丸彦酒造(酒蔵ガイド)

― 鈴鹿山系の麓・四日市川島で、1867年から酒を醸す老舗酒蔵。「三重の寒梅」を中心に、三重県産山田錦と鈴鹿山系の中硬水を使い、“口中で広がり、喉で消える”フルーティーでマイルドな酒質を追求。伝統技術を守りながら、若い杜氏の感性と「真面目造り」で、吟醸酒を日常の食卓へ届ける北勢の実力蔵。 ―

① 一行定義

丸彦酒造は、三重県四日市市川島町で「三重の寒梅」「伊勢正宗」などを醸す、1867年創業・鈴鹿山系伏流水・中硬水・三重県産山田錦・全量山田錦・吟醸酒・若手杜氏・真面目造り・全国新酒鑑評会6回金賞・GI三重・古酒・季節酒・地域密着を強みとする、四日市を代表する伝統×現代吟醸型酒蔵。


② ブランド要約

所在地: 三重県四日市市川島町1863-2
会社名: 丸彦酒造株式会社
創業: 慶応3年・1867年
法人化: 昭和3年・1928年
代表取締役: 藤原 大地
代表銘柄: 三重の寒梅
主要銘柄: 三重の寒梅・伊勢正宗・樋乃口・女このみ・ゆき・神の穂・穂波・はま娘
地域: 四日市市川島・三重県北勢
仕込水: 鈴鹿山系の地下水
水質: 中硬水
主要酒米: 山田錦
原料構成: 三重県伊賀地方・兵庫県などの山田錦
主力酒質: 大吟醸・純米吟醸・吟醸・純米・生原酒・生貯蔵・古酒
酒質思想: 「口中で広がって、喉で消える」
酒造哲学: 真面目造り
酒造体制: 伝統技術+若手杜氏による現代的酒質設計
蔵元見学: 対応あり
見学可能時間: 9:00〜17:00
業務内容: 日本酒・地酒の製造販売

丸彦酒造は1867年、初代・鈴木彦左衛門が創業した。

創業当初の屋号は**「鈴木酒造場」**。地主だった彦左衛門が、小作から受け取る年貢米を生かして酒造業へ入ったと伝えられる。当初の酒銘は「丸彦正宗」。その後、「はま娘」などを展開し、戦後には関東へも出荷された。かつて川島町には8軒の酒蔵があったが、現在この地に残る酒蔵は丸彦酒造のみである。

現在の主力「三重の寒梅」は、6代目・鈴木哲夫が平成期に立ち上げたブランド。

日本酒離れが進む中で、

「もう一度、本物の日本酒とは何かを考える」

という発想から生まれた。

目指したのは、

吟醸酒を特別な日の酒だけにせず、日常の食卓へ届けること。

そのため契約農家の三重県産山田錦や兵庫県産山田錦を使い、鈴鹿山系の地下水を仕込みだけでなく洗浄まで徹底して使用している。

👉 “特別な吟醸を、日常の酒へ。『三重の寒梅』はそこから始まった。”


③ 味ポジション

香り  :★★★☆☆〜★★★★★
甘味  :★★★☆☆〜★★★★☆
旨味  :★★★★☆
透明感 :★★★★☆〜★★★★★
キレ  :★★★★☆〜★★★★★
コク  :★★★☆☆〜★★★★★

👉 “フルーティーでマイルド。口中ではふくらみ、喉元ではすっと消える『吟醸・食中調和型』。”

