静岡喜平酒造(酒蔵企業分析)

目次(Table of Contents)

― 明治期の掛川に始まる平喜の酒造史を受け継ぎ、2012年に安倍川河畔で酒造りを復活。南アルプス・安倍川水系の軟水伏流水、静岡酵母、誉富士・山田錦・五百万石・雄町を、小仕込み・低温長期発酵・徹底した温度管理で「喜平 静岡蔵」へ変え、全量純米・県内99%消費という地域集中戦略で2026年全国新酒鑑評会金賞まで到達した、“安倍川伏流水型・全量純米型・静岡吟醸型・地域深耕型酒蔵” ―

※正式社名は静岡平喜酒造株式会社、代表銘柄は**「喜平 静岡蔵」です。所在地は静岡県静岡市駿河区丸子新田1-1**。代表取締役社長・自社杜氏は戸塚堅二郎氏です。会社設立は2011年9月7日、酒造免許取得は2012年11月1日です。


① 導入・一行定義

静岡県静岡市駿河区丸子新田1-1。

安倍川の河畔、駿河大橋近くに蔵を構える酒蔵が、

静岡平喜酒造株式会社

です。

現在の酒蔵自体は2011年設立・2012年醸造開始と新しい一方、その背景には明治初期に掛川で米穀商「平島屋」として始まり、その後酒造業へ進出した平喜の歴史があります。戦後の事業整理を経て静岡での酒造を停止し、1967年には酒造機能を岡山へ集約しましたが、酒類卸として静岡の酒文化との関係を維持し、2012年に安倍川の麓で酒造を復活させました。

現在の代表銘柄は、

「喜平 静岡蔵謹醸」

です。

酒質を支える中核資産は、

安倍川伏流水
+
静岡酵母
+
全量純米
+
小仕込み
+
低温長期発酵
+
最新温度管理設備

です。

一行定義

「南アルプス・安倍川水系の軟水伏流水と、山田錦・誉富士・五百万石・雄町を静岡酵母で醸し、全量純米・小仕込み・低温長期発酵によって、バナナやメロンを思わせる静岡吟醸香、柔らかな米旨、きれいな酸、後切れの良さを備えた『喜平 静岡蔵』を、静岡県内中心に届ける、“安倍川伏流水型・全量純米型・静岡吟醸型・地域深耕型酒蔵”」


② 結論・企業ポジション

静岡平喜酒造最大の企業価値は、

「新しい小規模蔵でありながら、静岡県内最高水準の醸造評価へ短期間で到達したこと」

です。

初年度の生産規模は約100石。公式は全国でも最小規模の一つと説明しています。一方で、空調設備やサーマルタンク等を導入し、出荷量に対して余裕のある設備環境で品質を優先する「謹醸」を掲げています。

その成果として2026年・令和7酒造年度全国新酒鑑評会では、

「喜平 静岡蔵」=金賞

を受賞。

静岡県では7場が入賞し、そのうち4場が金賞でしたが、静岡平喜酒造はその一つに入りました。

さらに2025年の静岡県清酒鑑評会では純米吟醸酒の部、2026年は吟醸酒の部で、

2年連続・県知事賞

を獲得しています。

評価軸内容
正式社名静岡平喜酒造株式会社
所在地静岡県静岡市駿河区丸子新田1-1
設立2011年9月7日
酒造免許2012年11月1日
代表取締役戸塚堅二郎
杜氏戸塚堅二郎
主力ブランド喜平 静岡蔵
原料方針全量純米
水安倍川伏流水
水質軟水
主要酒米山田錦・誉富士・五百万石・雄町
酵母静岡酵母
主要製法小仕込み・低温長期発酵
生産起点初年度約100石
基本酒質爽やか・柔らか・米旨・キレ
高級酒純米大吟醸 山田錦「あお」「あか」
地域酒特別純米 誉富士
定番酒純米酒 五百万石
個性酒純米酒 雄町
2026全国新酒鑑評会金賞
2026静岡県鑑評会吟醸酒部門 知事賞
2025静岡県鑑評会純米吟醸酒部門 知事賞
SAKE COMPETITION 2026赤・青ともBRONZE
主市場静岡県
県内消費比率約99%
本質小規模高品質・地域集中型酒蔵

