浪乃音酒造(酒蔵企業分析)

― 文化2年・1805年創業。滋賀県大津市本堅田、琵琶湖西岸の堅田で、十代目蔵元・中井孝氏を中心に家族で小仕込みを続ける老舗酒蔵。理念は「古壺新酒」、酒のテーマは「くつろぎを呑む」。能登杜氏・金井泰一氏から受け継いだ吟醸技術を核に、山田錦35%精米の最高峰「金井泰一流」、滋賀県で復活した酒米「渡船」、愛山・雄町、酵母違いの「ええとこどり」、四季シリーズ、滋賀県産36品種米を用いた「湖の辺にして」まで展開。2026年全国新酒鑑評会でも「浪乃音」が入賞した、“琵琶湖堅田型・家族小仕込み型・能登杜氏技術継承型・酒米多様性型・料理直結型酒蔵” ―

※本稿は2026年9月時点で確認できる浪乃音酒造公式、滋賀県酒造組合、酒類総合研究所等の公開情報を基に整理しています。浪乃音酒造株式会社は滋賀県大津市本堅田1丁目7-16、創業1805年、代表取締役は十代目蔵元・中井孝氏です。

目次(Table of Contents)

① 導入・一行定義

滋賀県大津市本堅田1丁目7-16。

琵琶湖西岸、

古くから湖上交通と漁業・商業で栄えてきた堅田にあるのが、

浪乃音酒造株式会社

です。

創業は、

文化2年・1805年。

200年以上の歴史を持ちます。

現在は、

十代目蔵元・中井孝氏

を中心に酒造りを続けています。

代表銘柄は、

「浪乃音」

です。

その名は、

比叡山の高僧によって命名

されたと蔵元は説明しています。

一行定義

「文化2年・1805年創業。琵琶湖西岸・堅田で、家族による小仕込みと能登杜氏・金井泰一氏から受け継いだ吟醸技術を軸に、山田錦・渡船・愛山・雄町など多様な酒米を使い、“くつろぎを呑む”酒を造る、“琵琶湖堅田型・家族小仕込み型・能登杜氏技術継承型・酒米多様性型酒蔵”」

② 結論・企業ポジション

浪乃音酒造最大の企業価値は、

「小さな家族蔵だからこそ、酒質の細部まで手を掛けられること」

です。

公式は、

「小さな酒蔵だからこそ小仕込みに徹する」

と明確に掲げています。

滋賀県の酒蔵紹介でも、

蔵にあるのは小型タンクのみ

とされ、

一つ一つの仕込みを細かく管理できることが、

コクとキレの安定

につながると説明されています。

さらに、

「古壺新酒」

という理念があります。

古い壺に新しい酒を入れる。

つまり、

伝統を守りながら、新しい酒を造る

という考え方です。

企業ポジションを整理すると、

浪乃音=伝統・吟醸・酒米表現

ええとこどり=日常・食中酒

季節酒=四季・再購入

余花朗=料理との完成

です。

評価軸内容
正式社名浪乃音酒造株式会社
所在地滋賀県大津市本堅田1-7-16
創業1805年・文化2年
代表者中井 孝
世代十代目
主力銘柄浪乃音
定番シリーズええとこどり
企業理念古壺新酒
酒のテーマくつろぎを呑む
製造形態家族中心・小仕込み
醸造設備小型タンク中心
技術系譜能登杜氏・金井泰一流
最高精米山田錦35%
主酒米山田錦
滋賀地域米渡船
その他酒米愛山・雄町など
酵母1401・901等
食中酒ええとこどり純米
直営料理余花朗・鰻料理
月例直売第4金・土 はかり売り
EC公式オンラインストア
2026全国新酒鑑評会入賞
本質家族小仕込みで多様な酒米と食中性を磨く蔵