丸彦酒造が目指すのは、

「口中で広がって、喉で消える」

酒質。

「三重の寒梅」の基本は、

穏やかな香り
+フルーティーさ
+まろやかな口当たり
+米の旨味
+透明感
+きれいなキレ

である。

公式も、従来の日本酒らしい重い酒臭さを抑え、

フルーティー・マイルド・高い透明感

を持つ、和食にも洋食にも合わせやすい酒として位置づけている。

商品ごとには、

元帥 大吟醸
=華やか・まろやか・透明感・高級

純米吟醸 三重の寒梅
=米旨・ふくらみ・食中

純米吟醸 辛口
=+11・爽快・キレ・燗

大寒しぼり
=華やか・力強い・季節感

ひやおろし
=熟成・濃厚・秋酒

初しぼり
=フレッシュ・原酒感

吟醸 三重の寒梅
=穏やか・まろやか・海鮮向き

琥珀尊
=熟成・深いコク

という広がりを持つ。


④ 強み

① 1867年創業、150年以上の酒造史
② 川島地区で現在唯一残る酒蔵
③ 鈴鹿山系の地下水を仕込みから洗浄まで使用
④ 鉄・塩分・カルシウムが少ない中硬水による透明感とコク
⑤ 三重県産・兵庫県産山田錦を100%使用する酒質設計
⑥ 三重県内契約農家による山田錦栽培
⑦ 40〜60%まで磨く高精白中心の造り
⑧ 伝統的な麹・酒母・並行複発酵を重視
⑨ 62℃前後の低温火入れによる品質管理
⑩ 頻繁な瓶詰めで鮮度を重視
⑪ 「真面目造り」という明確な蔵哲学
⑫ 若い杜氏を中心とした世代交代型の酒造体制
⑬ 2006〜2009年 全国新酒鑑評会4年連続金賞
⑭ 全国新酒鑑評会 通算6回金賞の「元帥」
⑮ 2015・2018年にも全国新酒鑑評会金賞
⑯ 2026年全国新酒鑑評会「三重の寒梅」入賞
⑰ 三重県新酒品評会で複数回首位賞
⑱ 名古屋国税局酒類鑑評会で三重の寒梅・伊勢正宗が優等賞
⑲ 2020年全国燗酒コンテスト「純米吟醸 辛口」金賞
⑳ 2020年度SAKE-China「大吟醸 元帥」プラチナ賞
㉑ GI三重認定「三重の寒梅 大吟醸 元帥」
㉒ 新酒・大寒しぼり・花見酒・夏酒・ひやおろしと四季の商品展開
㉓ 長期熟成古酒「琥珀尊」
㉔ 伊勢正宗・穂波・女このみなど多ブランド展開

👉 “高級大吟醸だけでなく、辛口・季節酒・古酒・日常吟醸まで、山田錦を軸に酒質を広げられることが最大の強み。”

「三重の寒梅」は2006年に全国新酒鑑評会で約50年ぶりの金賞を獲得し、2009年まで4年連続金賞。その後も2015年、2018年に金賞を獲得しており、「元帥」は公式に全国新酒鑑評会6回金賞受賞酒として販売されている。2026年は全国新酒鑑評会で入賞となった。


⑤ 向いている人

・三重・四日市の地酒を飲みたい人
・山田錦の酒が好きな人
・三重県産山田錦を試したい人
・フルーティーな日本酒が好きな人
・マイルドな口当たりを好む人
・香りとキレの両立を求める人
・飲み飽きしない吟醸酒を探している人
・海鮮料理と日本酒を合わせたい人
・洋食にも合わせやすい日本酒を求める人
・本格辛口の純米吟醸を楽しみたい人
・ぬる燗を楽しみたい人
・大寒しぼりや初しぼりなど季節酒が好きな人
・ひやおろしなど熟成酒が好きな人
・長期古酒に興味がある人
・全国新酒鑑評会受賞酒を飲みたい人

👉 “華やかすぎず、重すぎず、料理とともに自然に杯を重ねたい人向け。”

選び方は、

元帥 大吟醸
→ 最高級・山田錦・贈答

純米吟醸 三重の寒梅
→ 米旨・食中・基本

純米吟醸 辛口
→ 超辛口・ぬる燗

吟醸 三重の寒梅
→ 穏やか・晩酌・海鮮

大寒しぼり
→ 華やか・季節限定

初しぼり
→ フレッシュ・新酒

ひやおろし
→ 熟成・秋

琥珀尊
→ 古酒・深いコク

と整理すると分かりやすい。


⑥ 向かない人

・極端な高酸モダン酒だけを求める人
・生酛・山廃だけを重視する人
・超低アルコール酒だけを好む人
・全商品を無濾過生原酒で飲みたい人
・単一小仕込みの超希少酒だけを追う人
・地元産米以外を一切使わない蔵を求める人
・華やかな吟醸香が苦手な人

👉 “強烈な個性より、香り・旨味・透明感・キレのバランスを評価する人向け。”

丸彦酒造は、

「クセの強さ」

を価値の中心に置く蔵ではない。

むしろ、

飲みやすく、料理に合わせやすく、もう一杯飲めること。

そこに「三重の寒梅」の設計思想がある。


⑦ 商品カテゴリ

■ 三重の寒梅 元帥 大吟醸

丸彦酒造の最高峰。

使用米:三重県産山田錦100%
精米歩合:40%
アルコール:16度
日本酒度:+6
酸度:1.2
アミノ酸度:1.1

GI三重登録情報では、酵母は秋田今野IYAP-3。鈴鹿山系伏流水を使い、華やかな香りとなめらかな味わいを持つ。

全国新酒鑑評会で通算6回金賞実績。

👉 “三重の山田錦と鈴鹿の水を40%精米で磨く、丸彦酒造の象徴。”