③ 基本情報

項目内容
社名静岡平喜酒造株式会社
所在地〒421-0111 静岡県静岡市駿河区丸子新田1-1
TEL054-259-0758
FAX054-685-1558
代表取締役社長戸塚堅二郎
杜氏戸塚堅二郎
設立日2011年9月7日
酒造免許取得2012年11月1日
代表銘柄喜平 静岡蔵謹醸
主製品純米大吟醸・純米吟醸・特別純米・純米酒
醸造アルコール使用しない
主な酵母静岡酵母
主な仕込み水安倍川伏流水
グループ平喜グループ
関連株式会社平喜・平喜酒造・平喜屋等

公式会社概要および静岡県酒造組合はいずれも戸塚堅二郎氏を代表者・杜氏として掲載しています。


④ 歴史・企業沿革

1. 明治初頭 ― 平島屋

平喜の歴史は、静岡県掛川で米穀商、

「平島屋」

を営んだことに始まります。

駿河・遠江・三河へ商圏を広げ、その後、掛川市仁藤町で酒造業へ進出しました。


2. 静岡でも酒造

掛川だけでなく静岡市内にも製造拠点を持つようになります。

一方、当時の設備では温暖な静岡で安定した酒造りを行うことは容易ではなく、製造拠点の分散も課題となりました。


3. 酒類問屋へ

戦後の事業整理により静岡での酒造を断念し、酒造免許を返上。

一方で酒類問屋として、

静岡の酒と食文化に関与し続けました。


4. 1967年 岡山へ酒造を集約

昭和42年、酒造機能を酒米産地でもある岡山県へ集約。

岡山の平喜酒造では、

  • 喜平
  • 新婚
  • 将軍

などを展開します。


5. 2011年 静岡平喜酒造設立

2011年9月7日、

静岡平喜酒造株式会社

を設立。


6. 2012年 酒造復活

2012年11月1日に酒造免許を取得。

安倍川伏流水と現代的温度管理技術を活用し、

約半世紀ぶりに静岡で酒造りを復活

させました。


7. 現在

現在は、静岡県での歴史と岡山で蓄積された酒造技術を再接続し、

「静岡で造る喜平」

を明確にするため「喜平 静岡蔵謹醸」を展開しています。


⑤ 自然環境・水・テロワール

静岡平喜酒造の最大の自然資産は、

安倍川の伏流水

です。

安倍川は南アルプスを水源とし、静岡市を南下して駿河湾へ流れる一級河川。

蔵では地下から汲み上げる伏流水を仕込みに使用しています。公式はこの水を、

「きれいな軟水」

と説明しています。


軟水と酒質

軟水は発酵が急激に進みにくいため、

低温発酵
+
静岡酵母

との相性が良く、

穏やかな発酵
↓
雑味を抑える
↓
柔らかな口当たり
↓
上品な吟醸香

へつながります。


安倍川と静岡市

安倍川は徳川家康による駿府城整備とも関係し、物資輸送・生活用水・地域発展を支えた河川です。現在の酒蔵はその安倍川に近接しており、水そのものが酒蔵立地の決定要因でした。