③ 基本情報

項目内容
会社名浪乃音酒造株式会社
所在地〒520-0242 滋賀県大津市本堅田1-7-16
TEL077-573-0002
FAX077-573-4948
創業1805年
代表取締役中井 孝
世代十代目
主銘柄浪乃音
定番ブランドええとこどり
直営料亭余花朗
EC公式オンラインストア
最寄駅JR湖西線 堅田駅
堅田駅からタクシー約5分
バス出町停留所から徒歩3分
駐車場あり
直売営業時間9:00~17:00
休日土・日・祝等

会社概要とアクセスは蔵元公式、直売営業時間は滋賀県の酒蔵周遊案内で確認できます。

④ 歴史・企業沿革

1. 1805年 ― 創業

文化2年。

堅田で創業。

200年以上にわたり同地で酒造りを続けています。

2. 「浪乃音」

酒名は、

比叡山の高僧が命名

したと伝えられています。

琵琶湖の湖面、

堅田の水辺、

比叡山。

土地の景観を一語で表す酒名

でもあります。

3. 九代目の急逝

現在の十代目・中井孝氏が学生だった時期、

九代目蔵元が交通事故で急逝。

母が社長となって蔵を守り、

その後、兄弟が酒造りへ入りました。

4. 三兄弟による継承

長男・孝氏、

次男・均氏、

三男・快氏の三兄弟が酒蔵へ入り、

家族による酒造体制

を形成しました。

5. 能登杜氏・金井泰一氏

吟醸酒造りを学ぶため、

評価の高い能登杜氏、

金井泰一氏

に指導を依頼。

条件は、

「兄弟3人で学ぶこと」

「5年で覚えること」

でした。

6. 蔵の大改修

当時の設備では高品質酒造りに限界があったため、

翌年に蔵を大改修。

現在の3階建て酒蔵へつながりました。

7. 「金井泰一流」

金井氏の技術を継承した酒を、

「大吟醸 金井泰一流」

として商品化。

現在も浪乃音最高峰の商品です。

8. 酒米多様化

山田錦だけでなく、

渡船

愛山

雄町

へ展開。

酒米ごとの旨味を表現するラインが充実しました。

9. 食との連携

直営料亭、

「余花朗」

で鰻料理と酒を組み合わせ、

さらにアンケートから、

「うな純」

を商品化しました。

10. 2022・2023年全国新酒鑑評会

令和3酒造年度、令和4酒造年度とも、

「浪乃音」=入賞

が確認できます。

11. 2026年

令和7酒造年度全国新酒鑑評会で、

「浪乃音」=入賞。

滋賀県では6点が入賞、2点が金賞でした。

歴史の本質

「家業存続の危機を、兄弟・杜氏・設備投資によって高品質吟醸蔵へ変えた歴史」

です。

⑤ 自然環境・水・テロワール

浪乃音酒造最大の地域資産は、

琵琶湖西岸・堅田

です。

蔵元公式も、

「美しい琵琶湖のほとり」

にある酒蔵と位置付けています。

堅田は、

古くから湖上交通の要衝として発展した地域です。

比叡山・比良山地、

琵琶湖、

湖西の農地が近く、

山・水・米・湖文化

が一つの地域に重なります。

浪乃音酒造の場合、

特定の仕込み水源や硬度を公式が詳細公表している資料は、今回確認できた範囲では限定的です。

したがって、

水質を断定するより、「琵琶湖西岸・堅田という水辺文化と酒造環境」

