LAGOON BREWERY(酒蔵企業分析)
福島潟のほとりから、多様な「SAKE」を届ける小さな醸造所
所在地:新潟県新潟市北区|代表銘柄:翔空|創業:2021年
公開情報確認日:2026年10月20日
公式サイト、公式通販、大会主催者、公的機関等の公開情報に基づく。経営・市場に関する評価は分析であり、非公開の財務情報は含まない。
① 導入・一行定義
福島潟のほとりで、米麹と多彩な素材から新しいSAKEを醸す小さな酒蔵。
② 結論・企業ポジション
LAGOON BREWERYは、日本酒の醸造技術を土台に、味の選択肢を広げるクラフトSAKEの醸造所である。
国内向けの中心は、米・米麹にホップや果実などを組み合わせる「その他の醸造酒」。輸出用の日本酒も手がける。清酒とクラフトSAKEを区別して理解することが、この企業を知る出発点になる。
③ 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | LAGOON BREWERY合同会社 |
| 読み | ラグーン ブリュワリー |
| 所在地 | 〒950-3324 新潟県新潟市北区前新田乙576−1 |
| 設立 | 2021年 |
| 醸造開始 | 2021年12月 |
| 代表 | 田中洋介 |
| CTO | 尾﨑雅博 |
| 代表銘柄 | 翔空〈しょうくう〉 |
| 主な事業 | クラフトSAKE・輸出用日本酒の製造、Shop & Cafe運営 |
| 電話 | 025-250-0069 |
| 問い合わせ | info@lagoon-brewery.com |
| 公式サイト | https://www.lagoon-brewery.com/ |
会社概要は公式掲載、電話番号は新潟県酒造組合の紹介に基づく。
④ 歴史・企業形成
| 年月 | 主な歩み |
|---|---|
| 2021年 | 会社設立、新規に酒類製造免許を取得 |
| 2021年12月 | SAKEの醸造を開始 |
| 2022年 | 創業資金と事業への共感を募るクラウドファンディングを実施 |
| 2022年4月 | Shop & Cafeを開業 |
創業の背景には、輸出向け清酒と国内向けクラフトSAKEを組み合わせ、新規参入の可能性を示そうとする考えがある。
⑤ ブランド構造
醸造所名が企業の姿勢を、銘柄名が商品の世界観を伝える。
| 名称 | 役割 |
|---|---|
| LAGOON BREWERY | 福島潟のほとりにある醸造所・企業 |
| 翔空 | 多様なSAKEを展開する代表銘柄 |
| ほっぺ・森のSAKE・酔いどれシリーズ | 素材と味の違いを伝える商品名 |
| レゾネコ | 他の生産者と共につくるコラボレーション商品 |
「翔空」には、潟で育まれた多様なSAKEが、渡り鳥のように各地へ羽ばたく思いが込められている。
⑥ 水・風土・テロワール
地域性の中心は、福島潟の景観と、新潟の米・果実・植物。
福島潟は醸造所の立地とブランド思想の背景となる。商品では新潟市北区産の五百万石・こしいぶき、栃尾地区のクロモジなど、素材の産地との関係が確認できる。
福島潟の水を直接仕込みに使うという意味ではなく、仕込み水の具体的な水源は今回の確認範囲では特定できない。
⑦ 独自技術・酒造技術
米麹を自らつくり、米と副原料を発酵させて味を設計する。
「HOP SAKE ほっぺ」は、ホップを醪に加え、黄麹と白麹を組み合わせる商品。米由来の味に、柑橘を思わせる香りや酸を重ねる。
搾るタイプとどぶろくタイプも展開し、素材・麹・酵母・搾りの違いを商品にする。完成した酒に風味を付けるだけではない、発酵段階からの設計が特徴である。
⑧ 原料・酒米戦略
酒造好適米だけでなく、食用米や自然栽培米も商品に合わせて使う。
公開商品では、五百万石・こしいぶき・亀の尾・コシヒカリなどを使用。新潟市北区産を使う商品がある一方、メロンの商品では千葉県産の米と果実も組み合わせる。
全商品が新潟県産原料、自然栽培米、自社栽培米という構成ではない。素材ごとの由来が商品価値になる。
⑨ 商品・商品戦略
