自家醸造を断念するという企業存続上最大の危機を経験し、それでもブランドと酒造文化を途切れさせず、委託醸造等によって事業を維持しながら12年間再建を待ち、2007年に多くの関係者の協力を得て御影の地で自家醸造を再開。その際に大規模生産型へ戻るのではなく、少量生産だからこそ造り手の判断を直接酒質へ反映できる企業構造へ進み、兵庫県産山田錦を中心とする酒造好適米100%と丹波流の仕込みによって米の旨味を引き出す「仙介」を企業母艦に、香りと旨味を穏やかに調和させる「琥泉」、日本酒と国産果実を組み合わせる「泉姫」まで顧客層を拡張。最高級酒では契約農家が栽培する兵庫県産特等山田錦を33%まで磨き、和氣杜氏の経験を投入して醸した醪を酒袋へ入れ、圧力をかけず自然に垂れる雫だけを斗瓶へ集めて低温熟成する「仙介 純米大吟醸原酒 雫取り三割三分磨き」を技術頂点に置く一方、山田錦48%の純米大吟醸、山田錦60%の純米吟醸おりがらみ、山田錦と兵庫錦による特別純米、兵庫錦100%の超辛口純米吟醸、山廃純米、吉野杉樽で熟成する樽酒、白麹のクエン酸を利用した13度の甘酸っぱい純米生原酒、ROCK向け原酒、夏酒、秋あがりまで、同じ蔵の中で酒米・精米歩合・酛・麹・濾過・火入れ・熟成を変えながら商品を細分化。さらに、かつて1935年に交配されながら1957年に奨励品種から外れた「兵庫雄町」を兵庫県内の山田錦契約農家へ依頼して復活させ、西脇市産兵庫雄町100%を45%まで磨いた純米大吟醸として商品化することで、単に兵庫県産山田錦を使用するだけではない酒米開発型の地域性まで獲得している。令和6酒造年度全国新酒鑑評会・2025年発表では喜卯蔵「仙介」が金賞、令和7酒造年度・2026年発表では入賞し、2年連続して全国の入賞圏へ入り、令和7年度大阪国税局清酒鑑評会では吟醸酒部門と燗酒用清酒部門の双方で「仙介」が優秀賞を受賞することで、華やかな鑑評会吟醸だけでなく温度を上げて旨味を楽しむ日常酒にも技術の幅を持つことを証明。現代表・泉藍氏が掲げる「時代と共に変わり続ける食に寄り添う酒」という方向のもと、2026年にはホテルで淡路島産鱧と仙介・琥泉を組み合わせる酒食イベントを実施し、直売所、公式EC、専門酒販店、飲食店、地域酒イベントを通じて造り手との距離が近い販売構造を形成。白鶴・菊正宗・神戸酒心館など全国級の蔵が集積する灘五郷にありながら、生産規模ではなく、少量だからこそ可能な酒米・製法・香味の細分化によって独自の立場を築く、灘復興型・兵庫酒米型・少量多品種型・高鮮度生酒型・食中酒型・クラフトSAKE型の酒蔵
です。
■ コピー
「十二年を越えて、もう一度、灘で醸す。」
サブコピー
兵庫の米を、小さな蔵の手で。
■ 結論
泉酒造の最大の価値は、
1756年から続いていることだけでも、2025年の全国新酒鑑評会で金賞を獲得したことだけでもありません。
1995年。
蔵を失った。
酒を造れなくなった。
12年間待った。
そして2007年、
もう一度、
灘で酒を造り始めた。
その再出発を、
昔の量産型酒造へ戻すのではなく、
山田錦33%。
雫取り。
無濾過生。
山廃。
白麹。
兵庫錦。
兵庫雄町。
へ広げています。
「震災前の酒蔵へ戻った」のではなく、
「震災を越えて、新しい灘の小さな酒蔵になった」。
それが、泉酒造の企業としての本質です。
泉酒造のテロワールを味わう👇
| イメージ | 酒蔵 | 説明 | リンク |
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泉酒造 |
震災から復活し、灘の伝統を現代の「仙介」へ醸す1756年創業蔵。 |