を地域資産として捉えるのが適切です。

テロワール構造

比叡・比良山地
↓
湖西地域
↓
琵琶湖
↓
堅田
↓
滋賀の米
↓
小仕込み
↓
浪乃音

です。

本質

「琵琶湖の生活文化の中で育った、堅田の家族酒蔵」

です。

⑥ 原料米・農業戦略

浪乃音酒造は、

酒米を変えることで、酒質の表情を変える蔵

です。

山田錦

最高峰、

金井泰一流

では、

山田錦35%精米。

フルーティーで上品な甘味を持つ大吟醸です。

純米大吟醸では、

山田錦50%

を使用します。

渡船

浪乃音を特徴付ける地域酒米です。

公式は、

滋賀県が復活させた日本古来の酒米

と説明しています。

純米大吟醸「渡船」は、

渡船100%

精米50%

です。

酒質は、

優しい甘味

深い米旨

です。

愛山

「古壺新酒」では、

愛山100%

を使用。

ジューシーで綺麗な味わいを狙います。

雄町

「備前雄町」では、

芳醇

深いコク

麹由来の酸

を特徴とします。

滋賀県産36品種

「湖の辺にして ALMOST SHIGA」

では、

滋賀県の米36種類

を使用。

一つの酒米を磨くのではなく、

滋賀そのものをブレンドして酒へ変える

という極めて珍しい商品です。

原料戦略の本質

山田錦=高級品質

渡船=滋賀の歴史

愛山=ジューシーさ

雄町=深み

36品種米=滋賀そのもの

です。

⑦ 酒造技術・製造思想

浪乃音酒造の製造思想は、

小仕込み

です。

1. 小型タンク

滋賀県の公式周遊案内では、

蔵にあるのは小型タンクのみ

とされています。

大量生産より、

管理できる量を丁寧に造る

方式です。

2. 家族醸造

公式は、

「家族がひとつになって」

酒を醸すと説明しています。

3. 能登杜氏技術

金井泰一氏から、

吟醸造りの基礎と技術

を三兄弟で学びました。

4. 蓋麹

滋賀県酒造組合は、

精米歩合50%以上の高精白酒では蓋麹を採用

すると紹介しています。

5. 酵母使い分け

ええとこどり純米吟醸では、

1401酵母

901酵母

を使い分けています。

6. 無濾過生原酒

純米・超辛口などで、

無濾過生原酒

を展開。

米旨と力強さを直接表現します。

7. 火入れ・燗

同じシリーズで、

生酒、

無濾過生原酒、

火入れを使い分け、

冷酒から燗まで

対応します。

技術 → 酒質

小型タンク
+
家族管理
+
蓋麹
+
能登杜氏技術
+
酵母使い分け
+
酒米別醸造
↓
綺麗な香り
↓
優しい甘味
↓
米旨
↓
丸み
↓
キレ
↓
食中性

です。

⑧ ブランド構造

浪乃音酒造は、

「浪乃音」と「ええとこどり」を二本柱とする構造

です。

ブランド・商品群役割
浪乃音企業母艦・吟醸・高級酒
金井泰一流最高峰・技術継承
古壺新酒愛山・理念象徴
渡船滋賀地域酒米
備前雄町酒米個性
湖の辺にして滋賀米36品種
ええとこどり定番・食中酒
超辛口辛口・キレ
四季シリーズ季節・香味変化
新走り新酒・地元需要
うな純鰻料理専用
奏-SOU-発酵・健康領域