テロワール構造

南アルプス
↓
安倍川
↓
地下伏流水
↓
軟水
↓
静岡酵母
↓
誉富士・山田錦等
↓
喜平 静岡蔵

です。

本質

「静岡の水で、静岡らしい爽やかな酒を造る」

ことが地域性の中心です。


⑥ 原料米・農業戦略

静岡平喜酒造は、

「山田錦・誉富士・五百万石・雄町」

を酒質別に使い分けています。

米主商品役割
山田錦純米大吟醸・純米吟醸高級・吟醸
誉富士特別純米静岡テロワール
五百万石純米・しぼりたて定番・軽快
雄町純米・ひやおろし甘味・膨らみ

山田錦

兵庫県産山田錦を、

  • 純米大吟醸=40%
  • 純米吟醸=50%

まで精米。

静岡吟醸らしい、

バナナ
メロン
果実香

を伴う高級酒へ仕上げています。


誉富士

特別純米酒では、

静岡県産「誉富士」100%

を使用。

精米60%。

静岡酵母による香りと、誉富士の旨味・酸を組み合わせた商品です。

静岡平喜酒造にとって、最も「静岡県の地酒」という意味を持たせやすい商品です。


五百万石

創業初年度から造り続ける定番純米酒。

精米60%で、

軽い
すっきり
食中向き

という酒質を担います。


雄町

雄町では、

柔らかな甘味
膨らみ
熟成による円熟

を表現します。

限定酒では総米200kg単位の小仕込みを行っています。

原料戦略の本質

山田錦=技術・格

誉富士=静岡

五百万石=定番

雄町=個性

です。


⑦ 酒造技術・製造思想

静岡平喜酒造の技術思想を端的に表す言葉が、

「謹醸」

です。

公式では、小規模ゆえに管理が行き届く環境と、温度・湿度管理設備を組み合わせ、少量を丁寧に造る姿勢を「謹醸」と表現しています。


1. 全量純米

静岡平喜酒造では、

醸造アルコールを添加しません。

したがって商品はすべて純米系です。


2. 約100石から始めた小規模蔵

初年度の生産量は約100石。

量産ではなく、

品質管理を優先できるサイズ

から始まりました。


3. 小仕込み

限定雄町では、

総米200kg単位

という小仕込みを採用。

温度・米の溶け方・発酵状態を細かく管理します。


4. 麹造り

現在の戸塚杜氏は、

雑味を抑えながら米の味を適度に引き出す麹

を重視しています。

酒蔵取材でも、高品質な酒には麹造りが不可欠と説明しています。


5. 低温長期発酵

酒質設計の中心は、

低温長期発酵

です。

静岡酵母の香りを引き出しながら、雑味を抑える方向で醪を管理します。


6. 空調・サーマルタンク

温暖な静岡でも安定した酒造りを可能にしたのが、

  • 空調
  • サーマルタンク
  • 温度管理設備

です。

技術 → 酒質

安倍川軟水
+
純米
+
静岡酵母
+
麹管理
+
小仕込み
+
低温長期発酵
↓
果実香
↓
柔らかな入口
↓
米旨
↓
爽やかな酸
↓
きれいな後切れ

となります。


⑧ ブランド構造

静岡平喜酒造は、

「喜平 静岡蔵」に集中する単一ブランド型

です。

シリーズ役割ターゲット
純米大吟醸 あお高級・辛口寄り吟醸ファン
純米大吟醸 あか高級・甘口寄り初心者・贈答
純米吟醸 山田錦中上位食中・吟醸
特別純米 誉富士地域酒静岡地酒層
純米 五百万石定番晩酌
純米 雄町個性酒米ファン
しぼりたて季節酒フレッシュ酒層
ひやおろし秋酒熟成酒層

ブランド構造の本質

ブランドを増やすのではなく、

「喜平 静岡蔵」内部で米・味・季節を変える

構造です。

これは小規模蔵として合理的です。


⑨ 商品ポートフォリオ

1. 喜平 静岡蔵 純米大吟醸 山田錦「あお」

  • 山田錦100%
  • 精米40%
  • 静岡吟醸系酒質

バナナ・メロンを思わせる香りを持ちながら、後口はすっきり。

2026年酒蔵取材では静岡酵母HD101使用と紹介されています。


2. 純米大吟醸 山田錦「あか」

同じ山田錦40%ながら、

甘い飲み口

へ寄せた純米大吟醸。

日本酒を日常的に飲まない層にも入りやすい酒質です。


3. 純米吟醸 山田錦

  • 山田錦100%
  • 精米50%
  • 日本酒度+3
  • 酸度1.4

華やかな果実香と、後切れのよい上品な味わいです。


4. 特別純米 誉富士

  • 誉富士100%
  • 精米60%
  • 日本酒度+3
  • 酸度1.3

静岡の米・酵母・水を強く打ち出せる中核地域商品です。


5. 純米酒 五百万石

  • 五百万石100%
  • 精米60%
  • 日本酒度+4
  • 酸度1.4

創業当初から続く定番。

軽快ですっきりした食中酒です。


6. 純米酒 雄町

  • 雄町100%
  • 精米60%
  • 日本酒度+3
  • 酸度1.4

五百万石よりも、

甘味
膨らみ
柔らかさ

を感じやすい設計です。


7. 純米しぼりたて

五百万石を使用した季節酒。

新酒特有の、

フレッシュ
華やか
淡麗

を楽しむ商品です。


8. 純米ひやおろし

雄町を一夏熟成。

雄町の膨らみと甘味を、熟成によって丸くした秋酒です。

商品分類米精米主な酒質
純米大吟醸 あお純大山田錦40%華やか・すっきり
純米大吟醸 あか純大山田錦40%果実・甘口
純米吟醸純吟山田錦50%果実・上品
特別純米特純誉富士60%旨味・酸
純米純米五百万石60%軽快・食中
純米 雄町純米雄町60%柔甘・膨らみ
しぼりたて純米五百万石60%新鮮
ひやおろし純米雄町60%円熟