■ 純米吟醸 三重の寒梅

ブランドの基準となる食中酒。

使用米:三重県産山田錦100%
精米歩合:60%
アルコール:15度
日本酒度:+1
酸度:1.8

口に含むと米の豊かな旨味が広がり、後口はすっと引く。

👉 “『三重の寒梅』の米旨とキレを最も素直に理解できる一本。”


■ 純米吟醸 三重の寒梅 辛口

精米歩合:60%
アルコール:16度
日本酒度:+11
酸度:1.4

爽やかな香りとすっきりした味わい。

後味のキレが強く、2020年全国燗酒コンテストで金賞。蔵はぬる燗を推奨している。

👉 “『三重の寒梅』の柔らかさを残した、本格辛口。”


■ 純米吟醸 三重の寒梅 大寒しぼり

大寒の日に搾る季節限定酒。

精米歩合:60%
アルコール:17度
日本酒度:+2
酸度:1.6

大吟醸用酵母を使い、通常酒より華やかな香りを持つ。

👉 “一年で最も寒い時期の酒蔵を、そのまま一瓶へ。”


■ 純米吟醸 三重の寒梅 ひやおろし

秋季限定。

精米歩合:60%
アルコール:17度
日本酒度:+2

ひと夏熟成させ、

濃厚さ
+丸み
+しっかりした旨味

を引き出す。

👉 “フレッシュな三重の寒梅が、ひと夏を越えて深くなる秋酒。”


■ 吟醸 三重の寒梅

日常酒側の代表。

精米歩合:60%
アルコール:15度
日本酒度:+2
酸度:1.4

香りは穏やか。

やわらか
+まろやか
+すっきり

した飲み口で、海鮮との相性が特に良い。

👉 “毎日の食卓へ吟醸酒を届ける、三重の寒梅の原点に近い一本。”


■ 三重の寒梅 初しぼり

冬季限定新酒。

契約農家の三重県産山田錦100%
精米歩合:60%
アルコール:18度
日本酒度:+3

新酒らしい、

フレッシュさ
+力強さ
+若々しい旨味

を楽しむ。

👉 “川島の冬、最初の酒を味わう一本。”


■ 三重の寒梅 花見酒

春季限定。

精米歩合:60%
アルコール:15度
日本酒度:+2

フルーティーで、すっきり。

3〜5月を中心に展開される。

👉 “三重の寒梅という名を、春の酒として楽しむ一本。”


■ 三重の寒梅 吟醸 生貯蔵酒

精米歩合:60%
アルコール:15度

フルーティーで飲みやすい小容量酒。

👉 “冷やして軽快に楽しむ、三重の寒梅の入口。”


■ 三重の寒梅 琥珀尊

丸彦酒造の長期熟成酒。

酒をタンクで長期間熟成させ、

熟成香
+深いコク
+複雑さ

を楽しむ。

👉 “透明な吟醸とは対極にある、時間で深くなる三重の寒梅。”


■ 穂波

米の旨味と深いコクを前面に出す特別純米系商品。

公式では、

「コクと深い味わいのお米の旨みを堪能できる」

酒として位置づけられている。

👉 “吟醸香より、米の厚みを楽しむ丸彦酒造。”


■ 女このみ

フルーティーで洋食にも合わせやすい別ブランド。

従来型の日本酒像から離れ、

華やか
+柔らか
+現代的

な入口を担う。公式ショップでも人気商品として紹介されている。

👉 “日本酒を重く感じる人にも入口をつくる、現代型商品。”


■ 伊勢正宗

丸彦酒造の伝統側を担う銘柄。

名古屋国税局酒類鑑評会では、2015年に純米酒が優等賞、2017年にも純米酒が優等賞を得ている。

👉 “『三重の寒梅』以前から続く丸彦酒造の地域酒の系譜。”


■ 樋乃口

生原酒などを中心に、より酒の鮮度や力強さを前面に出す商品群。

冬季には「樋乃口生原酒」が展開されている。

👉 “整った吟醸とは違う、搾りたての力を楽しむブランド。”


⑧ 飲み方

冷酒     :◎◎
常温     :◎
ぬる燗    :◎◎
熱燗     :○〜◎
ワイングラス :◎
季節酒    :◎◎
熟成酒    :◎
食中酒    :◎◎