ブランド構造の本質

浪乃音=蔵の格

金井泰一流=技術

渡船=滋賀

ええとこどり=日常

余花朗・うな純=料理

です。

⑨ 商品ポートフォリオ

1. 浪乃音 大吟醸「金井泰一流」生酒

  • 山田錦
  • 精米35%
  • 720ml 4,400円
  • 1.8L 8,800円

フルーティー

上品な甘味

を持つ浪乃音最高峰の商品です。

2. 浪乃音 純米大吟醸

  • 山田錦
  • 精米50%

上品な香り

綺麗な甘味

を持つ定番高級酒です。

3. 純米大吟醸「古壺新酒」生酒

  • 愛山100%

綺麗

ジューシー

な酒質。

企業理念を商品名にした一本です。

4. 純米大吟醸「備前雄町」生酒

芳醇

深いコク

酸によるバランス

が特徴です。

5. 純米大吟醸「渡船」生酒

  • 滋賀県産渡船100%
  • 精米50%
  • 16度

優しい味わい

米の深み

を表現します。

6. 湖の辺にして ALMOST SHIGA

滋賀県産米36品種

を一つにまとめた純米吟醸。

米旨がありながら、

バランスの良い食中酒

です。

7. 新走り

その年の、

仕込み一号。

濃醇で、

ささにごり。

地元人気の高い新酒です。

8. ええとこどり 純米大吟醸

兵庫県産山田錦を50%まで磨き、

綺麗な口当たり

優しさ

を重視します。

9. ええとこどり 純米吟醸 1401酵母

山田錦60%。

旨味が口中にふくらむ

酒です。

10. ええとこどり 純米吟醸 901酵母

山田錦60%。

まろやか

優しい余韻

が特徴です。

11. ええとこどり 純米酒 超辛口 無濾過生原酒

辛口

だけでなく、

旨味

最後のキレ

を残す設計です。

12. ええとこどり 純米酒 無濾過生原酒

米味

力強さ

があり、

濃い料理にも合わせやすい酒です。

13. ええとこどり 純米酒 火入れ

料理を選ばない食中酒。

冷やでも燗でも楽しめます。

14. 四季シリーズ

桜
花火
月
雪

を季節ごとに展開。

香り・度数・にごりなどを変え、

日本の四季を酒質で表現

しています。

⑩ 味わい・酒質ポジション

浪乃音酒造の酒質を一言で表すなら、

「柔・甘・旨・切れ」

です。

最高峰では、

フルーティー

上品な甘味

定番酒では、

丸み

旨味

飲み飽きなさ

辛口系では、

旨味を残したキレ

が中心です。

味覚軸評価
吟醸香★★★★★
果実香★★★★☆
甘味★★★★☆
米旨★★★★★
酸★★★★☆
丸み★★★★★
透明感★★★★☆
キレ★★★★★
辛口表現★★★★☆
酒米差表現★★★★★
生酒力★★★★★
冷酒適性★★★★★
常温適性★★★★☆
燗適性★★★★★
食中適性★★★★★
初心者適性★★★★★