素材名と味の想像しやすさを、商品選びの入口にする。
| 主な商品 | 特徴・役割 |
|---|---|
| 翔空 HOP SAKE ほっぺ | ホップ由来の柑橘感と瑞々しさ |
| 翔空 森のSAKE クロモジ | 和ハーブの香りと上品な甘み |
| 翔空 酔いどれブドウ | 巨峰と米を発酵させた果実感 |
| 翔空 酔いどれメロン | メロンを使うどぶろく |
| 翔空 自然栽培亀の尾どぶろく | 米と米麹によるシンプルな構成 |
| レゾネコ 梅と茶 | 梅酒製造後の梅と茶殻を使うコラボ酒 |
季節・原料・仕込みによって商品が入れ替わる。過去の商品、限定商品、現在の在庫は分けて確認する必要がある。
⑩ 味わい・酒質設計
甘辛の一軸ではなく、香り・酸・苦み・果実味で選ぶブランド。
| 商品の軸 | 味わいの方向 |
|---|---|
| ホップ | 柑橘を思わせる香り、瑞々しさ |
| クロモジ | 爽やかな植物香、上品な甘み |
| ブドウ | 果実感、甘み、ほのかな渋み |
| メロン | 芳醇な香りと濁りの飲みごたえ |
| 梅と茶 | 梅の風味と茶の余韻、食事との調和 |
同じ「翔空」でも香味や度数は異なる。日本酒度だけで判断せず、使う素材と商品の説明から選びたい。
⑪ 受賞・品質評価
「HOP SAKE ほっぺ」が、Tokyo Sake Challenge 2025で金賞を受賞。
主催者の受賞一覧では、GOLD Resultsの「Doburoku」欄に、LAGOON BREWERYの「HOP SAKE “Hoppe”」を掲載している。
大会の出品区分と、現在販売される商品の搾り方・酒税上の区分は別の情報。受賞は当該出品酒の評価として捉えたい。
⑫ 地域ブランド
新潟の米、果実、森林資源、他の生産者との関係を酒にする。
「レゾネコ 梅と茶」は、麒麟山酒造の梅酒製造後の梅と、冨士美園の茶殻を米とともに発酵させた商品。
地域素材を使うだけでなく、役割を終えた素材に新しい用途をつくる点が特徴である。持続可能性への考えを、具体的な商品として示している。
⑬ 人・組織・継承
酒蔵経営の経験と醸造技術を持つ人材が、小さな組織で事業をつくる。
代表は田中洋介、CTOは尾﨑雅博。創業者の発信では、田中が今代司酒造の社長を退任し、独立した経緯を説明している。
継承上の論点は、代々の家業の承継よりも、商品開発・醸造・販売・見学対応の知識を組織に蓄積すること。現在の従業員数は確認できない。
⑭ 観光・酒蔵ツーリズム
窓越しの見学と、予約による内部見学を用意する。
| 項目 | 公式案内 |
|---|---|
| Shop & Cafe | 10:00〜17:00 |
| 定休日 | 月曜。祝日の場合は翌日休み |
| 窓越しの見学 | 営業中、発酵室の様子を自由に見られる |
| 内部見学 | 代表による案内、約1時間 |
| 一般料金 | 1人3,800円。試飲と販売中のSAKE1本を含む |
| 予約 | 約1週間前までにメール相談。2か月先まで受付 |
内部見学には衛生・香りなどの入場条件がある。日程は調整が必要。サブスク継続者の特典は、同行者条件を含め予約時に確認したい。
⑮ 流通・販売
酒販店・直売・通販・定期便・輸出を組み合わせる。
公式に県内外の取扱店を案内し、併設Shopとオンラインショップでも販売する。通販の案内では、発売直後の商品を扱わない場合があるとしている。
長岡大学の2026年10月の講演報告では、世界15の国と地域への輸出を紹介。輸出数量や売上比率までは確認できない。
⑯ 事業構造
小規模醸造を核に、物販・飲食・体験・定期便・受託製造を重ねる事業。
酒類販売に加え、Shop & Cafe、酒蔵見学、サブスクリプションを展開。公式会社案内ではOEM・PBの製造も受け付ける。
分析上は、一本の販売から来店・体験・継続購入へ関係を深められる構造。売上高、利益、生産量、事業別収益は確認できない。
⑰ 競合比較
清酒蔵との比較では、酒の区分と商品開発の自由度をそろえて見る必要がある。
| 比較軸 | LAGOON BREWERYの特徴 |
|---|---|