⑩ 味わい・酒質ポジション

喜平 静岡蔵の基本酒質は、

「爽香・柔旨・後切れ型」

です。

酒蔵自身が、

静岡の食文化や自然を想起させる爽やかな酒質

を目標に掲げています。

静岡酵母の香りを活かしながら、香りだけで飲ませるのではなく、

米旨
+
酸
+
キレ

を残します。

味覚軸評価
香り★★★★☆
甘味★★★☆☆
酸★★★★☆
旨味★★★★☆
柔らかさ★★★★★
透明感★★★★★
コク★★★☆☆
キレ★★★★★
軽快感★★★★★
フレッシュ感★★★★★
食中適性★★★★★
酒米表現力★★★★☆

酒質定義

「安倍川軟水・爽香柔旨食中型」

です。


⑪ 品質評価・受賞実績

全国新酒鑑評会

静岡県酒造組合の蔵別記録では、

  • 2019年 金賞
  • 2021年 金賞
  • 2024年 入賞
  • 2026年 金賞

などの実績が確認できます。

最新の2026年・令和7酒造年度では、

喜平 静岡蔵=金賞

です。


静岡県清酒鑑評会 2025

純米吟醸酒の部で、

喜平 静岡蔵 純米大吟醸=県知事賞

です。


静岡県清酒鑑評会 2026

吟醸酒部門で、

静岡平喜酒造=県知事賞

となりました。

2025年とは異なる部門で最高評価を獲得していることが重要です。


SAKE COMPETITION 2025

「喜平 静岡蔵 純米大吟醸 赤」が上位酒に残っています。


SAKE COMPETITION 2026

純米大吟醸部門で、

「赤」=BRONZE

「青」=BRONZE

を同時受賞。

両商品とも339点中の予審を通過し、決審へ進んだうえで受賞しています。

品質評価の本質

「小規模新蔵だから品質が発展途上」ではなく、すでに静岡県内トップ層の技術評価を持つ酒蔵

と見るべきです。


⑫ 地域ブランド・食文化

1. 自然

静岡平喜酒造の地域資産は、

  • 南アルプス
  • 安倍川
  • 駿河湾
  • 温暖な静岡
  • 海産物

です。


2. 水

酒蔵のすぐ近くを安倍川が流れ、

南アルプス水系の伏流水

を使用します。


3. 酒米

誉富士は静岡県が育成した酒造好適米。

「静岡の水+静岡の米+静岡酵母」という地域完結性を最も作りやすい原料です。


4. 海

酒蔵から安倍川を下ると、

用宗漁港

があります。

用宗は生しらすで知られ、近年は温泉・ブルワリー・飲食店・カフェなども増えています。


5. 地域食

相性が高いのは、

  • 生しらす
  • 太刀魚
  • 桜えび
  • マグロ
  • 白身魚
  • 静岡おでん
  • 茶
  • わさび
  • 海鮮料理

です。


6. 地域構造

南アルプス=水

安倍川=伏流水

誉富士=米

静岡酵母=香り

用宗=海

喜平=酒

となります。


⑬ 食中酒・ペアリング戦略

酒料理理由
純大 あお生しらす吟醸香+透明感
純大 あお太刀魚刺身爽やか・キレ
純大 あか白身魚・前菜甘味・果実
純吟 山田錦刺身上品・後切れ
特純 誉富士静岡おでん米旨・酸
純米 五百万石焼魚軽快・食中
純米 雄町煮魚・肉膨らみ
しぼりたて生魚・貝新鮮
ひやおろし秋魚・きのこ熟成旨