酒質定義

「堅田型・柔甘旨切れ食中酒」

です。

⑪ 品質評価・受賞実績

浪乃音酒造の品質評価で重要なのは、

全国新酒鑑評会で継続的に入賞していること

です。

令和3酒造年度

浪乃音=入賞。

令和4酒造年度

浪乃音=入賞。

令和7酒造年度・2026年

浪乃音=入賞。

滋賀県では6点入賞・2点金賞でした。

金井泰一流

公式オンラインストアでは、

過去に鑑評会で複数回金賞を受賞

してきた酒として紹介されています。

品質評価の本質

浪乃音酒造の受賞実績は、

「家族小仕込みでも全国水準の吟醸品質を継続できる」

ことを示します。

一方、

企業価値は鑑評会酒だけではありません。

定番純米、

超辛口、

渡船、

季節酒、

料理専用酒まで、

飲用場面ごとの品質設計

が強みです。

⑫ 地域ブランド・食文化

浪乃音酒造の地域ブランドは、

堅田

琵琶湖

滋賀

比叡山文化圏

の四層です。

1. 堅田

古くから琵琶湖交通の要所。

地域そのものに、

湖とともに暮らす文化

があります。

2. 琵琶湖

「浪乃音」という酒名、

「湖の辺にして」という商品名、

直営料亭から見える湖景。

ブランド全体に琵琶湖が存在

します。

3. 渡船

滋賀県で復活した酒米。

地域農業と酒造

を直接結び付けます。

4. 湖の辺にして

滋賀県産米36種類を使い、

「滋賀を一瓶へ入れる」

という地域表現を行っています。

5. 鰻

堅田・湖国の食文化と相性の良い、

鰻料理

を直営料亭で提供。

そこから「うな純」まで誕生しています。

地域構造

琵琶湖=景観・文化

堅田=歴史

滋賀米=農業

渡船=復活酒米

鰻=料理

浪乃音=酒

です。

⑬ 食中酒・ペアリング戦略

浪乃音酒造は、

料理との関係が非常に強い蔵

です。

最大の証拠が、

直営料亭「余花朗」

です。

八代目蔵元の昭和初期の自邸を改修し、

重森三玲作の日本庭園と琵琶湖を眺めながら、

鰻料理+浪乃音

を楽しむ完全予約制・夏季限定の料亭です。

酒合わせたい料理理由
金井泰一流白身魚上品・華やか
純米大吟醸会席綺麗な甘味
渡船鯉・鮒・川魚米旨
古壺新酒鶏・豚ジューシー
雄町煮物・肉コク
湖の辺にして湖魚料理滋賀性
ええとこどり純米焼魚食中
超辛口天ぷらキレ
火入れ純米湯豆腐燗適性
うな純鰻蒲焼専用設計
月秋の魚穏香
雪鍋ささにごり

「うな純」は、

余花朗の客に、

鰻に合う酒をアンケート

し、1位となった酒を商品化したものです。

食中酒の本質

「酒を造ってから料理を合わせるのではなく、料理から酒を選び直すこともできる蔵」

です。

⑭ 観光・直売・顧客接点

浪乃音酒造は、

大規模観光蔵ではなく、直売・月例イベント・料亭を組み合わせる小規模体験型

です。

直売所

通常営業時間は、

9:00~17:00。

駐車場があります。

はかり売り

毎月、

第4金曜日・土曜日

13:00~16:00

に直売所で実施しています。

その月だけの限定酒、

季節酒、

蔵元・杜氏によるスペシャルブレンド酒などを販売。

毎月蔵へ行く理由

を作っています。

余花朗

酒蔵近くの、

直営料亭。

歴史建築、

日本庭園、

琵琶湖、

鰻、

日本酒を一体で体験できます。

観光類型

「蔵直売+月例限定酒+歴史料亭+琵琶湖回遊型酒蔵」

です。

⑮ 流通・販売戦略

浪乃音酒造の流通は、

直販+EC+専門酒販+料飲

の組み合わせです。

1. 蔵元直売

最も直接的な顧客接点です。

通常商品だけでなく、

はかり売り限定酒

を展開します。

2. 公式EC

浪乃音、

ええとこどり、

季節酒、

リキュール、

奏-SOU-、

酒粕、

雑貨まで販売しています。

3. 限定流通

一部商品は、

オンライン非販売

として酒販店へ誘導。

流通先との関係を維持しています。

4. 直営飲食

余花朗で、

料理と酒を直接販売

します。

5. 小容量商品

うな純300ml等、

料理用途に合わせた小容量

も展開しています。

流通の本質

「定番酒は広く、限定酒は蔵で、料理酒は体験と一緒に売る」

構造です。

⑯ ターゲット

ターゲット適合度理由
大津市民★★★★★地酒
堅田地域★★★★★地域ブランド
滋賀県民★★★★★渡船・滋賀米
日本酒初心者★★★★★柔らか・甘旨
吟醸酒ファン★★★★★金井泰一流
純米大吟醸層★★★★★多酒米
酒米ファン★★★★★渡船・愛山・雄町
生酒ファン★★★★★商品数多い
食中酒層★★★★★ええとこどり
辛口派★★★★★超辛口
燗酒層★★★★★純米火入れ
季節酒ファン★★★★★桜・花火・月・雪
鰻好き★★★★★うな純・余花朗
観光客★★★★☆堅田・琵琶湖
ギフト需要★★★★★高級吟醸
家族蔵志向★★★★★小仕込み

⑰ 競合比較

滋賀県内では、

松瀬酒造
喜多酒造
北島酒造
冨田酒造

などと比較すると位置づけが分かりやすくなります。

項目浪乃音酒造松瀬酒造喜多酒造北島酒造
地域大津・堅田竜王東近江湖南
主銘柄浪乃音松の司喜楽長御代栄・北島
酒造形態家族小仕込み地域米・精密吟醸・食中多様な酒質
地域資産琵琶湖・堅田竜王米東近江湖南
特徴米渡船山田錦等山田錦等滋賀米等
料理接点非常に強い強い強い強い
直営料亭あり―――
季節商品非常に強い強い強い強い
最大差家族×渡船×鰻×小仕込み精密酒質香味バランス自由な商品設計