| 一般的な清酒蔵との違い | 国内向けの中心がクラフトSAKE |
| 他のクラフトサケ醸造所との共通点 | 米と清酒製造技術を土台に、副原料などで味を広げる |
| 立地上の特徴 | 福島潟の景観とShop & Cafeを組み合わせる |
| 販売上の特徴 | 酒販店、直売、通販、定期便、輸出を持つ |
競争相手は日本酒だけでなく、ワインやクラフトビールなど、香味と体験で選ばれる酒にも広がると分析できる。
⑱ 経営課題・成長余地
以下は事業特性に基づく分析である。
⑲ SWOT分析
| 区分 | 分析 |
|---|---|
| 強み〈S〉 | 醸造経験、多様な素材の商品化、福島潟の立地、体験施設、定期便、輸出接点 |
| 弱み〈W〉 | 小規模体制で開発・製造・接客を担う負担。清酒との違いを説明する必要がある |
| 機会〈O〉 | 新しい香味への関心、地域素材の再活用、飲食店との連携、体験観光 |
| 脅威〈T〉 | 原料・物流費、果実等の収量変動、品質管理、人材確保、類似商品の増加 |
弱み・機会・脅威は分析上の論点であり、実際の業績悪化を示すものではない。
⑳ PEST分析
| 外部環境 | LAGOON BREWERYとの関係 |
|---|---|
| 政治・制度〈P〉 | 清酒・その他の醸造酒・輸出用免許の条件が、製造と販売の範囲に関わる |
| 経済〈E〉 | 米・果実・ホップ・包装・配送費と、小ロット生産の費用が採算に影響する |
| 社会〈S〉 | 多様な味、地域性、生産者、素材の再活用が選択理由になる |
| 技術〈T〉 | 麹・酵母・副原料の発酵管理と、通販・定期便の運用が事業を支える |
クラフトサケは清酒と同じ意味ではなく、商品ごとの区分と表示を確認する必要がある。
㉑ 4P分析
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品〈Product〉 | 翔空のクラフトSAKE、どぶろく、コラボ酒、輸出用日本酒 |
| 価格〈Price〉 | 公式通販掲載例:ほっぺ720ml・2,420円、クロモジ500ml・2,310円、レゾネコ720ml・2,420円 |
| 販路〈Place〉 | 取扱酒販店、Shop、公式通販、定期便、海外 |
| 販促〈Promotion〉 | 素材と発酵の説明、試飲・見学、SNS、協業、受賞実績 |
価格は確認時点の掲載額。定期便は1回4,180円を基本とし、2026年10月11日〜12月10日対象分は、通常の2本構成から「5周年記念酒1本+記念グラス」へ変更する案内がある。
㉒ ターゲット
相性がよい飲み手
- 日本酒の技術を使った新しい味を試したい人
- 果実・ホップ・ハーブの香りが好きな人
- 素材や生産者の背景に関心がある人
- 福島潟の散策と試飲・カフェを楽しみたい人
米と米麹だけの清酒を求める場合は、国内向け商品の区分と原材料を確かめたい。商品ごとの香味差が大きいため、好みの素材から選ぶと分かりやすい。
㉓ ブランドコピー・見せ方
潟のほとりから、SAKEの空を広げる。
米麹に、果実に、ホップに。発酵がつなぐ、新しいおいしさ。
福島潟の多様性を背景に、一本ごとの素材と発酵の違いを楽しむブランドである。
㉔ この酒蔵をどう見せるべきか・最終評価
㉕ 総括
LAGOON BREWERYは、2021年に福島潟のほとりで創業した醸造所である。
米と米麹を軸に、ホップ、果実、植物などを発酵させ、多様な味を生み出す。商品販売に、カフェ、見学、定期便、輸出を組み合わせ、小さな酒蔵から国内外へ接点を広げている。
㉖ 最終結論
LAGOON BREWERYは、米麹の可能性を、新しい素材と体験で伝える酒蔵である。
最初の一本は、代表商品の「HOP SAKE ほっぺ」が選びやすい。植物の香りならクロモジ、果実感なら酔いどれシリーズ、素材の再活用に関心があればレゾネコ。好きな香りから選ぶことが、この蔵を楽しむ入口になる。
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福島潟のほとりで、米麹と多彩な素材を醸す、小さなクラフトサケ蔵。 |