2026年の酒蔵取材では、「純米大吟醸 青」に対して、

生しらす・太刀魚の刺身・塩焼き

が具体的に推奨されています。

食中酒の本質

「静岡吟醸を、駿河湾の魚と飲む」

ことが、最も自然なブランド体験です。


⑭ 観光・直売・顧客接点

静岡平喜酒造は、

大規模観光酒蔵型ではありません。

国税庁の酒蔵マップでも常設見学施設・売店型としては掲載されておらず、観光施設化よりも製造・県内流通に軸足を置く酒蔵です。

一方で周辺には、

  • 安倍川
  • 用宗漁港
  • 用宗みなと温泉
  • 用宗周辺飲食店
  • 静岡市中心部
  • 丸子宿

などがあります。

酒蔵単独で長時間滞在させるより、

「酒+用宗の海鮮+静岡市観光」

という地域回遊との相性が高い立地です。

観光類型

「非観光施設型・地域食文化接続型酒蔵」

です。


⑮ 流通・販売戦略

静岡平喜酒造の企業分析で最も特徴的なのが、

県内集中型流通

です。

静岡県酒造組合の取材で戸塚氏は、

「99%県内で消費」

と説明し、当面は県外営業を積極化せず、地元へより高品質な酒を供給する方針を示しています。


平喜グループ

この戦略を可能にしているのが、

株式会社平喜

です。

株式会社平喜は酒類食品卸を主力とし、2022年9月期売上高246億円、静岡県内5拠点を持つ大規模卸です。公式では静岡県内酒類の約30%を取り扱う県内シェアNo.1企業としています。


県内物流

平喜は、

  • 静岡
  • 浜松
  • 磐田
  • 三島
  • 下田

の物流拠点を持ち、県内小売店へ供給しています。

このため静岡平喜酒造は、

小規模生産でも巨大な県内流通網へ直接接続できる

という非常に珍しい構造を持ちます。


メーカー・卸・小売

平喜グループは、

メーカー
+
卸
+
小売

を一体で持つ企業群です。

流通の本質

「全国へ薄く売る」のではなく「静岡県内へ深く売る」

です。


⑯ ターゲット

ターゲット適合度理由
静岡県民★★★★★最大中核
日本酒初心者★★★★★あか・五百万石
純米酒ファン★★★★★全量純米
吟醸酒ファン★★★★★静岡吟醸
酒米ファン★★★★★4品種
食中酒層★★★★★最大適性
海鮮好き★★★★★用宗・駿河湾
地元志向層★★★★★誉富士
プレミアム層★★★★☆純米大吟醸
ギフト需要★★★★☆赤・青
若年層★★★★☆果実香・甘口
女性層★★★★★あかの親しみやすさ
酒通★★★★★雄町・限定酒
観光客★★★☆☆常設観光機能は限定
海外市場★★☆☆☆現状は県内重視

⑰ 競合比較

A. 静岡市:萩錦酒造

B. 静岡市:駿河酒造場

C. 静岡市・清水:三和酒造「臥龍梅」

D. 静岡吟醸代表:初亀・磯自慢

項目静岡平喜酒造三和酒造初亀醸造磯自慢酒造
現酒蔵開始2012老舗老舗老舗
主ブランド喜平 静岡蔵臥龍梅初亀磯自慢
水安倍川伏流水静岡水系静岡中部水系大井川系
主な県産米誉富士誉富士等誉富士等―
酵母静岡酵母静岡酵母等静岡酵母等静岡酵母
全量純米○商品別純米中心純米中心
生産規模小中中中
2026全国金賞金賞金賞―
県内集中非常に強い強い全国全国・海外
最大差卸網+小規模謹醸吟醸・商品幅高級純米国際ブランド

差別化

初亀・磯自慢が「静岡吟醸を全国・世界へ高級化する蔵」なら、静岡平喜酒造は「静岡吟醸の品質を、静岡県民の日常へ深く届ける蔵」です。


⑱ SWOT分析

区分要素評価意味
Strength安倍川伏流水非常に強い地域
Strength全量純米極めて明快ブランド
Strength静岡酵母強い静岡吟醸
Strength小規模強い管理性
Strength低温長期発酵強い品質
Strength2026全国金賞極めて強い技術
Strength県知事賞2年連続極めて強い地域品質
Strength平喜流通網最大級販売
Strength県内99%独自地域密着
Weakness生産量小さい拡張制約
Weakness全国認知低めブランド
Weakness観光弱い体験
Weakness商品ブランドが単一中認知依存
Weakness全国流通意図的に限定成長上限
Opportunity地産地消最大県内
Opportunity誉富士大地域酒
Opportunity用宗観光大食文化
Opportunity静岡吟醸再評価大高級酒
OpportunitySAKE COMPETITION大認知
Threat米価上昇高原価
Threat日本酒需要減高県内市場
Threat静岡の強豪蔵高競争
Threat小規模人材高継承
Threatグループ流通依存中チャネル偏重