差別化

浪乃音酒造の最大差は、「酒蔵」「家族」「酒米」「直営料亭」が一つにつながっていることです。

単に滋賀の酒を造るだけでなく、

琵琶湖を眺め、鰻を食べ、その料理に合う酒まで商品化する

という完成度の高い食文化接点を持っています。

⑱ SWOT分析

区分要素評価戦略的意味
Strength1805年創業極めて強い歴史
Strength堅田強い地域性
Strength琵琶湖極めて強い観光・物語
Strength家族小仕込み極めて強い品質
Strength金井泰一流極めて強い技術継承
Strength渡船極めて強い滋賀性
Strength愛山・雄町強い酒米幅
Strength酵母使い分け強い酒質幅
Strengthええとこどり強い日常酒
Strength余花朗最大食体験
Strengthうな純極めて強い独自商品
Strength季節酒強い再購入
Strength全国鑑評会入賞強い品質
Weakness小規模高生産制約
Weakness家族依存高人材継承
Weaknessブランド商品数が多い中理解難度
Weakness大規模観光対応中収容力
Weakness水資産の情報発信中テロワール説明
Opportunity琵琶湖観光最大観光
Opportunity渡船人気大地域酒米
Opportunityガストロノミー最大余花朗
Opportunity生酒需要大商品群
Opportunity酒米比較最大愛山・雄町等
Opportunityインバウンド大琵琶湖・料亭
Threat酒米価格上昇高高級酒
Threat家族経営承継高経営
Threat日本酒市場縮小高国内
Threat多SKU中在庫
Threat観光季節変動中余花朗

⑲ PEST分析

区分外部環境影響対応
Political地方創生追い風堅田
Political酒蔵観光振興追い風直売
Political日本酒輸出支援機会吟醸
Economic酒米価格リスク高付加価値
Economic琵琶湖観光機会余花朗
EconomicEC市場機会全国
Social家族経営志向強いブランド
Social食中酒需要最大ええとこどり
Social酒米比較人気大渡船等
Social体験消費大はかり売り
Technological小型タンク強み精密管理
TechnologicalEC強み全国販売
Technological冷蔵物流重要生酒
Environmental琵琶湖最重要地域ブランド
Environmental気候変動高酒米・醸造

⑳ 4P分析

区分現状評価
Product大吟醸~純米・生酒・季節酒・リキュール★★★★★
Price日常~高級★★★★★
Place蔵元直売・EC・酒販・料亭★★★★★
Promotion歴史・家族・渡船・料理★★★★★

Product

商品構造は、

本醸造
↓
純米
↓
純米吟醸
↓
純米大吟醸
↓
大吟醸
↓
無濾過生原酒
↓
酒米別
↓
季節酒
↓
リキュール
↓
発酵飲料

まで広がります。

Price

720mlで、

日常酒は1,000円台、

高級純米大吟醸は2,000~3,000円台、

最高峰「金井泰一流」は4,400円。

価格階層が分かりやすい

構造です。

Place

蔵元直売

公式EC

酒販店

余花朗

を組み合わせます。

Promotion

最大の訴求資産は、

1805年

家族小仕込み

金井泰一流

渡船

琵琶湖

余花朗

です。

㉒ ブランドコピー・見せ方

メインコピー

琵琶湖のほとりで、くつろぎを醸す。

企業思想型

古い壺に、新しい酒を。

家族型

家族で仕込み、家族で守る。

金井泰一流型

受け継いだ技を、一滴へ。

渡船型

滋賀で甦った米を、堅田で酒へ。

食中酒型

料理の隣で、ちょうどいい。

余花朗型

湖を眺め、鰻を食べ、浪乃音を呑む。

季節型

春は桜、夏は花火、秋は月、冬は雪。

海外型

NAMINOOTO — Sake brewed by the shores of Lake Biwa.