👉 元帥・大寒しぼり・生貯蔵酒は冷酒。純米吟醸は冷酒〜常温。辛口純米吟醸はぬる燗。琥珀尊は常温付近でゆっくり楽しむと違いが分かりやすい。

■ 料理との合わせ方

元帥 大吟醸
→ 寿司、白身魚、伊勢海老、会席料理

純米吟醸 三重の寒梅
→ 刺身、焼魚、天ぷら、鶏料理

純米吟醸 辛口
→ 焼鳥、鍋、干物、味噌料理

吟醸 三重の寒梅
→ 海鮮、貝類、刺身、焼魚

大寒しぼり
→ 白身魚、冷菜、春野菜

ひやおろし
→ 秋刀魚、茸、煮物、肉料理

初しぼり
→ 鍋、刺身、旬の魚

琥珀尊
→ 熟成チーズ、燻製、肉料理、ナッツ

四日市・北勢なら、

四日市とんてき
蛤
伊勢海老
魚介
味噌料理
焼鳥
天ぷら
干物

との組み合わせが分かりやすい。

👉 “鈴鹿の水で醸した吟醸を、伊勢湾と北勢の食で飲む。”


⑨ 位置づけ

クラシック ← ◎ → ○ モダン
穏やか   ← ◎ → ○ 華やか
淡麗    ← ◎ → ○ 濃醇
辛口    ← ◎ → ○ 甘旨口
軽快    ← ◎ → ○ コク
日常酒   ← ◎ → ◎ 高級酒
若酒    ← ◎ → ○ 古酒
伝統    ← ◎ → ◎ 新時代吟醸
地域密着  ← ◎ → ○ 全国評価

👉 “鈴鹿山系の中硬水と山田錦を基礎に、吟醸を日常へ広げる『北勢・山田錦吟醸型』酒蔵。”

三重県内で比較すると、

宮﨑本店・宮の雪/キンミヤ
=「四日市・総合酒類・品質本位・全国ブランド」

清水清三郎商店・作/鈴鹿川
=「鈴鹿・透明感・キレ・世界評価・モダン吟醸」

後藤酒造場・青雲/颯
=「桑名・家族手造り・三重米・米旨・食中」

丸彦酒造・三重の寒梅
=「四日市川島・鈴鹿地下水・山田錦・吟醸日常化・真面目造り」

と整理できる。

丸彦酒造のブランド構造は、

鈴鹿山系
→ 川島
→ 1867年創業
→ 丸彦正宗
→ はま娘
→ 三重県産山田錦
→ 三重の寒梅
→ 吟醸の日常化
→ 全国新酒鑑評会
→ 季節酒・古酒

という流れを持つ。

ここで重要なのは、

受賞のためだけに吟醸を造っているわけではないこと。

6代目が「三重の寒梅」を立ち上げた目的は、

吟醸酒を日常の食生活へ広げること。

だからこそ、

最高峰の「元帥」だけでなく、

晩酌向けの吟醸。

ぬる燗向けの辛口純米吟醸。

春の花見酒。

冬の初しぼり。

秋のひやおろし。

長期熟成の琥珀尊。

まで展開する。

そして蔵が自ら酒造りを表す言葉は、

「真面目造り」。

派手な言葉ではない。

米を磨く。

水を測る。

麹を見る。

温度を見る。

瓶詰めを怠らない。

その積み重ねで、

飲みやすく、

きれいで、

また飲みたくなる酒をつくる。

つまり丸彦酒造は、

“全国新酒鑑評会で金賞を取る大吟醸蔵”

だけではない。

“吟醸酒を特別なものから日常の食卓へ戻そうとする、四日市の真面目な酒蔵”

と評価するのが最も適切である。


■ コピー

メイン

「鈴鹿の水と山田錦を、毎日の吟醸へ。『三重の寒梅』。」

サブ

三重・四日市、川島。

鈴鹿山系の地下水と山田錦を使い、1867年から酒を醸し続ける丸彦酒造。

目指すのは、口に含めば旨味が広がり、喉を過ぎればすっと消える**「三重の寒梅」**。

吟醸酒を特別な日のものだけにせず、毎日の食卓へ届けるために、辛口、初しぼり、ひやおろし、古酒まで幅広く展開する。

造りの根にあるのは、「真面目造り」。

鈴鹿の水と山田錦を、特別な一本から、いつもの一杯へ。
それが、丸彦酒造である。


■ 結論

鈴鹿山系の水に恵まれた四日市・川島で、1867年から続く酒造り。
山田錦を磨き、「口中で広がり、喉で消える」三重の寒梅を、真面目に醸し続ける。
特別だった吟醸酒を、毎日の食卓へ――それが丸彦酒造である。

丸彦酒造のテロワールを味わう👇

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丸彦酒造

丸彦酒造は、三重県四日市市川島町で「三重の寒梅」「伊勢正宗」などを醸す、1867年創業・鈴鹿山系伏流水・中硬水・三重県産山田錦・全量山田錦・吟醸酒・若手杜氏・真面目造り・全国新酒鑑評会6回金賞・GI三重・古酒・季節酒・地域密着を強みとする、四日市を代表する伝統×現代吟醸型酒蔵。

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