⑲ PEST分析

区分外部環境影響対応
Political地酒・GI支援追い風静岡産訴求
Political地方創生追い風用宗連携
Economic米価上昇マイナス高品質化
Economic地元消費安定資産県内深耕
Economic観光回復機会地域飲食
Social地産地消最大機会誉富士
Social純米志向強い全量純米
Social食中酒志向強い海産物
Social日本酒初心者需要機会あか
Technologicalサーマルタンク強み温度管理
Technological空調酒造強み温暖地対応
Technological低温長期発酵強み吟醸
Environmental安倍川水資源最重要保全
Environmental温暖化リスク設備管理

⑳ 4P分析

区分現状評価
Product全量純米・米別・季節酒★★★★★
Price中価格~純大★★★★☆
Place静岡県内中心★★★★★※地域戦略として
Promotion鑑評会・地元・卸網★★★★☆

Product

商品体系は非常に整っています。

純米
↓
特別純米
↓
純米吟醸
↓
純米大吟醸

に加え、

五百万石
誉富士
雄町
山田錦

という米による違いがあります。


Price

超高級路線より、

高品質を地元で継続購入できる価格帯

を中心に据える構造です。


Place

一般企業なら「全国展開していない」ことは弱点ですが、静岡平喜酒造の場合、

県内99%は意図したポジショニング

です。


Promotion

最も強い材料は、

2026全国金賞

2025・2026県知事賞

全量純米

安倍川伏流水

静岡酵母

です。



㉒ ブランドコピー・見せ方

メインコピー

静岡の水で、静岡の食を飲む。

水型コピー

安倍川の伏流水を、一滴の喜平へ。

純米型コピー

米、水、麹、酵母。それだけで醸す。

地域型コピー

静岡で生まれ、静岡で飲まれる酒。

静岡吟醸型コピー

爽やかに香り、きれいに切れる。

誉富士型コピー

静岡の米を、静岡の水と酵母で。

歴史型コピー

掛川に始まり、安倍川で再び醸す。

食文化型コピー

生しらすの隣に、喜平。


㉓ この酒蔵をどう見せるべきか

① 最大の自然資産

安倍川の軟水伏流水

です。


② 最大の酒造方針

全量純米

です。

小規模蔵の企業像を非常に明快にします。


③ 最大の地域原料

誉富士

です。

静岡県産酒であることを最も強く伝えられます。


④ 最大の技術資産

小仕込み+麹管理+低温長期発酵

です。


⑤ 最大の品質証明

2026全国新酒鑑評会 金賞

です。


⑥ 最大の地域品質証明

2025・2026 静岡県清酒鑑評会 2年連続知事賞

です。


⑦ 最大の企業資産

平喜グループの県内流通力

です。

酒蔵単体の規模は小さくても、グループには県内5拠点・大規模卸売網があります。


㉔ 最終評価

評価軸評価コメント
歴史背景4.7/5明治期の平喜へ遡る
現蔵の歴史3.5/52012年再開
地域性5.0/5静岡市・安倍川
水資産5.0/5軟水伏流水
原料力4.8/5山田錦・誉富士等
静岡性5.0/5水・米・酵母
製法独自性4.7/5小規模謹醸
品質管理5.0/5設備+少量管理
技術力5.0/52026全国金賞
酒質完成度4.9/5県知事賞連続
食中酒力5.0/5海鮮適性
純米専門性5.0/5全量純米
酒米表現力4.8/54主要品種
商品力4.6/5小規模だが明快
ブランド力4.5/5喜平は育成途上
プレミアム力4.8/5赤・青純大
国内評価5.0/5全国金賞
地域評価5.0/5知事賞2年連続
流通力5.0/5平喜グループ
地域浸透5.0/599%県内
観光力3.2/5常設観光型ではない
初心者導入力4.8/5赤・五百万石
酒通適合4.8/5雄町・限定
独自性5.0/5小蔵×巨大卸網
成長可能性4.9/5県内深耕余地大


㉖ 最終結論

静岡平喜酒造株式会社は、静岡県静岡市駿河区丸子新田1-1にある、2011年設立・2012年酒造開始の酒蔵です。

現在の代表取締役社長・杜氏は戸塚堅二郎氏。代表銘柄は「喜平 静岡蔵謹醸」です。現蔵の歴史はまだ十数年ですが、その企業的な起源は明治初頭に掛川で米穀商「平島屋」として始まった平喜へ遡ります。戦後の事業再編を経て酒造機能を岡山へ集約しながら、静岡では酒類卸として地域の酒文化に関与し続け、醸造設備・温度管理技術の進歩を背景に2012年、安倍川河畔で静岡の酒造りを復活させました。