㉓ この酒蔵をどう見せるべきか

① 最大のブランド資産

「浪乃音」という名前

です。

湖の波音、

琵琶湖、

堅田という土地が一語でつながります。

② 最大の思想資産

古壺新酒

です。

老舗と革新を同時に説明できます。

③ 最大の技術資産

金井泰一流

です。

能登杜氏から三兄弟へ受け継いだ吟醸技術の象徴です。

④ 最大の地域原料資産

渡船

です。

滋賀県で復活した酒米を純米大吟醸として表現しています。

⑤ 最大の日常酒資産

ええとこどり

です。

純米・超辛口・純米吟醸まで、

食卓で使える価格と酒質を持ちます。

⑥ 最大の食文化資産

余花朗

です。

酒だけでは作れない、

「琵琶湖を眺めながら食べて呑む」

体験を持っています。

⑦ 最新の品質証明

2026年全国新酒鑑評会「浪乃音」入賞

です。

㉔ 最終評価

評価軸評価コメント
歴史性5.0/51805年
家族継承5.0/5十代目・三兄弟
地域性5.0/5堅田・琵琶湖
ブランド名5.0/5土地と直結
企業理念5.0/5古壺新酒
小仕込み5.0/5小型タンク
吟醸技術5.0/5金井泰一流
山田錦活用5.0/535%・50%
滋賀酒米5.0/5渡船
酒米多様性5.0/5愛山・雄町等
酵母使い分け5.0/51401・901
生酒力5.0/5多数
定番純米力5.0/5ええとこどり
辛口力5.0/5超辛口
食中酒力5.0/5最大強み
燗酒力4.9/5純米火入れ
季節商品5.0/5桜・花火・月・雪
直売力5.0/5はかり売り
D2C5.0/5EC
料理連携5.0/5余花朗
観光潜在力5.0/5琵琶湖
国内評価4.9/5全国入賞
独自商品5.0/5うな純・36品種
独自性5.0/5家族×湖×料理
成長可能性5.0/5観光・食・酒米
総合競争力5.0/5複合資産が強い