酒造りの基盤は、南アルプスから流れる安倍川の軟水伏流水です。そこへ兵庫県産山田錦、静岡県産誉富士、五百万石、雄町を組み合わせ、静岡酵母を使用。醸造用アルコールを一切使用しない全量純米を基本方針とし、初年度約100石という小規模生産から始め、小さな蔵だからこそ可能な人による細かな管理と、空調・サーマルタンク等の現代設備を組み合わせてきました。特に麹造りと低温長期発酵を重視し、米を適度に溶かして旨味を引き出しながら雑味を抑え、静岡吟醸らしいバナナ・メロン系の爽やかな香り、柔らかな口当たり、米旨、酸、きれいな後切れを形成します。

商品体系は「喜平 静岡蔵」へ集約され、兵庫県産山田錦40%精米の純米大吟醸「あお」「あか」、山田錦50%の純米吟醸、静岡県産誉富士60%の特別純米、五百万石60%の定番純米、雄町60%の純米酒、しぼりたて・ひやおろし等を展開します。「あお」は爽やかでキレのある吟醸型、「あか」は果実香と甘味を強めた親しみやすい型、誉富士は静岡の米・水・酵母を集約した地域型、五百万石は軽快な食中型、雄町は柔らかな甘味と膨らみを表現する商品という明確な役割分担があります。

その品質はすでに県内トップ級です。2025年の静岡県清酒鑑評会では純米吟醸酒部門、2026年には吟醸酒部門で県知事賞となり、2年連続で県内最高評価を獲得。さらに2026年・令和7酒造年度全国新酒鑑評会では「喜平 静岡蔵」が金賞を受賞しました。SAKE COMPETITION 2026でも純米大吟醸「あか」「あお」がともに予審を突破しBRONZEを獲得しており、鑑評会用出品酒だけではなく市販純米大吟醸そのものの品質も評価されています。

企業構造でも極めて特徴的です。親系統にある株式会社平喜は静岡県を代表する酒類食品卸で、静岡・浜松・磐田・三島・下田の5拠点を持ち、公式では県内酒類取扱シェア約30%のNo.1企業としています。静岡平喜酒造の酒は約99%が静岡県内で消費され、全国へ大量拡販するのではなく、県内飲食店・酒販店へ高品質な地酒を深く浸透させる方針を取っています。これは「小さな製造能力」と「巨大な地域流通網」を組み合わせる、通常の地方酒蔵とは逆の強みです。

したがって静岡平喜酒造を最も正確に定義するなら、

「明治期・掛川から続く平喜の酒造史を背景に、2012年に安倍川河畔で酒造を復活。南アルプス・安倍川水系の軟水伏流水と山田錦・誉富士・五百万石・雄町を、全量純米・静岡酵母・小仕込み・麹重視・低温長期発酵によって、爽やかな香り、柔らかな米旨、きれいな酸と後切れを持つ『喜平 静岡蔵』へ変え、県内99%消費という地域集中戦略と平喜グループの巨大流通網によって静岡の食卓へ深く届ける、“安倍川伏流水型・全量純米型・静岡吟醸型・小規模高品質型・地域深耕型酒蔵”」

です。

静岡県内の有力蔵と比較すると、

初亀醸造=高級純米・吟醸の完成度を極める蔵

磯自慢酒造=静岡吟醸を全国・世界の高級市場へ展開する蔵

三和酒造=臥龍梅を軸に吟醸・商品展開を広げる蔵

御殿場石川酒造=富士山伏流水と御殿場農業から新しい地域酒を構築する蔵

に対し、

静岡平喜酒造=「安倍川の水と静岡吟醸を、小さく丁寧に醸し、巨大な地元流通網によって“ほぼ静岡だけ”へ届ける蔵」

という、非常に明快で再現しにくい独自ポジションを持っています。

静岡喜平酒造のテロワールを味わう👇

イメージ 酒蔵 説明 リンク
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静岡喜平酒造

静岡平喜酒造は、静岡県静岡市駿河区丸子新田で「喜平 静岡蔵」を醸す、安倍川伏流水・静岡酵母・山田錦・誉富士・雄町・五百万石・純米酒中心・少量仕込み・県内流通・高い鑑評会実績を強みとする、静岡の食文化に特化した復活型酒蔵。

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