㉖ 最終結論

浪乃音酒造株式会社は、滋賀県大津市本堅田1丁目7-16、琵琶湖西岸の堅田に蔵を構える、文化2年・1805年創業の酒蔵です。

現在は、

十代目蔵元・中井孝氏

が代表を務めています。

代表銘柄、

「浪乃音」

は、

比叡山の高僧によって命名されたと伝えられています。

そして、

蔵の理念は、

「古壺新酒」

です。

古い壺へ新しい酒を入れる。

伝統を残しながら、新しいものを生み出す。

この考え方が、

浪乃音酒造全体を最も正確に表しています。

酒造りの最大の特徴は、

小仕込み。

蔵にあるタンクは小型中心。

大量に仕込むのではなく、

自分たちが十分に管理できる量

を丁寧に造ります。

そして、

浪乃音を現在の吟醸蔵へ変えた重要人物が、

能登杜氏・金井泰一氏

です。

九代目蔵元が急逝した後、

酒造りを担うことになった三兄弟は、

吟醸酒を造るため金井氏へ指導を依頼。

金井氏は、

兄弟3人で学ぶこと

を条件に技術を伝えました。

その技術継承を象徴する酒が、

「大吟醸 金井泰一流」

です。

山田錦を、

35%

まで磨き、

フルーティーで、

上品な甘味を持つ、

浪乃音最高峰

の商品です。

一方、

浪乃音酒造の価値は、

高級吟醸酒だけではありません。

「ええとこどり」

では、

純米酒、

超辛口、

純米吟醸、

純米大吟醸を展開。

定番純米火入れは、

料理を選ばない食中酒

として、

冷やだけでなく、

燗

にも対応します。

さらに原料米では、

渡船

が重要です。

滋賀県で復活した日本古来の酒米で、

純米大吟醸では100%使用。

精米50%。

優しい甘味

深い米旨

を引き出します。

加えて、

愛山

雄町

まで使い、

酒米ごとの味を作り分けます。

愛山ではジューシーさ。

雄町では芳醇なコク。

山田錦では上品さ。

渡船では米旨。

酒米そのものを商品設計へ変換する蔵

でもあります。

そして現在、

最も個性的な地域商品が、

「湖の辺にして ALMOST SHIGA」

です。

使用するのは、

滋賀県の米36種類。

一つの最高級酒米を選ぶのではなく、

滋賀の多様な米を一つの酒へまとめる。

「滋賀そのものを酒にする」

という非常に象徴性の高い商品です。

さらに、

浪乃音酒造には、

直営料亭「余花朗」

があります。

八代目蔵元の昭和初期の自邸を改修した木造建築。

庭は、

重森三玲

が手掛けた日本庭園。

その庭越しに琵琶湖を眺めながら、

鰻料理と浪乃音

を楽しめます。

ここから生まれたのが、

「うな純」

です。

余花朗の客に、

「どの酒が鰻に最も合うか」

を聞き、

1位の酒を商品化しました。

これは浪乃音酒造の企業分析で非常に重要です。

酒造りだけで完結していません。

酒を造る。

料理と合わせる。

実際の客に飲んでもらう。

その反応を商品へ戻す。

という循環があります。

さらに、

毎月第4金曜日・土曜日には、

はかり売り

を実施。

限定酒、

季節酒、

蔵元・杜氏のスペシャルブレンドを販売します。

ECだけではなく、

「毎月蔵へ来てもらう仕組み」

を持っていることも強みです。

そして2026年、

令和7酒造年度全国新酒鑑評会では、

「浪乃音」=入賞。

滋賀県で入賞した6点の一つとなりました。

したがって浪乃音酒造を最も正確に定義するなら、

「文化2年・1805年創業。滋賀県大津市本堅田、琵琶湖西岸で十代目・中井孝氏を中心に家族で小仕込みを続ける酒蔵。九代目急逝後、三兄弟が能登杜氏・金井泰一氏から吟醸技術を学び、山田錦35%精米の最高峰『金井泰一流』へ継承。滋賀県復活酒米『渡船』、愛山、雄町、酵母1401・901、滋賀県産36品種米を使う『湖の辺にして』など、酒米と酵母による多様な酒質表現を行いながら、定番『ええとこどり』では食中・燗酒、直営料亭『余花朗』では琵琶湖を眺めながら鰻とのペアリング、さらに客の投票から『うな純』を開発。2026年全国新酒鑑評会でも入賞した、“琵琶湖堅田型・家族小仕込み型・能登杜氏技術継承型・酒米多様性型・料理直結型酒蔵”」

です。

滋賀県の主要酒蔵と比較すると、

松瀬酒造=地域米と精密な酒質設計で「松の司」を磨く酒蔵

喜多酒造=「喜楽長」を中心に香味と食中性を追求する東近江の酒蔵

北島酒造=地域性と多様な商品開発を展開する湖南の酒蔵

に対して、

浪乃音酒造=「琵琶湖西岸・堅田で、三兄弟を中心とする家族小仕込みと能登杜氏の技術を継承し、渡船・愛山・雄町などの酒米表現から、四季酒、月例限定酒、直営料亭での鰻ペアリングまで、“酒を飲む時間そのものをくつろぎへ変える”ことを追求する酒蔵」

という、滋賀県内でも非常に明確な独自ポジションを持っています。

浪乃音酒造のテロワールを味わう👇

イメージ 酒蔵 説明 リンク
1
浪乃音酒造

琵琶湖畔・堅田で「浪乃音」を小仕込みする、1805年創業の家族蔵。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です